ウイルスを可視化した「手を洗いたくなるシール」が話題

拡大を続ける新型コロナウイルスの対策として、厚労省はこまめに手洗いやうがいをすることを呼びかけている。

しかし、基本的な予防法でこまめにする必要があるからこそ、「これくらいでいいか」と少しおろそかになってしまうこともあることだろう。それを防ぎ、なおかつ、自主的に手を洗いたくなるようなシールが今、Twitterで話題になっている。
 
それがこちら。

手を洗いたくなるシール、作りました。

このコメントとともに、強く押すメガネの人(@ne_dsk)さんが投稿したのは、悪そうな顔をしたウイルスが描かれたシールとドアノブにそのシールが貼られた様子の2枚の写真。

強く押すメガネの人さんは、消防点検・防火管理者代行サービスを手掛ける株式会社イグジット(大分市)で、体験型のオモシロ消防訓練・防災訓練を主宰するよっしーさんとして活動している人物だ。

(画像提供:よっしーさん)
(画像提供:よっしーさん)
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厚労省はサイトで、物に付着したウイルスがしばらく生存するとして、「手で触れる共有部分(ドアノブなど)を消毒しましょう」と呼びかけている。人が触れる機会の多い場所に貼ることで、ウイルスが付着している可能性をイメージできるため、大人はもちろん子供にも消毒や手洗いへの意識が高まりそうだ。

(関連記事:スポーツジムやビュッフェも今は避けて…厚労省が新型コロナの「集団感染防止策」を新たに公開

Twitterでは「この見える化は素晴らしい!」「このアイデアが多くの人の命を救うかも」「商品化してください」と多くのコメントが寄せられ、4万リツイートと15万8000いいねがついている。(4月22日時点)

たしかに「見える化」させることで、ウイルスへの意識は高まることだろう。それでは、どのような経緯でこのシールを作ることになったのだろうか? よっしーさんに、いろいろ話を聞いてみた。

大人相手に言いづらいので「手を洗いたくなる仕組み」を考えた

ーーなぜこのようなシールを作ったの?

職場のコロナ感染対策で「帰社したら手洗い」をルール化したのですが、全員が習慣化するまでに貼り紙や声掛けが必要でした。しかし、大人相手に「帰ったら手を洗いなさい」とは言いづらいので自動的に手を洗いたくなる仕組みを考えました。


ーー制作日数はどれくらい?

2~3日アイデアをあたためていましたが、制作は1時間です。


ーーこだわった部分は?

ランダム配置と、(ウイルスの)悪そうな表情です。

 

自由にダウンロード可能。ブログのPV数が40倍に

ーー実際に職場で使用した際の、従業員の反応は?

気持ち悪い!とドン引きです。


ーーTwitterなどSNSでの反響に関してはどう思う?

みんなもやってることだと思っていました。「私も作ってます!」「うちのはこんなデザインです!」というような反応があればオモシロいなーぐらいの感覚で投稿したので、こんな反響でびっくりしています。

(画像提供:よっしーさん)
(画像提供:よっしーさん)

なお「手を洗いたくなるシール」は、よっしーさんのブログ「備えの基本は『まず自分』!オモシロ防災訓練部」で、パワーポイント版とPDF版を自由にダウンロードできる。SNSの反響やシールが無料ダウンロードできることもあってか、ブログのPV数が40倍になったという。

普段は防災訓練の分野で商品を開発

ーー「手を洗いたくなるシール」の他に何か作ったりしているの?

コロナ関係はこのシールだけですが、ふだんは防災訓練の分野で「やってみたい!」「やりたくなってしまう」商品を作っています。


ーーアイデアの発想はどうやって?

「やらなければならないこと」よりも「やりたくなること」でラクをしたいので、いつも「自動的にやってしまう仕組み」を考えています。


例えば、マンションやアパートなどのベランダで、普段はプライバシーを確保するために使用されている仕切り版がある。非常時にはその板を蹴り破って、避難ルートを確保することを知っている人もいるかもしれない。

それを体験することができる、防災訓練グッズ「ベランダ蹴破り体験キット・トッパ」など、防災訓練で活用できる製品などを作っているということだ。

「ベランダ蹴破り体験キット・トッパ」の板を交換する様子
「ベランダ蹴破り体験キット・トッパ」の板を交換する様子

他の製品と同様に、今回の「洗いたくなるシール」も“やらなければならないこと”を“やりたくなること”に変える発想の転換で誕生したという。

新型コロナウイルス感染拡大が続く今、よっしーさんは「『やりたくないこと』や『やらなくてはならないこと』を『やりたいこと』『ついやってしまうこと』に変えて、この困難な時期をみんなで乗り越えましょう!」とも話してくれた。

外出自粛などで暗くなりがちだからこそ、このような前向きな発想がたしかに今は重要なのかもしれない。

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プライムオンライン編集部
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