専門家会議のメンバーが会見

長丁場の対応を前提とした新たな生活様式を、新型コロナウイルスの感染拡大をめぐり、専門家会議が新たな提言を示した。

安倍首相:
先ほど、西村大臣に対しまして、現在の緊急事態宣言の枠組みをおおむね1カ月程度延長することを軸に、専門家の皆さまのご意見を伺いながら、地域の感染状況に対応した対策を速やかに調整するよう指示をいたしました。

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5月6日を期限とした全国が対象の緊急事態宣言を、1カ月程度延長することを表明した安倍首相。
延長の根拠となったのは...。

首相の会見に先立ち、新型コロナウイルス対策を検討する政府の専門家会議のメンバーがデータを示し、提言した。

専門家会議・尾身茂副座長:
国民の多くの人が大変厳しい不自由な生活、仕事に耐えてくれて、ここまでオーバーシュートを避けて、下方に収束に向かうことができた。

1日あたりの新規感染者数について、4月10日ごろには、700人近くまで上昇していたものの、直近では200人程度にとどまり、減少傾向にあるとした尾身副座長。

また、1人の感染者から何人が感染するかを示す実効再生産数についても、全国では、3月25日時点では2.0人だったのに対し、4月10日は0.7人に。
東京では、3月14日には2.6人だったが、4月10日は0.5人と1人を切っていることを明かした。

減少のスピードが緩やか

一方、尾身副座長は、減少する際のスピードが緩やかで、期待するほどではなかったと指摘した。

その理由については...。

専門家会議・尾身茂副座長:
渋谷駅や難波駅のような地域では、年齢群によって達成状況が異なる。30歳代以上の生産年齢人口の接触頻度の減少は、明らかに8割に達していない。都道府県をまたぐ移動を見ても3~5割の減少にとどまることが多く、都心等への通勤を続ける限り、生産年齢人口の接触頻度の減少度合いが少ないことがだいたいわかってきた。

安倍首相が人と人の接触機会を極力8割削減をうたう中、東京や大阪の主要駅では、10代、20代の接触が緊急事態宣言後に8割以上減ったものの、30代以上は目標に届いていないとした。
さらに、感染状況が厳しい地域は、依然として医療現場の逼迫(ひっぱく)した状況は解消されておらず、こうしたことなどから、引き続き外出自粛などの行動変容の要請をする必要があるとした。

専門家会議・尾身茂副座長:
長期戦と皆で戦うのはいいんだけど、もう少し別の言葉がいいということで、われわれは徐々に長丁場の対応というか、そういう言葉、長丁場の対応をした新しい生活様式の定着が必要になると思う。

安倍首相は、週明け4日に緊急事態宣言の延長を決定し、自ら国民に説明する方針。

地域の状況に応じた対策を

内田嶺衣奈キャスター:
専門家会議では、新規感染者数の傾向について、全国的に減少傾向にあるとしました。
しかし、その状況は地域によって異なるようですね。

安宅晃樹キャスター:
こちらは、適切な対策がとられた場合に、新規感染者数が時間を追うごとにどのように推移していくかというものを表したイメージです。

安宅晃樹キャスター:
どの段階に地域があるかによって変わってきます。
まずは、新規感染者数が一定水準まで低下していない、つまり、状況が厳しい地域では、外出自粛や特定の業種の営業の自粛など、これまでのような徹底した行動変容の要請が必要となってきます。
ただ、やはり自粛疲れというものも懸念されており、社会的に必要性が高く、感染リスクを十分に下げられる事業などで、制限を一部解除、緩和していくことも検討する必要があるとしています。

安宅晃樹キャスター:
その一方で、新規感染者数が限定的になっている地域では、対策を一定程度緩められるようになると、その中で新しい生活様式の定着が必要だということなのです。
どういうことかというと、3密の回避ですとか、テレワークや時差通勤などといった働き方の工夫、これを生活に根づかせる、定着させる必要があるということなのです。
ただ、この段階にあったとしても、再び新規感染者が増加した場合には、また1つ前の徹底した行動変容の要請が必要になるということです。

(「Live News α」5月01日放送分)