野党の支持率下落に歯止めがかからない。通常国会が開会して1カ月あまり。永田町では「国会開会中は、野党が政府・与党を追及し、国民の支持を集められる場」(与党関係者)と言われ政府・与党の支持率が下がることが多いが、野党各党ともに“空回り”状態が続く。

FNNは、2月19・20日の両日、全国の18歳以上の男女を対象に、電話世論調査(固定電話+携帯電話・RDD方式)を実施し、1,011人から回答を得た。

政党別支持率について、野党各党ともに衆議院選挙後の臨時国会が開かれた去年11月がピークで、それ以降、支持率下落の傾向が続いていることが分かった。

支持率の下落止まらぬ野党

野党の主要4党の支持率の推移を「11月→12月→1月→2月」と1ヶ月ごとに見ていくと、
立憲民主党 9・0%→7・2%→6・0%→5・0%
日本維新の会 11.7%→8・1%→6・7%→5・9%
国民民主党 1.9%→1.7%→1.3%→0.4%
共産党 3.6%→2.6%→2.7%→2.3%
と、いずれも下落傾向にある。

一方で与党は、
自民党 40.2%→38.6%→40・3%→40・7%
公明党 2.9%→3・6%→3・2%→3・9%
と支持率を維持している。

立憲 野党内のゴタゴタが影響か

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野党第1党の立憲民主党は、泉新執行部が去年11月に発足して以降、高校生以下への10万円相当の給付をめぐり、政府に対して一括現金給付への転換や離婚などで受け取れない世帯に対する対応を迫り、実現させた。また、新型コロナウイルス感染者の濃厚接触者の待機期間が10日から7日に短縮されたことについても「我が党の提言から、政府の政策が変わった」(泉代表)と「政策提案型」への転換を図ったことへの自信を深める。しかし、夏の参院選に向けた共産党などとの野党連携の方向性を明確に示せていないことや、“新たな暴走老人”とも揶揄される菅直人元首相の「ヒトラーツイート」など政策以外で注目された。低下する支持率について、立憲関係者は「世論調査に一喜一憂しないが、野党内のゴタゴタが影響した部分もあるのだろう」と語る。

維新と共産 続く応酬

衆院選で躍進し、“支持率では野党第1党“となっている日本維新の会は、看板政策に掲げる「国会改革」の打ち出しに躍起だ。いわゆる文通費問題や国会の委員長手当の廃止をめぐり法案を提出するなど、「国民感覚」を前面に押し出してきたが、次の一手はなかなか見つからないのが実情だ。維新幹部は、「政治と金のスキャンダルなどは分かりやすいが、重箱の隅をつつくのは我々のやり方ではない。一方で、個別政策の問題点を国民に理解してもらうことは思った以上に難しい」と悩みを吐露する。

また、国会対策の新たな協議の枠組みに維新が参加し共産党が外れたことについて、共産党から名指しで批判された一方で、予算委員会での共産党の議員の発言をめぐり、抗議文を提出するなど、応酬が続いている。野党内政局について、「一面的には、それで支持を落としている可能性はあるかもしれないが、我々も黙っていられないところは引き続きやる。ただ、本丸は自民党にどう対峙するかだから、政策面でしっかり対立軸を作っていく」と語るが、具体策は詰まっていない。

国民 異例の賛成も今後は

国民民主党はガソリン税の一部を軽減するトリガー条項の凍結解除を国会でいち早く訴え、通常国会でも政府に再三に渡り検討を促していて、岸田首相も21日、「早急に検討したい」と応じた。これを機に「対決より解決」を訴える国民民主党は野党の立場で異例とも言える新年度予算案に賛成の立場をとった。野党内から「自民党へ秋波を送る“自公国“の足がかりではないか」「国民民主は与党を見ている」との声もあがっている。

一方、国会内で意見交換会を開催する「都民ファーストの会」とは夏の参院選を見据え合流の方向で協議を進めるも、道筋はいまだ不透明だ。国民民主の幹部は支持率低下の要因を「報道される機会がめっきり減ったためではないか」と分析するが、打開策は見つかっていない。

与野党各党は夏の参院選に向けて、通常国会開会中に存在感を示し、国民にアピールしたい考えだ。しかし「野党は攻めあぐねている」(与党関係者)と指摘されるように、国会の論戦は盛り上がりに欠けているとの声もある。ある野党幹部は「真面目に仕事をしているが、野党の質問はどうしても記憶に残らない」と嘆く。

巨大与党に立ち向かうために野党各党は「野党内政局」を超え、どういう戦略を描くのか。

(政治部)

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総理大臣、官房長官の動向をフォローする官邸クラブ。平河クラブは自民党、公明党を、野党クラブは、立憲民主党、国民民主党、日本維新の会など野党勢を取材。内閣府担当は、少子化問題から、宇宙、化学問題まで、多岐に渡る分野を、細かくフォローする。外務省クラブは、日々刻々と変化する、外交問題を取材、人事院も取材対象となっている。政界から財界、官界まで、政治部の取材分野は広いと言えます。