レーザーで「NEVER GIVE UP」

昨年、アルミ板にわずか2秒ほどで「Twitter」と彫り込んでいく動画が、いい意味で”技術の無駄使い”とTwitterで話題となったことを覚えているだろうか?

投稿したのは、金属プレスや自動車、鉄道などの分野で使われるさまざまな機械部品を製造している協立工業と星野金型(新潟県燕市)の代表取締役社長の森下一(@kyoritsu_1962)さんだ。会社が所有するレーザーマーキングの機械を使って作成したものだった。

【参考記事:「機械を存分に無駄使いした技」を披露…Twitter開設1ヵ月でバズった“町工場の底力” 】

そんな森下さんの新たな投稿が話題となっている。


「今、困難を乗り切ろうと頑張っている全ての人へ。 それと、出かけるのを我慢している子供達が楽しめるように。 町工場のおやじが機械を使って出来る事はこんな事くらいしか思いつかなくて。 大変だけど、みんなで頑張ろう。」

とのコメントとともに投稿したのは、1分の動画。

動画は、地球の周りをウイルスが囲んでいる様子がステンレス板に彫られていく所から始まる。


その後、ステンレス板に彫られた地球とウイルスが消されていき…
 


次に、地球が手に包まれている様子が彫られていく。
 


最後は、「NEVER GIVE UP」の文字が現れて動画は終わる。
 


そう、これは新型コロナウイルスで世界全体が困難に直面している今、「あきらめずにこの困難を乗り切ろう」という思いをレーザーマーキングで表現したものだ。

この投稿には「素晴らしい動画! 勇気が湧く!」や「レーザーが走る様が凄くかっこいいです。刻印した上にそれを消して別の刻印とか出来るんですね。暖かいメッセージだと思います!!」などのコメントが寄せられ2万5000超のいいねが付いている。(4月1日現在)
 

新型コロナウイルスの猛威が世界を襲う中でのこの投稿は、確かに勇気づけられるものがある。
そして、ステンレス板に描かれたデザインが一度消され、その上に新たな絵が浮かび上がるなどその技術も気になる。今回投稿した経緯について、森下一さんにお話を伺った。
 

「私たちは負けない、大丈夫」との思いを込めて投稿

ーーステンレス板​になぜメッセージを書こうと思った?

動画を撮ろうと思ったのは、毎日コロナウイルスの大変な、先が見えないニュースばかり目にしていましたが、スポーツ選手や著名人が少し気の紛れるような応援動画をアップし始めたのを拝見し、私には何が出来るだろうと考え、いつもやっているファイバーレーザーの加工動画で、暗い、辛いニュースの間に、ほんの少しだけホッと出来るようなものを作りたいと思ったのがきっかけです。
 

ーー動画にはどのような思いが込められている?

今、ものすごく世界中が大変な状況にありますが、私たちは負けない、大丈夫。と言う意味を込めて作りました。
 

ーー一度彫ったウイルスが消えて、「NEVER GIVE UP」の文字が浮かび上がる。どのような仕組みになっている?

最初はステンレスの板に、薄く絵を彫っています。次に、最初の絵よりも深く、細かいピッチで板全体を彫ることで最初の絵を消してしまいます。次の手の絵は更に出力を上げて深く彫り、最後のメッセージは出力をMAXにして深く、強く彫る事で焼き色を出しています。
 

「Twitter」と彫った動画以降も度々話題に

ーー昨年の11月末にTwitterを始めて、金属板に「Twitter」と彫った投稿が話題になったが、他にも話題になった投稿はある?

レーザーマーキングの動画はその後も配信を続けていますが、毎回多くのリアクションを頂き感謝しています。中でも、百円ショップで購入したヘアピンへのマーキングや有名なゲームに関連したツイートは多くの反響がありました。

Twitterの感覚をつかみ、話題になる投稿を続ける森下さんだが、新型コロナの影響で経済活動がストップしている中、本業に影響は出ていないのだろうか?その点についても聞いてみた。
 

徐々に影響が出始めています

ーー新型コロナウイルスの感染拡大は会社にも影響はあった?

自動車、鉄道、医療、業務用厨房、建築関連の金属部品、金型を製造する全部で約50名の工場ですが、社員の衛生環境を整える為、様々な工夫をしたり、打ち合わせや出張が出来なくなったりと、徐々に影響が出始めています。

新しい案件も随分と少なくなっていますし、流れてしまうものもあります。幸い現時点では、経営が傾くような大きな影響は出ていませんが、お客様が生産調整に入ったと言う情報もありますので、今後はかなり厳しい状況になると思います。


ーー今後Twitterではどのようなことを発信していきたい?

引き続き「あっ」と、驚いて頂いたり、喜んで頂ける内容を発信していきたいですね。ただ「もっと長く見たい」と言う声も頂いておりますので、今後どのような形で動画をお届けするかを考えています。

新型コロナウイルスが世界に蔓延していく中での、「私たちは負けない、大丈夫」という思いが込められたレーザーマーキング。

森下さんが経営する会社も、徐々に影響が出始めているということだが、この投稿のような少し「ホッ」とできるようなものが今求められているのかもしれない。
 

【関連記事】
縮小相次ぐ卒業式に「タイムカプセル」のサプライズ! 寄贈した岡山の企業に聞いた

地方の技術結集し“フィギュアスケート靴の刃”開発…大会デビューの結果は?【新潟発】