「一番早く先生に渡して使ってもらいたい」

下町の小さな工場が、新型コロナウイルスと闘う医療現場の支援に立ち上がった。

東京・墨田区の住宅街の一角にあるベンチャー企業の工場で作られていたのは、医療現場で使われる飛沫感染防止用のフェイスシールド。

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ジャパン・メディカル・カンパニーの大野秀晃CEO:
一番早く先生に渡して使ってもらうには無償提供しかない。たまたま弊社は医療機器を3Dプリンターで作っていたのでノウハウはあったし、産業用なのでかなりの数を一気に作れる。メリットはやはりスピード感です。

ジャパン・メディカル・カンパニーの大野秀晃CEO
ジャパン・メディカル・カンパニーの大野秀晃CEO

緊急事態宣言直後から試作 全国の医療機関から申し込みが殺到

普段は医療用の矯正器具や骨格模型などを手がけている「ジャパン・メディカル・カンパニー」では、3Dプリンターのノウハウを活かし、緊急事態宣言が出た直後から試作に取り掛かった。

シールドには文具メーカー製のクリアファイルを採用。2日ほどで試作品を仕上げると、すぐに現場の医師に性能に問題がないかをテストしてもらった。

ジャパン・メディカル・カンパニーの大野秀晃CEO:
先生に穴3つの(試作品)をお送りしたんですが、いかがですか?

東京慈恵会医科大学・大木隆生教授:
さっそく小顔のナースに試してもらいました。バッチ・グーです。

東京慈恵会医科大学・大木隆生教授:
我々のフィードバックに対してフットワーク軽く対応してくれた点も含め、大変感謝しています。

東京慈恵会医科大学・大木隆生教授
東京慈恵会医科大学・大木隆生教授

一刻も早く医療現場に届けたいという思いから、商品としての販売ではなく無償での提供を決断。当初500個の配布を予定していたが、告知から1週間で全国の医療機関から約6000個の申し込みが寄せられた。

政府や自治体が買い上げ持続可能性を上げることが今後の課題

ジャパン・メディカル・カンパニーの大野秀晃CEO:
自分たちの会社が生き残れるところまで、製造と提供をし続けようと思っています。

一方、現場の医師からは…

東京慈恵会医科大学・大木隆生教授:
小さなベンチャーが心意気で無償提供してくれているが、ぜひ寄付を集めるとか、もっと良いのは、政府なり自治体なりが買い上げて持続可能性を上げることが今後の課題

1日で作れるのは100個程度。工場は毎日フル稼働状態だが、当面、無償提供を続けたいという。

(「Live News α」5月6日放送分)