新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行が懸念される中、重症化リスクの高い人へ適切な医療を提供するために求められる行動や準備について、新潟県医師会広報委員会の協力のもと取材した。

県外では学級閉鎖も… インフルエンザ流行のおそれ

2022年冬、新型コロナウイルスとインフルエンザが同時に流行した場合、一日の感染者数のピークは日本全体で75万人と推測されている。これを新潟県に概算すると、その数約1万4000人。

日本全体の推測
日本全体の推測
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一日の新規感染者数が新型コロナ患者だけで4004人だった2022年夏のピーク時に比べて、この冬はインフルエンザの感染者が同時に出ることが想定され、合わせて約1万人も増えるおそれがあるという。

同時流行ピーク時の感染者数推移値(新潟県)
同時流行ピーク時の感染者数推移値(新潟県)

今後の感染拡大を見据え、私たちはどう心構えをし、行動するべきなのか、新潟県医療調整本部の松澤知医師に聞いた。

新潟県医療調整本部 松澤知 医師:
新潟県ではインフルエンザの患者がチラホラ見られている。大きな流行は迎えていないが、他の都道府県ではインフルエンザによって学級閉鎖・学年閉鎖も聞こえてきている。新潟県でも今後、流行してくる可能性がある

症状が出た場合 「表」の区分に沿って行動を

杉山萌奈アナウンサー:
新型コロナもしくはインフルエンザに感染したかもしれないと感じる人は、新潟県のホームページにある、青・黄色・赤に区分されている表から自分が当てはまるものはどれなのかを見つけ、適切に行動をしてほしいと伝えます

新潟県のホームページ
新潟県のホームページ

「症状」や「年齢」「基礎疾患の有無」「妊娠しているか」「ワクチン接種をしているか」などで色分けされている表。

新潟県医療調整本部 松澤知 医師:
「黄色」に当てはまる人は医療機関を受診していただきたい。また、「赤」に当てはまる症状は危険な症状となるので、しっかり認識し、必要があれば救急車をためらわないでとお願いしている

一方で、「青」に該当する人は、県が無料で配布する抗原定性検査キットを申請し、自宅に届き次第、自己検査を実施。陽性だった場合は、「陽性者登録フォローアップセンター」への登録を呼びかけている。

新潟県医療調整本部 松澤知 医師:
新潟県独自の制度、「オンライン診療担当医」も強化して、入院・自宅療養・宿泊療養でも安心安全に療養できるようにしている。基礎疾患がある人は、新型コロナに対して、経口抗ウイルス薬ラゲブリオやパキロビッドパックが適用になる場合がある。こういう方は受診していただき、「青」で病院を受診する必要がないと判断できる方は、県が配布するキットで検査を行っていただきたい

受診するべきかどうか判断に迷うときには、「24時間対応ダイヤル」やアプリなどを通じて相談を受け付け。限りある医療資源の中で、重症化リスクの高い人へ適切な医療を提供するために対応を強化している。

食料品や抗原定性検査キットなど 体調不良時への備え

杉山萌奈アナウンサー:
県は療養期間である1週間分の市販の解熱鎮痛薬の常備食料品や日用品の買い置きなどを呼びかけています。また、薬局で抗原定性検査キットを購入する場合、「研究用」ではなく、「体外診断用医薬品」や「第一類医薬品」の表示があるものを選んでほしいということです

抗原定性検査キット
抗原定性検査キット

新潟県医療調整本部 松澤知 医師:
抗原定性検査キットは低リスク者・有症状者には無償で配布しているが、発熱などの体調不良時に備えて早めの購入を。県内の薬局約500店舗(全薬局の半数)で購入できる

抗原定性検査キットの用意
抗原定性検査キットの用意

同時流行のおそれ… 年内に「2つのワクチン接種」を

過去2年間、これから迎える年末年始に感染が拡大している新型コロナ。

杉山萌奈アナウンサー:
新型コロナ禍の年末年始3年目。一番の正念場?

新潟県医療調整本部 松澤知 医師:
県としても医療従事者としてもよりたくさんの発熱患者を受け入れていく体制を整備している。県民と協力しながら、この波を乗り切っていきたい

また、第8波を乗り越えるために、インフルエンザとの同時流行も見据えて、「2つのワクチンを年内に接種することが重要」だと松澤医師は言う。

杉山萌奈アナウンサー:
接種券が届いていても、まだ接種をどうしようかと検討されている方も周りに多いような気がするが

新潟県医療調整本部 松澤知 医師:
ワクチン4回目接種を完了していない方が入院者・中等症者で多い。重症化予防という点でもワクチン接種は有効だと確認されている。各集団接種会場・市町村で改めてアナフィラキシーへの対応を確認してほしいとお願いした。住民の皆さんに、安心安全なワクチン接種ができる体制を整えている

感染拡大に備えて、まさに今から一人ひとりが準備することが求められている。

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
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