来月6月は「ジューン・ブライド」で、例年なら結婚式場が混み合う季節だ。
しかし今年は新型コロナウイルスの影響で中止が相次ぎ、キャンセル料金を巡る相談が増えているという。

国民生活センターによると、全国の消費者生活センターに寄せられた“新型コロナ”関連の結婚式を巡る相談は、今年2月に初めてあって以来、5月13日までに1637件にのぼる。この数は全体の相談件数をまとめたものだが、大半はキャンセル料についてだという。
 

例えば、この春に結婚予定だった20代女性は、遠方から集まる親族などに“新型コロナ”の影響が出ないかを心配して延期を決め、予約していた式場に伝えたところ、来年初頭に改めて式を挙げることを提案されて了承した。
ところが、後日改めて式場から連絡があり、来年まで延期する場合はお客様の「自己都合」になるため、これまでの見積もりに加え約200万円の追加料金がかかると言われ、どうしたらいいか困っているという。

 

請求された側はもちろん、請求した式場側も困っているのはよくわかる。
今回の“新型コロナ”のような不測の事態が発生した場合、キャンセル料はどう考えるのか?また金額も大きいだけに、請求された場合でも支払わずに済む方法はあるのか?
クレア法律事務所の薮田崇之弁護士に聞いてみた。

(※当見解はクレア法律事務所としての公式は見解ではなくあくまで個人の見解です。)

「不可抗力条項」に“新型コロナ”が含まれるかどうか

――そもそも結婚式のキャンセル料を払う・払わないはどこで決まる?

キャンセル料の支払いは、式場との契約書に書かれている規約に基づきます。その契約によって支払い義務が発生するか・発生しないかが決まります。
 

つまり「お客様の都合で中止する場合はキャンセル料が発生する」という内容で契約した場合、自分の都合で取り消す場合はもちろんキャンセル料を支払うことになる。逆に、契約書に「自然災害で施設が使えない場合は返金する」と書かれていて、自然災害が起きれば返金される。

しかし、今回難しいのは2019年12月ごろから報告され始めたばかりの“新型コロナ”については、まだほとんどの契約書に書かれていないのではないかということだ。
 

――契約書に「新型コロナ」などと書いていない場合はどうなる?

契約書にはおそらく「不可抗力条項」というものがあります。一般的には「不可抗力により(結婚式などが)できなくなった場合は、どちらも責任を負わない」という規定で、その「不可抗力」に“新型コロナ”が該当するのか否かが一つの論点になります。

また「不可抗力」というものには、法律上明確な定義がありません。ですので現在、一般的な「不可抗力条項」には、地震・津波・天災、または政治的事象などと具体的な例が挙げられています。この「不可抗力条項」に“新型コロナ”が含まれるかどうかは、まだはっきりと決まったわけではないので、今のところは式場との話し合いで決めることになるでしょう。

――例えば、緊急事態宣言で結婚式場が休業要請の対象になり、使えない場合はどうなる?

緊急事態宣言は法律に基づくものですから、緊急事態宣言に基づく自粛要請により式典を中止するのは少なくとも「自己都合」にはならないでしょう
 

――逆に、結婚式場が休業要請の対象ではない地域だとキャンセル料を支払わないといけない?

例えば、ある地域で結婚式場は休業要請の対象になっていないとしても、式典には他の地区から多くの人が集まり3密になるのは明らかです。休業要請の趣旨を考えれば、結婚式場はその対象であると言えるのではないでしょうか。

事業者が、あくまで物理的に式典が開催可能であるとする立場をとり、自ら式典開催の自粛を促すことをせずに消費者側からの自粛キャンセルの判断を待ち、消費者から決断されたキャンセルを「自己都合」として扱う姿勢は、国民全体で自粛協力をする状況に沿わず、あまりに消費者に酷なのではないでしょうか。

2月末~3月上旬の緊急事態宣言が出る前は、式場の請求によってキャンセル料が支払われたケースが多いのではないかと思います。現在、式場がどのような判断を取っているのか分かりませんが、緊急事態宣言が出る前と後のキャンセルを同等に扱っていいのかは難しい問題です。

キャンセル料を請求された場合に交渉の余地は?

――“新型コロナ”の影響で中止したのに、式場からキャンセル料を請求されたらどうすればいい?

契約書の規定を読んで「自己都合の中止はキャンセルは料を支払う」などと書いてあったら、今回は自己都合ではないと式場側と交渉します。話し合いが決着しなかったら、キャンセル料の見積書をもらって、金額が妥当かどうか、本当に損害が出ているのか見ていきます。

例えば、直前のキャンセルで用意した料理が無駄になるのは、もちろん妥当な損害ですが、準備もしていない状態ならおかしいという事になります。そういうところに気を付けて減額を試みることは可能だと思います。
 

薮田崇之弁護士 出典:クレア法律事務所

例えば、東京都の休業要請の業種を見てみると結婚式場は含まれていない。しかし、他県の往来自粛や世の中のムードなど総合的に判断して中止や延期を選択するカップルもいるだろう。これを「自己都合」といえるのかは難しい判断だ。
延期やキャンセルで不当な料金を請求されたと思ったら、慌てず話し合うことが大切なようだ。

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