日本生産性本部がコロナ禍における働く人の意識を調査

新型コロナウイルスの感染拡大防止として出された緊急事態宣言が25日、全面解除された。

今回の緊急事態宣言に伴う外出自粛を機に、時差出勤やテレワークなど、これまでの働き方から急に変わった人も多かったのではないだろうか?

そのような中、公益財団法人日本生産性本部が、「新型コロナウイルス感染症が組織で働く人の意識に及ぼす影響を調査(第1回 働く人の意識調査)」の結果レポートを公表した。

調査は20歳以上の雇用者(自営業者、家族従業者等を除く)1100人を対象として、5月11〜13日にインターネットを通じて実施。緊急事態宣言の発令から1ヶ月余りを経過した時点での、働く人の意識の現状と変化を捉える目的で行われた。

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6割超が自宅勤務で「効率性が下がった」と回答

「労働時間・業務時間の変化」「勤め先への信頼感」などについても調査しているが、雇用者にとって関心が高いのは「働き方の変化」や「新型コロナ収束後の働き方や生活様式の変化」ではないだろうか?

新型コロナウイルス感染症による働き方の変化については、直近1週間の出勤日(営業日ベース)は、「1~2日」が37.3%で最多、「0日」32.1%、「3~4日」21.1%、「5日以上」9.5%で、2日以下の出勤が約7割という結果に。週の半分以上でテレワークを行なっている人が多いようだ。

その中で、自宅勤務での効率性をたずねたところ、「効率が上がった(7.2%)」「やや上がった(26.6%)」と、効率アップを実感したのは3割強にとどまった。一方で、「やや下がった(41.4%)」「下がった(24.8%)」と、自宅での勤務は、期待通りの成果を挙げていないことが分かった。

ただ自宅勤務における満足感については、「満足している(18.8%)」「どちらかと言えば満足している(38.2%)」と、満足を感じている人が6割弱いるという結果に。

レポートでは「自宅での勤務によって、通勤ラッシュから解放されたこと、感染リスクが軽減されたことなど、経済性だけでは評価できない部分で、満足を感じている可能性がある」と分析した。

(画像:日本生産性本部)

新型コロナ収束後も「テレワークを継続したい」が6割強

では、テレワークで効率性を上げるにはどのような課題があるのだろうか?

調査ではこの点についても聞いており、「職場に行かないと閲覧できない資料・データのネット上での共有化」が最多の48.8%、以下「Wi-Fiなど、通信環境の整備(45.1%)」、「部屋、机、椅子、照明など物理的環境の整備(43.9%)」が続いた。

「特に課題は感じていない」は8.4%にとどまり、多くの人が現状に不都合を感じているようだ。

(画像:日本生産性本部)

このように、現状では不都合も感じるテレワークではあるが、新型コロナ収束後も継続したいかについては、「そう思う(24.3%)」「どちらかと言えばそう思う(38.4%)」と、6割強が肯定的で、満足感と符合する結果となっている。

(画像:日本生産性本部)

意図せずしてテレワークの導入が進み、そのメリットを感じた雇用者は多かったようだ。一方で、効率が落ちたという声も多い。では今回を機に、会社としてどのようにして新しい働き方を進めていくべきなのだろうか?

レポートをまとめた日本生産性本部・生産性総合研究センターの担当者に話を聞いた。
 

会社にはテレワークの拡大に向けた対応を行ってほしい

――今回の調査において、テレワークについて質問した理由を教えて

感染拡大を避けるため、多くの企業・労働者がテレワークの実施を余儀なくされました。テレワークが生産性(本調査では「効率性」に置き換えています)を左右するかどうかは、現在および今後来たるべき第2波・第3波への対応においても、企業の施策を検討する上で、重要な判断材料になります。このため、テレワークの実態を調査すると共に課題や継続希望についても質問しました。


――在宅勤務者の6割強が仕事の効率が「下がった」と答えているにも関わらず、コロナ後もテレワークを続けたい人が過半数いるとの結果に。会社側としては今後、どのような対応(解決策)が必要となってくる?

レポート本文にもあるように、テレワークのメリットは効率性などの経済的な側面だけからは評価できません。テレワークによって、通勤ラッシュのストレスから解放されたことや、特に、今回は感染リスクを軽減できたことが満足感につながっていると考えます。

会社側としては、メリットを幅広く捉え、対象者の拡大・頻度の増加など、テレワークの拡大に向けた対応(投資等)を行ってほしいと考えます。

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今回の経験で図らずも「働くこと」の意味を問い直すことになった

――「効率は下がった」との回答が多かったのは、今回は雇用者及び会社側のテレワーク環境が整わない状態で自宅勤務となったことが関係している?

大いに関係していると考えます。雇用者は自宅の環境(自室が無いなど)、会社側は通信環境、セキュリティなどに不安を抱えたままのスタートになりました。物理的な環境、労務管理を含めてもう少し準備が整っていれば、効率低下は食い止められたと考えます。


――今後は、生産性が下がっても会社がテレワークを容認しないといけない時代(風潮)となっていくこともあり得る?

テレワークが雇用者の命を守るうえで最善の方策であれば、ある程度生産性に目をつぶっても実施するべきですし、そのような要請が強まると考えます。

本調査で、健康への配慮を十分にしてもらっていると感じている雇用者は、勤め先への信頼感が高いことが分かっています。命・健康を守ることは、企業が第一に果たすべき責務であり、これが果たせない会社は生き残れません。

また、テレワークの実施度合い(対象者の範囲、頻度等)には、濃淡があります。会社が直面している健康リスクにも濃淡があります。両者を比較しながら、適切な実施度合いを探っていくことになるのではないでしょうか。


――今回のテレワークを通じ、多くの雇用者はそのメリットを感じたようだ。withコロナ・afterコロナの時代においての働き方は、これまでとは違ったものになる?

今回の経験で、図らずも会社・雇用者は「働くこと」の意味を問い直すことになったと思います。大きな危機の前では、本質的でないルールは見直すのが妥当です(「本当に、この業務は必要なのか? 押印のような手続きは必要なのか?」といった点)。

働き方は、より「仕事の本質」の観点から見直され、変容していくと考えます。それに伴って、働く人の意識も変わっていくことが予想されます。
 

コロナ禍でのテレワークは、身を守ることに重きを置いていたため、効率性が下がるのはやむを得なかったとも言える。一方で、「会社に行く意味」や「テレワークでもできる仕事」を考え直すきっかけとなった。
今回の調査で浮き彫りになった“テレワークの課題”を解消できれば、自宅勤務における効率性も自然と上がってくる。働き方を見つめ直すいい機会ではないだろうか。

なお、調査は定期的に実施していくそうで、第2回は7月に予定している。

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