養殖が難しい海であえてワカメ養殖に挑む!

愛媛県新居浜市の海で去年から若手漁師たちがワカメの試験養殖に取り組んでいる。実は新居浜沖のひうち灘はワカメ養殖が難しい海とされていた。それでもあえて養殖に挑んだ漁師たちに密着した。

新居浜市の垣生海岸から300メートル沖。海面に浮かぶオレンジ色のブイ。近づいてみるとロープから伸びる黒い影が見える。ロープを手繰り上げると大きく育った海藻が次から次へと姿を表した。

引きあげられたのはワカメや昆布。新居浜市の垣生地区の若手漁師らが試験養殖したものだ。

ワカメの養殖に取り組んでいるのは地元で水産物加工業を営む元漁師の山﨑浩さんと県漁協垣生支所の漁師・岡田一裕さん、息子の裕夢さんの3人。

3人がワカメの養殖に取り組み始めたのは2019年10月。漁師の新たな収益確保先を目指しての挑戦だという。

県漁業協同組合垣生支所 漁師 岡田一裕さん:
今の時期はあまり捕れないんです、魚。ワカメでちょっとでも収入が増えたらと思って

水産物加工「ビーコシーフード」山﨑浩代表:
海藻養殖なら素人ながら開拓されてない浜でも一つ事業になるんじゃないかと思って。手がつけやすかったということですね

愛媛県によると、伊予灘やしまなみ海道の島しょ部など県内でも22ヵ所ですでにワカメ養殖が行われている。

しかし、東予地方のひうち灘は冬場には風が強く波が高くなることなどから本来、養殖に向かない海。これまでもワカメ養殖に挑戦した人がいましたが成功例はなかったという。

水産物加工「ビーコシーフード」山﨑浩代表:
それが現実なのかも僕たちには判断がつかなかったので、素人ながらに同じ海だからできるんじゃないかと。僕は漁師の力を信じてやりました

山崎さんらはワカメ養殖への挑戦を始めたが、スタート当初はまさに手探り状態。そこで、国内でも有数のワカメ産地徳島県の養殖業者らに協力を仰いで取り組みを進めた。

養殖の場所に選んだのは周辺の漁に影響がない垣生海岸から300メートル沖合の海。2019年12月、徳島県鳴門のワカメと北海道産の真昆布の種を植えた長さ18メートルのロープを5本、海中に浮かべた。そして、ロープの深さを調整するなど毎日管理を続けてきた。

成長がなかなか見られずあきらめかけていた今年2月、ついに芽が伸びた。そこから、ワカメは波の影響も受けず順調に成長を続けた。一度はあきらめかけていた養殖。しかし、ワカメと昆布はしっかりと大きく成長してくれた。中には長さ2メートルを超えるものまで。

初めての試験養殖はワカメと昆布計800キロもの収穫という成果をおさめることができた。まずますの出来に地元のベテラン漁師も絶す。

地元のベテラン漁師:
昆布はこの辺でこれだけ出来たら上等じゃわ。ワカメも上等じゃ

収穫したワカメを加工場でゆで上げると鮮やかな緑色に。
新居浜の海が育んだ新鮮なワカメ味は…

加工担当の従業員:
こりこりしておいしいです

水産物加工「ビーコシーフード」山﨑浩代表:
シャキシャキしておいしいです。初めてにしてはよくできたんじゃないかと思います

難しいといわれたひうち灘でのワカメの養殖へ向けて確実な一歩を進めた若手漁師たち。山﨑さんはワカメ養殖を地元漁業の活性化のきっかけにしたいと意気込んでいる。

水産物加工「ビーコシーフード」山﨑浩代表:
すべての起爆剤になるのではないかと思っています。プロがやっている塩蔵ワカメだけでなくて
真空で冷凍してどこまで商品が持つのかとかボイルしてどうなのか。これが入り口です。まだスタートしたばかりなので。10年後儲かる漁業を私が見てみたいそういう風に思ってます

(テレビ愛媛)