新潟県の県北を襲った豪雨から4カ月。村上市小岩内地区の住民は現在も仮設住宅での暮らしを続けている。被災者の現状と課題を取材した。
豪雨から4カ月 続く仮設住宅生活
村上市に建ち並ぶ仮設住宅。ここで避難生活を続けているのは、小岩内地区に自宅を持つ高野アキさん(76)。
この記事の画像(22枚)2022年8月の豪雨で多くの家屋が土石流に巻き込まれた小岩内地区。地区全体に避難指示が出され、9月には33世帯が仮設住宅に入居した。
高野アキさん(入居時):
やっぱ心配。慣れないから
一人暮らしの家が半壊した高野さんも仮設住宅での生活を始めた。入居して4カ月…
高野アキさん:
外が暖かいと、みんな外のテーブルに集まる。そして何か食べたり、話したりしている
少しずつ生活に慣れてきたという高野さん。仮設住宅から自宅までは車で10分ほど。荷物を取りに行くときなど、高野さんは自分で車を運転して通っている。
高野アキさん:
前は毎日のように天気がよかったから、毎日行っていたけど、行かないようになった。面倒くさくなって
自宅に到着すると、土石流が流れてきた横の斜面には大きな土嚢が積まれていた。
はがれた床には簡易的に板が敷かれ、修復作業はまだ終わっていない。
そして、壁に残されていたのは、被災した当時の8月のカレンダー。
高野アキさん:
4カ月は長いような短いような。いつになったら家が直されるのかなと思っていたんだけど
季節は夏から冬へと移り、今後は雪による家屋の倒壊なども心配される。
高野アキさん:
ほら、こっちも。こんなに下が抜けてしまっている
「被災前に近い生活環境をつくること」
村上市は仮設住宅の入居期間である「2年以内の避難指示解除」を目指しているが、明確な見通しは立っていない。
中越防災安全推進機構 稲垣文彦 理事:
これからが大事だと思う
小岩内地区の今後についてこう話すのは、中越地震などの復興に携わった中越防災安全推進機構の稲垣文彦さん。
中越防災安全推進機構 稲垣文彦 理事:
工事の目安や今後どうなっていくのかを細かく伝えることが非常に大事。そういうことが分からずに、住民の時間がただ単に過ぎていくというのはすごく大変
また、避難の長期化が見込まれる中では、「被災前に近い生活環境をつくることが大事」だと指摘。
2004年の中越地震では、仮設住宅の目の前に畑を整備し、畑を失った人でも被災前のように活動できる環境を整えたことが、被災者の活力につながったと稲垣さんは話す。
高野さんも野菜を育てていたが、畑が土石流に流され、今は…
高野アキさん:
毎日テレビを見て、暇があれば何か食べて、ここへ寝っ転がって
中越防災安全推進機構 稲垣文彦 理事:
昼間、何もやることがなくて、家にいるということは体力もどんどん落ちてしまう。体力・気力を失っていかないというサポートをすることが大事
一方、高齢化や人口減少が進む現代。
中越防災安全推進機構 稲垣文彦 理事:
災害前に比べてよくなったとか戻ったという感覚が「復興感」。そこに戻るというのが、なかなか難しい時代になってきている。地元の方だけで頑張るのではなくて、外の力を借りるということも遠慮なくやっていただくことが大事
来年こそ、元の地に戻れると信じて被災者の生活は続く。
高野アキさん:
何軒か家を建てなければいけない人がいるんだけど、どこに建てるかね。同じ所に早く戻りたい
(NST新潟総合テレビ)