ソニーとホンダがタッグを組み、EV(電気自動車)の新会社を設立。3年後に販売を開始する。

高付加価値EV…日本への納車は2026年後半に

ソニーグループとホンダは、EVの開発や販売などを行う新会社「ソニー・ホンダモビリティ」を設立し、2025年から販売を始めると発表した。

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ソニー・ホンダモビリティ 水野泰秀会長(ホンダ出身):
グローバルでの躍進を遂げて、日本の産業界の活性化に貢献していきたい

最初のモデルは北米にあるホンダの工場で生産し、2025年前半から先行受注を開始する。26年春には北米、26年後半には日本への納車を目指すとしている。

オンラインでの販売が中心で、ホンダの自動運転技術とソニーが持つエンターテインメントの強みを生かした「高付加価値」のEVにするとしている。

ソニー・ホンダモビリティ 川西泉社長(ソニーグループ出身):
メカとエレクトロニクスがソフトウェアの進化によって融合し、新しいモビリティの時代を切り開いていきます

エンターテインメントを軸とした高級車路線

Live News αでは早稲田大学ビジネススクール教授の長内厚さんに話を聞いた。

内田嶺衣奈キャスター:
ソニーとホンダがタッグを組んだEV、どのようにご覧になりますか?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
ソニーの作る家電は生活を豊かにするものではあっても、生活に絶対必要な必需品という訳ではありませんでした。今回の自動車も大衆車ではなく高級車であり、生活をより豊かにするエンターテインメントとしてのモビリティということが強調されていると思います。EVはまだまだ都市部でしか走行するのが困難な実情の中で、エンターテインメントを軸に都市部での新たな高級車をつくるというのが新会社のコンセプトだと考えられます。

内田嶺衣奈キャスター:
“百年に一度の変革期を迎えた”とされる自動車業界でいま、各メーカーの戦略的な動きが加速していますよね?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
ガソリン車からハイブリッドという流れでは、トヨタとホンダは足並みが揃っていましたが、ホンダはEVとハイブリッドを併売しつつ、 新たなユニークネスとして、ソニーと組むことでエンターテインメントに舵を切った高級車路線を打ち出しました。一方、トヨタはEVやハイブリッドだけでなく、FCVや水素エンジンなどパワートレインのダイバーシティを特色にするという両社の戦略の違いが見えてきました。ただ、どちらにしても自動車をより幅広い多様性のあるコンセプトで提供していくというところは両社共通しているように思えます。

内田嶺衣奈キャスター:
私たちユーザーが自動車を選ぶ際の選択肢が広がる、そう捉えて良いのでしょうか?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
EVが必ずしもガソリン車同様の利便性を確保できていない中で、将来の自動車の本命はまだ見えていません。こうした不確実性の高い状況では、様々なアイデアの自動車が提案され、消費者に多くの選択肢を提供することが重要です。多様性という意味では、ソニーという“自動車の当たり前”を持ち合わせていない会社と、ホンダという自動車づくりのプロが組むことで、ホンダの自動車づくりのノウハウと自動車メーカーでは思いつかないようなアイデアが組み合わさります。例えば、自動車メーカーは“車内は静粛であるべき”という常識がありますが、ソニーはそこにプライベートなエンターテインメント空間という新たなコンセプトを提案しています。こうした多様なアイデアを取り入れることで、従来の高級車とは異なる新しい価値の次元が生まれてくる、そういう期待ができそうです。

(「Live News α」10月13日放送分)