人気のスキンケアブランド「メラノCC」。ビタミンCを含み、しみやそばかすの予防効果があるといい、フリマサイトなどにも数多く出品されている。ところが、実際に届いたものが偽物だったという声が…健康被害につながりかねない偽物の実態を、追跡取材した。
■偽物販売の疑いで女を逮捕
2022年7月、ロート製薬が販売する「メラノCCプレミアム美容液」をフリマサイトで買ったところ、偽物だったという投稿がツイッターで話題となった。
<ツイッターの書き込み>
「たぶん偽物だと思います。液が油?っぽいです」
「裏面見たら“ニキピ”て」
「中身でなーい!!!」
表記のおかしなものから、中身が出ない不良品まで。
「メラノCC」は、2022年上半期だけで50億円以上を売り上げた大ヒットシリーズ。それだけに、人気に便乗しようと偽物が出回っていて、ロート製薬も注意喚起する事態になっていた。
そんな中、11月15日、医薬品医療機器法違反などの疑いで、大阪府警が埼玉県に住むフウ・ニサイ容疑者を逮捕。「メラノCC」の偽物5本を、大阪府内に住む女性2人に計5400円で販売した疑いが持たれている。
警察が押収した商品はおよそ1600個。正規品と見比べてみても、偽物だと簡単に分からないほど精巧に作られていた。
フウ容疑者は調べに対し、「頼まれて配送しただけです。偽物とは知りませんでした」と容疑を否認している。警察によると、フウ容疑者が使っていたのもフリマサイトだということだ。
今も出品されている、たくさんの「メラノCC」。偽物はまだ紛れているのか。
■肌がピリピリ…偽物を購入した人は
福岡県に住むAさんが6月にフリマアプリで購入したのも、偽物だった。
Aさん:
フリマアプリをやっていて、他のお店よりも200~300円くらい安かったので購入しました
しみやそばかすの予防効果があるといわれるビタミンCの成分に期待したが、使ってすぐに異変に気づいたという。
Aさん:
目の下は皮膚が薄いので、めちゃくちゃ赤くなったんです。子供に「どうもない?」って聞いたら、「ピリピリする」という感じだったのでやめました
購入した商品と正規品を比べてみると…
Aさん:
本物は、公式サイトでも言われてるんですけど、しっかり押しても一滴ずつしか出ないんです。だけど偽物は、押してもないのに勝手に出てくる
メラノCCがこだわっている“濃密な一滴”も、偽物だと容器を押さずともあふれてくる。またパッケージをよく見ると、記載されている文字がずれているなどの違いもあった。
■偽物の正体は?
この偽物に、「メラノCC」最大のこだわりであるビタミンCが入っているのか、専門家に調べてもらった。
日本分析化学専門学校 渡辺快記 教務部長:
こちらにヨウ素と呼ばれる液体を用意しました。ビタミンCが混ざると反応する特徴があります
正規品では液体の色が変化しましたが、偽物は変わらず、茶色のままだった。
機器を使って分析すると…
日本分析化学専門学校 渡辺快記 教務部長:
赤い線が正規品です。ビタミンCのピークに正規品のピークがあるので、純正品にはビタミンCが含まれているということが分かります。偽物も測っているのですが、何にもなさすぎてまっすぐに見えちゃってる…(ビタミンCは)全く入っていないと思います
日本分析化学専門学校 渡辺快記 教務部長:
似たような成分も入ってなくて、そもそも人の肌に塗るような油成分ではないですし、具体的に健康被害かまでは今は検証できていませんが、これを肌に塗るというのはあり得ないと思います
■被害に遭わないためには
パッケージだけでなく、中身も全く異なっていた偽物の商品。購入する前に見破ることはできないのか?
金沢大学 吉田直子助教:
多くはもうすごく巧妙に作られていて。本当に疑って、常に横に本物があって見比べられる環境にあるとかそういった環境でない限りは、なかなか見抜くことは難しいと思います
年々、巧妙になっているという偽物商品。 吉田助教は、ネットでの取引にはリスクが伴うと警告する。
金沢大学 吉田直子助教:
人の体に直接適用する、健康被害に直結するというところで、何が入ってるか分からないような物を体に塗布するっていうのは、やはりそれだけのリスクがあると思いますね。「こんなに安いのには何か理由があるのかもしれない」と思える意識というのは、消費者個人にも必要だと思っています
大きな健康被害を起こしかねない模倣品。ロート製薬は正規品を取り扱っている通販サイトや店舗で購入するよう呼び掛けている。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年11月16日放送)