医師の確保が課題となっている新潟県内で、成長を求めて新潟を選ぶ研修医の姿が見られている。そこには、留学支援など医師を育てる県の取り組みがあった。

留学を後押し…研修医“成長支援制度”で医師確保へ

10月18日、新潟県庁で会見を開いたのは、村上総合病院の研修医・松崎秀信さん(26)。オンラインでつないでいた先は、イギリスのロンドン。

村上総合病院 研修医 松崎秀信さん:
新潟県の海外留学支援制度。「この制度、面白いかも」と思い始めたのがきっかけ

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2020年に公表された医師の偏在指標が全国で最下位となるなど、医師の確保が課題となっている県内。こうした中、県が目をつけたのが、医師の卵とも言える「臨床研修医」への対策だ。

新潟県 「医師の偏在指標」で全国最下位に(2020年)
新潟県 「医師の偏在指標」で全国最下位に(2020年)

新潟県 福祉保健部 松本晴樹 部長:
医師のキャリアの初期段階から、“新潟に入ってもらう”ことが非常に重要

県は2022年度から、研修医が病院で働きながら海外の大学の学位を取得できる事業を開始。春には、県外から佐渡市へ就職した研修医がハーバード公衆衛生大学院に入学した。

そして9月、新たにロンドン大学への留学を果たしたのが松崎さん。公衆衛生について学んでいる松崎さんは、ウイルス禍の中、マスクよりも手指消毒に重きを置くイギリスとの文化の違いに、さっそく視野の広がりを感じている。

村上総合病院 研修医 松崎秀信さん:
公衆衛生を考えるときに、最も重要なのが「どのコミュニティーに対して、政策をどう考えるか」というところだと思う。そういう文化背景を理解しながら学ぶことが重要なのかなと、僕自身考えている

留学事業をきっかけに、粟島浦村で行う遠隔治療などに興味を持ち、村上総合病院に就職した松崎さん。将来は新潟で地域医療に関わりながら、国境なき医師団などで活動することが目標だという。

村上総合病院 研修医 松崎秀信さん:
新潟県で働いて、ボランティア、働いて、ボランティアとやる中で、地域医療と自分のやりたい分野を両立していけたらと思っている

一方、県の取り組みは留学制度だけではない。10月、県が開いたのは研修医を対象としたイノベーター育成講義。県内に就職した研修医が研修に加えて、マネジメント力などを学ぶことができる全国初の取り組みだ。

マネジメント力などを学ぶことができる「イノベーター育成講義」
マネジメント力などを学ぶことができる「イノベーター育成講義」

沖縄出身の研修医:
グループワークを通して、様々な意見を聞くことができた。大変成長できたと思う

こうした取り組みにより、2023年度の初期研修で新潟を希望する医学生は9月末時点で2021年の同じ時期より15人増えている。

村上総合病院 研修医 松崎秀信さん:
若い人に、かなり大きなチャンスをどんどん与えてくれるような場所というのは、まだ日本の中ではなかなかない。医学生にはやらない理由よりも、やりたい気持ちを大切にしてほしい

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
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