自粛長期化で「先が読めず」東京で寿司店があえてオープン

34の県で緊急事態宣言解除へ。一方、解除が見送られる模様の東京では「もう限界」との悲鳴が上がっている。

食の街として知られる東京・神楽坂に5月11日オープンした寿司店「江戸前福寿」。
他県が緊急事態宣言の解除に向かう一方、東京の出口はまだ見えない中でオープンに踏み切った。江戸前の味にこだわり、本格的な寿司店としては価格を抑えての勝負だ。

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「本来は4月1日にオープンしようと思ったのですが、このコロナ嵐、コロナ台風が吹いたので…」と話すのはこの店の千代川宗圓オーナーだ。

店舗が完成した状態でのオープン延期。人件費や店の家賃などで、月に約200~300万円がただ出ていく状態だったという。

これまで新型コロナをめぐる状況をにらみながら、オープンの時期を模索してきた店側。
今回の決断の裏にはオーナーの「職人さんたちの腕を鈍らせちゃいけない」という思いもあった。

銀座の名店で腕を磨き、この店に移籍した寿司職人の田中仁さんは「どうなるかこの先まったく読めない状況ですね。良くなればいいと思いますけど。(Q客も来ない可能性もある)そういうことですね。」と不安だらけのスタートとなった。

店のオーナーも「(勝算は)全然ありません。たぶん今年の夏くらいまでは持ち出しの赤字経営が続くと思ってます。みなさん自粛、自粛で落ち込んでいるというか暗い世の中だから…おいしいものを食べて少し元気を出そうよと」と話した。

34県で14日に緊急事態宣言解除へ

その東京で12日、新たに確認された感染者は28人。
東京などに緊急事態宣言が出されてから5週間。政府は特定警戒都道府県以外の34県について、14日にも一斉に解除する方向で調整に入った。

感染拡大が収まりつつあるそれらの地域では12日も様々な活動が再開。
また、特定警戒エリアの中でも、茨城県と岐阜県については解除の対象に検討する方向だ。

解除が見通せない東京…「売り上げ7割減」居酒屋悲鳴

早期の解除が見通せない東京では営業自粛や短縮による我慢が続いている。
繁華街・池袋にある居酒屋「いづも池袋」では、サービスうな丼(1000円・先着15名)など手頃な料金で楽しめるうなぎ料理が売りだ。
尾村猛店長(大将)は「きょうはお客が2人だけです。自粛になる前の7割減になる売り上げで、かなり厳しい状態です」と話す。

都の要請の中でも最も影響が大きいというのが、営業時間の短縮。期待するのはその部分の緩和だ。

尾村猛店長(大将)は「1時間でも2時間でも営業時間を延ばそうという話が実現するんだったら、それが一番助かりますね。午後7時でお酒の提供が終わって、午後8時までという、これからお客さんが来る時間で営業が終わるのが一番痛いので…」と話す。

この店の運営元は全部で9つの店舗を経営。業績悪化により、そのうち1店舗は閉めざるを得なかったという。

「(Qこのまま長引くと)どんどん閉店していくしかないと思います」と店長。
文字通り今後の存亡がかかる店の措置。
今はひたすら、見えないトンネルの出口を探してあがく毎日が続く。

(Live News it!5月12日放送分より)