「寝ぼけたジョー」が目を覚ました
sleepy Joe(寝ぼけたジョー)とトランプ大統領がからかっていたジョー・バイデン 前大統領が目を覚ましたようだ。
3日行われた米大統領選民主党候補者選びの天王山「スーパーチューズデー」で、バイデン副大統領はそれまで最有力視されていたバーニー・サンダース上院議員を抑えて獲得大議員数でトップに立ち、それまで「眠っていた」かのような不調が嘘のような躍進を見せた。
この記事の画像(4枚)7月13日からウィスコンシン州ミルウォーキー市で開かれる党大会で過半数の代議員のを獲得するか、決選投票になっても民主党主流派の多い特別代議員(スーパーデレゲート)の支持が期待できるので民主党の正式な候補者に指名される可能性が強まった。
次男のウクライナ疑惑
そこで、本選でも「目を覚ました」ままトランプ大統領に勝つことができるかだが、これにはいくつかの「?」が付く。
まず、昨年から共和党に攻撃されている次男ハンター・バイデン氏のウクライナのエネルギー会社とのスキャンダル疑惑がある。米国の援助の見返りに、次男を追求していたウクライナの検事を更迭するようウクライナ大統領に迫ったことを得意げに話すバイデン前副大統領の映像は、トランプ陣営がテレビCMで嫌というほど流すことになるだろう。
「軽い認知症?」という指摘も
次に問題になりそうなのが、前副大統領が軽い認知症かかっているのではないかという指摘だ。というのも、同副大統領は集会やマスコミとのインタビューで「失言」で済まない間違いを起こしているからだ。
最近の例でも、1日に行ったフォックスニュースのマイク・ウォレス氏とのインタビューの終わりに「チャック、ありがとう」と言ってウォレス氏を面食らわせた。「チャック」というのは、ライバル局MSNBCのキャスターのチャック・トッド氏と考えられるからだ。
その翌日テキサス州で開かれた集会でもバイデン前副大統領は「スーパー・チューズデー(火曜日)」を「スーパー・サースデー(木曜日)」と言いかけたり、演説の決定的な部分で引用するはずだった米国の独立宣言の有名な一節「すべての人間は生まれながらにして平等であり、その創造者によって、生命、自由および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられている・・・」を思い出せなかった。
「すべての男性も女性も生まれながらにして・・・・ほらあれだよ。分かるだろう」
これが民主党内のことなら「78歳だし、物忘れもするよね」で済むかもしれないが、トランプ大統領との討論では徹底的に叩かれることは間違いない。
サンダース氏支持者離反の可能性も
さらに、バイデン前副大統領が民主党あげての支援で候補者に選ばれると、ライバルのサンダース上院議員の支持者が離反することが考えられる。
前回2016年の民主党の候補者選びでも、党主流派がヒラリー・クリントン候補を露骨に支援して、草の根の支援者に支えられたサンダース上院議員に不利になるような党大会の運営をしたと言われた。
その結果、候補者選びでサンダース上院議員を支持した者の12%が本線ではトランプ候補に投票したという分析が選挙を分析、研究するCCESから発表されている。
2016年の民主党候補者選びでは1300万人以上がサンダース上院議員に投票した。その12%というと156万人になる。決して無視できない数字だ。
勝利のためには「目を見張る」活躍を
「トランプを倒せるのは私しかいな」とバイデン前副大統領も訴えるが、そのためには「目を覚ます」だけでなく「目を見張る」ような活躍が求められるだろう。
【執筆:ジャーナリスト 木村太郎】
【表紙デザイン:さいとうひさし】