独自の品揃えなどから多くのファンに愛され、2022年8月、惜しまれながら閉店した新潟市中央区の「北書店」。先日、場所を変えて再オープンし、独自の選書で新たな空間を生み出している。

3か月で再オープン 新たな「こだわりの空間」

2022年8月31日、本を愛する多くの人に惜しまれながら閉店した新潟市役所前の北書店。

北書店 店主 佐藤雄一さん(8月31日):
「そう遠からぬうちにお会いしましょう」とだけ言っておきます。12年間、ありがとうございました

8月31日に閉店した「北書店」
8月31日に閉店した「北書店」
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店主・佐藤雄一さんの「そう遠からぬうちに」という言葉通り12月4日、北書店は信濃川を臨む新潟市中央区下大川前通に場所を変え、再オープンした。

12月4日 場所を変え再オープン
12月4日 場所を変え再オープン

(Q.閉店から3カ月で場所を変えて、再オープンできたことについてはどう感じている)
北書店 店主 佐藤雄一さん:

お店、本屋を続けたいのであれば、そのまま本屋さんをやる物件を探して荷物を持ってくることしかできない。それで物件を探して持ってきた以上、家賃もかかるので、さっさとオープンしないといけない。このループからは本屋を辞めない以上、抜けられないということはしみじみ感じた。余裕がない

北書店は、新潟市の古町地区にあった老舗書店「北光社」の最後の店長だった佐藤さんが、北光社閉店直後の2010年に新潟市役所前に開いた店。

大型書店とは一線を画す個性的な品揃えが本好きに注目された。店では度々イベントが催され、詩人の谷川俊太郎さんを招くなど人気を博してきた。

詩人・谷川俊太郎さんを招いたイベントも
詩人・谷川俊太郎さんを招いたイベントも

しかし、佐藤さんが2022年3月に脳出血で倒れたことから閉店を決意。それでも閉店直前のイベントで佐藤さんはお客を前に次の店舗について語っていた。

北書店 店主 佐藤雄一さん(8月25日):
3月に倒れて左手と左足に麻痺が残っている。この規模の店をやっていくのは無理でしょという話。だから、狭いところでちょっとやってみようかな

8月に開かれたイベント
8月に開かれたイベント

(Q.新店舗の広さはどう?)
北書店 店主 佐藤雄一さん:

前の店のせいぜい半分くらいの規模でやっていくしかないと思っていたので、ここはちょうどいいのかな

新店舗となった15坪の空間には、佐藤さんが独自の視点で選んだ本が並ぶ。

お客:
やっぱり佐藤さんの店。書棚に個性が出ている。これからもっと整理されたり、もっと増殖したりするかもしれない。どう、ここから進化していくのか、ものすごく楽しみ

北書店 店主 佐藤雄一さん:
店を続けることに強気な部分もある一方で、ネットで何でも手に入るこの時代に、限られた場所に本を並べて、それが成り立つというのはどういうものなのか。一般的には、本屋が必要のない存在だという自覚もある。それでも、本屋の存在がこれから先、どういう意味をなしていくのか、自分でも興味がある

開店後のある日、佐藤さんが棚に収めていた新刊のうちの一冊は、山田太一の「生きるかなしみ(筑摩書房)」だ。

山田太一 「生きるかなしみ(筑摩書房)」
山田太一 「生きるかなしみ(筑摩書房)」

北書店 店主 佐藤雄一さん:
みんな悲しいじゃないですか、生きていて。そういう悲しみとかを無視できない場所。本屋さんって。常に前向きだったり、明るかったり、希望だったり、「人生は楽しい」という大抵のことを消費に結びつける世の中で、悲しみ・つらさ・ひとりぼっち、そういったものと共存できる場所。似合うんだよね、本屋さんってそういうものが

(Q.信濃川を臨む立地に新店舗を出して良かった点は?)
北書店 店主 佐藤雄一さん:

単純に良い。外に出てくると一気に視界が開けて、川があって。僕は好き

新店舗は信濃川を臨む立地
新店舗は信濃川を臨む立地

北書店 店主 佐藤雄一さん:
1760円ですね、ありがとうございます。この店の場所、探しましたか?

お客:
地図を見て、写真が載っていたので、ここら辺かなと

北書店 店主 佐藤雄一さん:
また、よろしくね。ありがとうございます

場所を変え、北書店の日常が始まった。

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
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