世界最高峰のアクションスポーツの祭典「X Games Chiba 2022 Presented by Yogibo」が24日にZOZOマリンスタジアム(千葉市)で行われ、スケートボード男子ストリート決勝で東京五輪金メダルの堀米雄斗(23)が“ゴン攻め”の新技を連発し金メダルを獲得した。大会後に堀米を単独直撃すると、優勝を手繰り寄せた新技の秘話を明かしてくれた。

新トリック本人解説&優勝秘話

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日本初開催の「X Games」で優勝した堀米は大会をこう振り返った。

「このトリック(技)を今回メインにして、これを乗って優勝したいと思っていました」

堀米が言うトリックとはこの大会に向けて用意した新技「ノーリーバックサイド180 スイッチ スミスグラインド」だ。堀米は男子ストリート決勝の1回目の最後のトリックでこの新技を決めトップに立った。

階段やレールが設置されたコースで技を競うストリート。通常とは逆の後ろ足から飛び、180度回転、後ろの金属部分でレールを滑る超高難度の大技だ。優勝を手繰り寄せたこの新技の難しさを堀米はこう解説する。 

「まず背中側に向いていてレールの位置が見えないのと、後ろ向きに降りるトリックなので着地がすごく難しいです」

視界の外のレールに乗る研ぎ澄まされた距離感と、さらに着地で後ろ側に体重がかかるため、強靱な体幹が必要となる。

きっかけは雨

そんな高難度の大技を決めきった裏には意外なきっかけがあった。

「やっぱり一番心配だったのが、雨が降っていたことでした。『決勝は1本しかないかも』と言われていていて、うわ~マジかみたいな、はずせないな、後がないな、そういうプレッシャーがありました」

千葉市内はこの日、雨予報。男子ストリート決勝は開始時間が変更された。予選を通過した8人の選手が45秒の「ラン」を繰り返し行い、最も評価の高いランで順位を競うストリート。雨の影響でこの1回の演技で結果が決まる可能性もある中、堀米はプレッシャーを抱きながら新技に挑んだことを明かしてくれた。

窮地で繰り出した新技

プレッシャーの中迎えた決勝の1本目、最初のレ-ルで華麗にトリックを決めるも2つ目のレールを使ったトリックでは着地で手をつくミスをしてしまう。それでも、演技の流れを途切れさせることはなく、新技「ノーリーバックサイド180 スイッチ スミスグラインド」を決めて見せた。

「手をついちゃったので、『これはやるしかないな』と思って。あのトリックで最後決められて良かったです」

ミスを挽回するため腹をくくり窮地で繰り出した新技だったことを明かしてくれた。

観客を力に“天の神様”を味方に

金メダルをほぼ確実とした堀米だが、それでも2本目にまたもや新技「スイッチ トレフリップ リップスライド」で会場の観客を驚かせた。3本目は雨が降ってきたため中止に。観客の応援を力に、“天の神様”をも味方に自身2度目の「X Games」を制覇した。

「楽しめたというのはありましたね。(無観客の)オリンピックとはまた別の感覚で観客が埋まっているところを見て頑張ろうって気持ちが入ったというか、みんなの応援が結果につながったのかなと思います」

強さの秘密をライバルに直撃

かつて堀米と米ロサンゼルスで同居していた2021年のXゲームズの金メダリストで今大会ストリート6位のダショーン・ジョーダン氏(25)は強さの理由をこう挙げる。

「雄斗はプレッシャーに強いんだ。大舞台に強いんだよ」

そして、東京五輪の銅メダリストで今大会ストリート5位のジャガー・イートン(21)はこう語る。

「雄斗は独自の技を持っているね。本当に珍しい技ができるんだ。雄斗は次世代のスケーターにとってパイオニアだよ」

男子ストリートでは初出場の池田大暉(15)が2位、東京五輪にも出場した白井空良(20)が3位と、日本勢が表彰台を独占。2年後のパリ五輪に向け堀米が次世代のスケーターをけん引する。

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