新型コロナの感染対策でテレワーカーが増加

新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中、この対策として在宅勤務などの「テレワーク」を促す動きが広がっている。

既にテレワークを実施している人もいると思うが、その中で感じるのはいつもと違う環境で仕事をすることへの戸惑いかもしれない。

メール中心のコミュニケーションに戸惑ったり、上司や同僚の目がないことからモチベーションが下がったり…。

そもそも今回のテレワークは、時差出勤と共に政府が2月25日に発表した「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」で、企業に強く推進を呼び掛けていたものだ。
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これに応じた多くの企業が積極的に導入へと踏み切ったのだが、テレワークで仕事をする人が増えていくにつれ、実はSNSなどで、自宅で働く不満や従来と違う働き方への戸惑いなどのさまざまな声も上がっている。

果たしてテレワークによってどんなメリットが生じ、一方でどんな課題があるのだろうか?

アンケートでは、86.4%が「生産性が上がった」と回答

そのような中、ソフトウエア会社のアドビシステムズが「テレワーク勤務のメリットや課題に関する調査結果」を3月4日に公開。対象は都内に勤務し過去3ヶ月以内にテレワーク勤務をしたことがある男女500人で、2月10日〜17日にインターネットで調査を実施していた。

なお調査期間が上記であることから、日本政府による新型コロナウイルスの対策基本方針が決定される前の調査となる。

まずは、やはり気になる、テレワークによる自分の生産性がどう変わったかどうか。

「とても上がった(34%)」「どちらかといえば上がった(52.4%)」と合わせると、86.4%が「生産性が上がった」と回答し、そして93.2%が「今後も定期的にテレワークを実施したい」と意欲を見せている。肯定的な意見が大半を占める結果となったのだ。

出典:アドビシステムズ (以下グラフ全て)

しかしこの結果だけでは、一体どんな理由で生産性が上がったのか、またなぜ肯定的な意見が多いのかまでは分からない。これらの疑問点について、アドビシステムズの担当者に詳しく話を聞いた。

――「生産性が上がった」とは、具体的にどんな理由だった?

通勤時間の短縮や人に話しかけられることがなく集中して作業が行える点で、生産性が上がったと感じていると考えられます。


なお同社によると、テレワークを今後も実施したいと回答した人からは以下のようなコメントがあったという。

・通勤がなくて楽なので
・移動時間の無駄を省きたい
・自分の時間が持てる、通勤ラッシュに乗らなくて済む
・家族との時間も作れて、仕事も順調にこなす事が出来ているから
・子供が熱を出したときなどに在宅勤務ができて良い
・満員の電車に乗り通勤して、夕方家に帰る作業が最も疲れ、また次の日乗ると思うとうんざりする。それがないのでとても楽で効率よく仕事ができる


アンケートの対象が都内勤務者ということもあり、やはり通勤によるストレスが解消されたことが大きなメリットだったようだ。

テレワークによる仕事上の問題とその対応は?

次は、テレワークを実施して感じた問題点、つまりデメリットについてだ。こちらは「業務上の課題」と「心理的・身体的な課題」の2通りの観点で質問を行っている。

まず業務上の課題。

仕事をする上で発生した問題について、最も多かった回答は「会社にある紙の書類を確認できない(39.6%)」で、次いで「プリンターやスキャナーがない(36.2%)」「自分以外の仕事の進捗が把握しづらい(35%)」が続いている。

さらに、「紙書類の確認や捺印などでやむなく出社した経験があるか」という質問では、64.2%の人が経験ありと回答した。
これらの問題をどう対応すればよいのだろうか?

――「紙書類を確認できない」悩みはどうすればいい?

持ち出し不可の書類以外はデジタル化してクラウド上に保管することで、場所を問わず確認することができます

――では「自宅にプリンターやスキャナーがない」場合は?

弊社のツールでいうと無償のモバイルアプリAdobe Scanによって紙の書類をデジタル化することが可能です。印刷しなくてもデジタル化することでスマートフォンやタブレットの画面で書類を確認しながらPCで業務を行うことも可能なので、そのような文書デジタル化ツールを利用すると良いと思います。

――「自分以外の仕事の進捗が把握しづらい」という悩みは?

組織内でテレワークのルールを決めてコミュニケーションツールで進捗を報告しあうといった方法が考えられます。

「つい仕事以外のことをしてしまう」

続いて、心理的・身体的な課題。

最も多かったのは「同僚とのコミュニケーションの量が減る(38.4%)」、次いで「時間管理が難しい(30.0%)」「つい仕事以外のことをしてしまう(28.6%)」となった。

――「同僚とのコミュニケーションの量が減る」ことについての解決法は?

コミュニケーションツールを活用してビデオ会議やチャットを行うといった方法が考えられます。

――「時間管理が難しい」については?

例えば、Outlookカレンダーのような社内に公開している予定表に業務内容を入れて一日のスケジュールを計画し、ランチや休憩時間も入れておくことをおすすめします。

――「つい仕事以外のことをしてしまう」どうしたらいい?

コミュニケーションツールでオンライン(PCの前にいる)かどうかを常にチームのメンバーがわかるようにすることをおすすめします。

(画像はイメージ)

テレワーク成功のポイントも聞いた

――そもそも、この調査を行った狙いは?

東京オリンピック・パラリンピックに向けてテレワークを行う企業が増えると考え、過去にテレワークを行ったことがあるビジネスパーソンが感じたメリットや課題をまとめたインサイトを提供することで企業やビジネスパーソンの参考になればと思い、2月初旬に調査を行っておりました。

――テレワークは日本に根付くと思う?

新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、東京オリンピック・パラリンピックに向けてテレワークの利用は拡大すると思います。

――テレワークを成功させるポイントを教えて。

オフィス以外の場所からでも、オフィスにいる時と同じ業務を行える環境を整えることです。

具体的には、テクノロジーの導入だけでなく、組織におけるルールを明確化すること、従業員からのフィードバックを元に企業がルールを柔軟に変更すること。いつでもどこからでも必要な書類にアクセスして業務を遂行できるよう紙書類はできるだけデジタル化しておくことなどが挙げられます。

――最後に、テレワークに移行する会社へアドバイスをするとしたら?

普段から紙書類をデジタル化しておくことにより、クラウドやモバイル環境での文書の閲覧、編集、共有および文書業務とそのプロセスを効率化することが可能です。

この機会に、文書のデジタル化とクラウドストレージの活用、電子サイン等の活用を検討されてみてはいかがでしょうか?


新型コロナウイルスの収束がいまだ見えない中、企業が取り組むテレワークもいつまで続くのか先行きが見えない状況だ。

今回は政府の基本方針があったことから、急遽、テレワークを始めることになったビジネスワーカーも多いことだろう。慣れないテレワークに困っているのであれば、これらのアドバイスを一度試してみてほしい。


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