マンボウの顔を見分ける飼育員が凄い!

「水槽のガラスに衝突して死んでしまう」などの“最弱伝説”を聞いたことのある人も多いと思うマンボウ。

編集部では以前にも「マンボウは本気を出すと早く泳げる」などマンボウの生態についてお伝えしてきた。

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そんなマンボウについて、アクアワールド茨城県大洗水族館のTwitterの投稿が話題になっている。

7匹のマンボウを飼育しているアクアワールド茨城県大洗水族館が、「マンボウは1匹ずつ食べるえさの量が決まっていて、きちんとトレーに準備されています。わらわらと集まってくるマンボウたちの顔を見分けながらエサを与えるのは、飼育員の腕の見せ所です。」とのコメントとともに動画を投稿。

動画を見てみると、飼育員が持ったエサを食べようと1匹のマンボウが近づいてくるが、別のマンボウに与えるエサであったため、マンボウを手で制しスルーして、お目当てのマンボウにエサを与える場面がある。確かにマンボウの顔を瞬時に見分けていることが伺える。

1匹ずつ決まった量を与えるためとはいえ、素人目にはわからないマンボウの顔を見分けながらエサを与えるプロの技に驚きだ。
 

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「顔を見分けられるなんてすごい」や「職人技ですね」などのコメントが寄せられ、14万4000超のいいねが付き、動画は320万回再生されている。(4月8日現在)

では、マンボウをどのように見分けているのだろうか。アクアワールド茨城県大洗水族館にお話を伺った。

体表の傷やヒレの切れ込みなどで識別

ーーなぜマンボウのツイートをしようと思った?

最近では水族館へ出かけることすら難しい方が多いので、水族館の生き物の様子が垣間見える情報を発信し、家の中でも水族館の雰囲気を楽しんでいただきたいと思ったためです。

ーーマンボウの個体はどのように識別している?

体の大きさ、体表の傷やヒレの切れ込みなど独自の特徴で識別しています。


ーーどのくらいの期間ですべての個体を覚えた?

水族館にやってきた時点で特徴を書き出し、当日から判別を行います。新人飼育員も数日で判別できるよう、水槽前で繰り返し確認してもらいます。
 

3カ所の餌場で飼育員3人が同時に与える…その理由は?

ーー個体を間違えてしまうことはある?

個体を間違えると一日の給餌量が変わってしまうため、間違えないように注意します。でも、たまに他の個体に餌を食べられてしまうこともあります。

ーーエサは何でできている?毎回同じもの?

エビ、カキ、アジをミンチにしてゼラチンと水を加え、冷やして固めたものです。場合によってミンチだけで給餌することもある。
 

マンボウのエサ
マンボウのエサ

ーー個体ごとのエサの量はどのように決めている?

体型や餌の食べ具合を観察しながら個体ごとに調整しています。目安として体重の0.3~1.5%程度で体の大きさによって異なります。

ーーエサを与える時に気を付けなければならないことは?

餌場は3カ所(飼育員3人)で同時に与えます。1ヵ所の餌場に集まりマンボウ同士が衝突したり、弱い個体が食べに来られない状況を無くすためです。

 

“デリケートな魚”といわれるマンボウの飼育は、体の大きさや傷で個体を見分けて、食べたがって寄ってきてもあえてスルーし、必要な量だけエサを与える「職人ワザ」に支えられていた。
 

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プライムオンライン編集部
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