韓国が行動制限を大幅に緩和

新たな感染者がほぼ抑え込まれている韓国では5月6日、外出自粛要請を含む行動制限が大幅に緩和された。

韓国政府は「ソーシャルディスタンスの確保」の要請を大幅に緩和し日常生活の中で感染防止に努める取り組みに切り替えた。これにより、会食などを含む外出やイベントの開催も自粛要請の対象から外れる。

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また、博物館など国立の文化施設も営業を再開したが、事前予約制にすることで入館者数を制限している。

韓国での新たな感染者はこの3日間、国外から入国した人のみで国内では1人も出ていないが、行楽地が賑わいを見せるなど緩みが指摘されていて、政府は、感染対策の徹底を呼びかけている。

住民登録番号から感染者の行動を把握

Live News αでは津田塾大学の萱野稔人教授に中継で話を聞いた。

三田友梨佳キャスター
韓国のウイルスとの戦い、どうご覧になりますか?

津田塾大学・萱野稔人教授
政府による感染拡大防止策と、国民の自由との関係をどう考えるかという問題が大きいと思います。韓国は感染拡大の防止策としてテクノロジーを大いに活用しています。もともと韓国では、国民の住民登録番号がITで管理されていて、それが銀行口座とかクレジットカード、さらには健康保険証、携帯電話などと紐付けられています。この番号をたどると、感染者がどのような行動をしたのか、どこでなにを買ったのかもすべてわかり、それをネットで公開しています。そうした対策が、感染拡大防止に大いに役立った、という背景があります

結果的に自由が提供できた

三田友梨佳キャスター
テクノロジーを活用して行動履歴をたどるのは、プライバシーの侵害なども懸念されると思いますが?

津田塾大学・萱野稔人教授
実際にフランス政府内部からも、韓国のやり方はプライバシーの侵害にあたる、という批判もあったんですね。一方で、フランスはそういったテクノロジーによる管理を行わなかったかわりに、物理的な都市封鎖に踏み切らざるを得ませんでした。日本は日本で、国民の協力を仰ぎながら感染防止対策をしていますが、結果的に韓国はそういったテクノロジーを活用することで、プライバシーをある程度、侵害したことになったかもしれませんが、行動規制を大幅に緩和することができ、他国よりも早く自由を提供できました

津田塾大学・萱野稔人教授
韓国のまねをするべき、ということではありませんが、行政のテクノロジーによる効率化と、自由との関係というものを再考しなければならないという問題提起はなされているとおもいます

三田友梨佳キャスター
日本がすすめるべき行政の効率化はどういったものがありますか?

津田塾大学・萱野稔人教授
たとえばマイナンバーという制度がありますが、ほとんど今回、現金給付でも活用されていません。これが活用されれば、いち早く現金が給付されるということで、結果的に国民の生活を保障したり、自由を保障することにつながっていきますから、自由と管理がかならずしも対立するものではないという点からの行政の効率化を検討する必要はあると思います

三田友梨佳キャスター:
韓国とは国家体制の違いもありますし、そもそも日本の方針は、ピークを遅らせて感染の山の高さを下げ、医療崩壊を防ぐという狙いがありましたから、一概にほかの国との比較はできないとは思うのですが、行政の効率化という、見えてきた課題については迅速な対応が求められます

(Live News α 5月6日放送分より)