通信事業者以外の企業や自治体などが、特定のエリアでのみ利用できる次世代通信技術「ローカル5G」を利用。担い手不足など、林業が抱える課題解決につなげる実証実験が富山・南砺市で行われた。

ローカル5Gを林業に活用する実証実験

山の中をゆっくりと進む、木材の運搬車。よく見ると、運転席の作業員は操縦していない。

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携帯電話で使われている次世代通信技術「5G」。その技術を、エリアを限定して利用するのが、ローカル5Gだ。
12月7日に南砺市利賀地域で、ローカル5Gを林業に生かそうという実証実験が行われた。

目的は、高速・大容量の5Gを使って、林業の担い手不足の解消と生産性の向上につなげること。

南砺市や市内の林業事業者などでつくる共同事業体が、総務省からの補助を受けて実施した。

島田木材・島田優平社長:
(林業は)作業員の安全を確保するのが非常に難しい状況にある。例えば、事故があった時に連絡したくても、携帯が通じないので連絡できなくて、救助が遅れることがある。安心して働ける環境でなければ、なかなか働く人も出てきてくれないのかなと

より安全・安心に働ける環境づくりにつながる可能性

実証実験では、木材を運ぶ運搬車の遠隔運転を実施。
オペレーターが、現場から約600メートル離れた指令室から、ジョイスティックと呼ばれる装置を操作すると...

約600メートル離れた指令室から“ジョイスティック”を操作
約600メートル離れた指令室から“ジョイスティック”を操作

ほとんど遅延なく、運搬車が動き出した。

ほぼ遅延なく動き出す運搬車
ほぼ遅延なく動き出す運搬車

この技術を活用できれば、木材の運搬に充てる人員を減らして生産性を上げられるだけでなく、作業中の事故の削減にもつなげられるという。

島田木材・島田優平社長:
5Gの通信環境が整えば、今回のような遠隔で機械を操作したり、機械でできる仕事は機械に任せて、人がやるべき仕事は人がやるというようなことで、より安全に効率的に安心して働ける環境をつくっていけるのではないか、そんな可能性を垣間見ることができた

実証実験を行った共同事業体では、5Gがどれだけの範囲で利用できるかや、運搬車の操作に生じた遅延などの検証結果をまとめ、2022年3月までに総務省に報告することにしている。

後継者不足に悩む林業で、ローカル5Gの活用が救世主になるのか、今後の動きが注目される。

(富山テレビ)

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