事業者向けに法人「200万円」個人「100万円」

新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済対策では、家計向けに「現金30万円」給付が実施されるが、収入が落ち込んだ事業者に対しても、「持続化給付金」と呼ばれる新たなしくみが設けられた。

中堅、中小企業や小規模事業者のほか、フリーランスを含む個人事業者を広く対象とするもので、最大給付額は、法人が200万円、個人事業者が100万円だ。

経産省は、この給付金の詳しい内容を公表した。

この記事の画像(5枚)

1月から12月で半減した月の売上をもとに計算

家計向けの「現金30万円」が、今年2月から6月までの任意の月の収入の落ち込みをみるのに対し、こちらの給付金の判定月は、今年1月から12月までと幅広い。

どこかの月の売上が、去年の同じ月の半分以下に減っていれば対象だ。

落ち込んだ月の売上が1年間続いたと仮定し、去年の売上との差額分が支給される。

去年1年間の売上ー半分以上減った月の売上×12=給付額(上限:法人は200万円、個人は100万円)

たとえば、フリーランスの個人事業者が、去年1年間の売上が200万円で、4月の売上が去年は20万円だったのに、今年は10万円に半減した場合、200万円-10万円×12=80万円となり、80万円が支払われる計算だ。

Web申請が基本

この給付金は、Webでの申請が基本だ。

法人は法人番号、個人事業主は本人確認書類とともに、①去年の確定申告書の控え②減少月の事業収入がわかる帳簿や書類を提出することになる。

また、必要情報の入力などで支援が必要な事業者向けに、各地に支援窓口が設置される。

個人の場合、「事業所得」で申告している人が対象になる見通しだ。

「青色申告」をしている人だけでなく、「青色」ほどの帳簿付けは行っていない「白色申告」のケースもOKとし、去年の途中で開業した人も含める方向で調整されている。

一方、原稿料や講演料などを「雑所得」で申告している場合は、対象にはならない方向だ。

電子申請は2週間後の振り込み目指す

経産省は、補正予算の成立後、1週間程度で申請受付を始めるとしていて、電子申請の場合、申請後約2週間での銀行口座への振り込みを想定している。ゴールデンウィーク明けに第1号の支給を目指す考えだ。

休業の動きが広がり、資金繰りの厳しさが一段と増す中、事業継続を下支えする上で有効な手立てとなるのか。給付へのスピードが問われる。

【関連記事:「現金30万円」がもらえる条件を発表! 焦点の「住民税非課税水準」は全国一律に

【執筆:フジテレビ解説委員 サーティファイド ファイナンシャル プランナー 智田裕一】
【表紙デザイン+図解イラスト:さいとうひさし】

智田裕一
智田裕一

金融、予算、税制…さまざまな経済事象や政策について、できるだけコンパクトに
わかりやすく伝えられればと思っています。
暮らしにかかわる「お金」の動きや制度について、FPの視点を生かした「読み解き」が
できればと考えています。
フジテレビ解説副委員長。1966年千葉県生まれ。東京大学文学部卒業。同大学新聞研究所教育部修了
フジテレビ入社後、アナウンス室、NY支局勤務、兜・日銀キャップ、財務省クラブ、財務金融キャップ、経済部長を経て、現職。
CFP(サーティファイド ファイナンシャル プランナー)1級ファイナンシャル・プランニング技能士
農水省政策評価第三者委員会委員