NYクオモ知事「感染は峠を越し減少に転じた」

米国は、新型コロナウイルスとの戦いで苦境を脱したようだ。

米国の感染の中心地ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は、19日の記者会見で同州の感染者が4日連続で減少し、入院患者も大幅に減ったことから「感染は峠を越し、減少に転じた」と語った。

ニューヨーク州のクオモ知事

その他の地域でも、新型コロナウイルスの感染者や死者は、概ね増加のカーブが頭打ちか低下を始めており、トランプ大統領は20日(現地時間)に合衆国連邦緊急事態管理庁(FEMA)から全国の州知事を結んで外出禁止などの規制を緩和するための会議を行うと発表した。

国別感染者数の推移 緑がアメリカ合衆国(ジョンズ・ホプキンズ大学HPより)

米国の感染者は75万人、死者は4万人に達しているが、ここへきて「トンネルの先に明かりが見える」状況になってきたようだ。

「この40日間感染者のグラフを見つめてきたが、上りカーブが急になるばかりで厳しい山登りをしていて頂上が見えないような不安を感じていた。ここへきてやっと下坂になってホッとしているところだ」

クオモ知事はこうも語った。

連邦麗府への謝意を表明したクオモ知事

この回復をもたらしたのには、ニューヨーク州の医療関係者44万5000人と介護関係者16万人の献身的な努力があったことは言うまでもないが、工兵隊を出動させてコンベンションセンターを2900床の病院に改修したり、人工呼吸器を自動車メーカーに製作させたり、世界的な素材メーカーに医療用のN95マスクを量産させた連邦政府の援助が大きかったとクオモ知事は謝意を述べるのに躊躇しない。

「連邦政府は頑張ってくれました。私たちの力強いパートナーでした。そう言ったのは私が最初ですが。私たちが助けを必要とした時、連邦政府はすぐに応じてくれました。州政府も地方政府もよくやりました。病院関係者はよくやりました。ニューヨークっ子たちもよくやりました。それは疑うべくもありません。(感染グラフを示しながら)始めはここまで感染者が増えると言われていたのに、今はこの低さです。この(予想と現実の)食い違いはどうして起こったのでしょう? 連邦政府と州政府の助けを借りて人々が英雄的な献身をした賜物なのです」

クオモ知事は民主党員で、今回の新型コロナウイルス問題への対応が大きく評価され、立候補もしていないのに大統領候補に推す声が高まっている。将来はライバルになるかもしれない同知事に対してトランプ大統領も19日の記者会見でエールを返した。

「(クオモ知事は)良いことを言ってくれた。これは民主党だの共和党だのという問題ではない。これまでに経験したことのない国難に立ち向かう戦いなのだ」

「これまでに経験のない国難に立ち向かう戦い」と語るトランプ大統領

「トランプは危機対応の教科書を書き換えた」と評価する声も

トランプ大統領は、新型コロナウイルスへの対応が遅れたのではないかと民主党や反トランプのマスコミから批判されているが、事態が悪化してからの対応については評価する声も多い。

「トランプは危機対応の教科書を書き換えた」

17日のウォールストリート・ジャーナル紙電子版の記事は、トランプ政権が1950年の国防生産法を活用して医療物資を調達したことなど危機にあたって規制緩和と非中央化でスピーディな対応ができたと分析している。

これからは、規制緩和による感染第二波を抑えつつ経済回復をはかるというより難しい局面を迎えるわけで、改めてトランプ大統領の指導力が問われることになりそうだ。

【執筆:ジャーナリスト 木村太郎】
【表紙デザイン:さいとうひさし】