多くの感動を残して閉幕した北京オリンピック。その熱戦は、子どもたちの未来につながっている。
新潟・長岡市でアルペンスキーに打ち込むクラブチームを取材した。
北京五輪に出場した古野慧選手 基礎を学んだのは地元のクラブチーム
バンクやジャンプをクリアして順位を競うスキークロス。北京オリンピックでこの競技に挑んだのが、長岡市出身の古野慧選手だ。


転倒もあり、思うような結果は残せなかったが、世界の強豪選手と肩を並べた大舞台。
古野慧選手:
この大会に出場できたことが大きな経験。次につなげていきたい
その基礎は、小学生時代に在籍していた『長岡アルペンジュニア』で学んだ。

長岡市を中心に、アルペンスキーを小学生から高校生まで指導する長岡アルペンジュニア。
ヘッドコーチの高橋祐一さんは、少年時代の古野選手も指導していた。
“スキーを楽しむ”…子どもたちを指導する高橋さんが大事にしていること

長岡アルペンジュニア 高橋祐一さん:
古野選手は午前8時半開始の練習後も、ナイターが終わるまで楽しそうに滑っていた。スキーを楽しんでいたことがオリンピックにつながったと思う
先輩がオリンピック選手になったことを、子どもたちは…
長岡アルペンジュニアに所属する子ども:
長岡アルペンジュニアからオリンピック選手が出ることはすごい
長岡アルペンジュニアに所属する子ども:
(古野選手は)みんなの目標にもなって、頼もしい存在

46歳まで国体の県代表選手として10回出場した高橋さん。その指導に厳しい言葉はない。
長岡アルペンジュニア 高橋祐一さん:
楽しむことが大事。欠点を指摘するのも大事だけど、良いところを見つけて伸ばしてあげたほうが結果的には良い方向に行くと思う
高橋さんの仕事は木工 こだわりは“桐の特性”生かす商品作り

そんな高橋さんが仕事にしているのは、桐専門の木工。
長岡アルペンジュニア 高橋祐一さん:
これはコーヒー豆を入れるケース。桐は収縮が少ない木なので、密閉度を上げるには有効

その商品はデザイン性などを評価され、道の駅・ながおか花火館の御貢屋で販売されている。
御貢屋 平石功 店長:
フタがスッと開いて気持ちいいし、オシャレ。すごく気に入っている

木工を仕事にする高橋さんは、“職人”という言葉に抵抗があるのだとか。
長岡アルペンジュニア 高橋祐一さん:
職人というと経験や勘というイメージがあるが、木材の収縮などをきちんと計算して(桐の特徴である)軽さを商品に生かす
“良さを伸ばす” 子どもへの指導と木工には共通点…一方で弱点の克服は?

桐の良さを生かした商品作りは、長岡アルペンジュニアでの子どもの指導にもつながっている。
長岡アルペンジュニア 高橋祐一さん:
子どもたちの良さや得意なところを伸ばすのが(木工との)共通点

高橋さんは指導するなかで、「どうだった?」という言葉をよく口にする。
長岡アルペンジュニア 高橋祐一さん:
自分自身で、改善点を見つけるのも大事
弱点の克服は、子どもたちの“自主性”に任せていた。

小学6年生 大塚真緒さん:
切り替えが遅いし、足ががたついて…
長岡アルペンジュニア 高橋祐一さん:
自分で理解してるじゃん。いいよ
小学6年生の大塚真緒さん。高橋さんと会話を交わし、再びコースを滑ると…
長岡アルペンジュニア 高橋祐一さん:
迫力が出た。ものづくりにしても、良かったところ・悪かったところを分析して次に生かすのが大事。子どもたちにも手をかけて、うまくしてあげたい
“反省も…” 休日に指導する高橋さん 妻・明子さんも子どもたちの成長見守る

スキーのオフシーズンにはインラインスケートやフィジカルトレーニングなどをして、20年近く仕事の休日に子どもたちを指導してきた高橋さん。
妻の明子さんも、指導をサポートしている。
高橋さんの妻・明子さん:
子どもたち、頑張ったね
長岡アルペンジュニア 高橋祐一さん:
みんな動きが良くなったから、よかったね

指導の合間も、高橋さん夫婦の会話の中心は所属する子どもたちについて。
長岡アルペンジュニア 高橋祐一さん:
自分の子どもを育てたときの反省もある。あんなに厳しくしなくてもよかったなとか
高橋さんの妻・明子さん:
短い期間の成長ではなく、長い期間での成長を見る。
“きのうより少しでも成長を” 五輪選手が育ったチームで夢追う子どもたち

子どもたちの成長を信じて指導する高橋さん。
長岡アルペンジュニアに所属する中学2年生の橋本朋弥さんは、県スキー連盟のアルペン14歳以下の部門で県代表に選ばれている。
中学2年生 橋本朋弥さん:
ワールドカップに出たいと思っている

長岡アルペンジュニア 高橋祐一さん:
きのうよりきょう、少しでも成長することが大事かな
スキーを楽しみ、努力する心を育む。
オリンピック選手が育ったクラブチームには、夢に向かう子どもたちの姿があった。
(NST新潟総合テレビ)