2月3日アイオワ州で党員集会スタート
米大統領選は、いよいよ来月3日(現地時間)アイオワ州で候補者選びの党員集会が行われ本格的にスタートする。
共和党はトランプ大統領に対してラジオのトークショーのホストのジョー・ウォルシュ氏と元マサチューセッツ州知事のビル・ウェルド氏が挑戦するが、現職の地位は揺るぎないものとみられマスコミの話題にもなっていない。
問題は混戦が続く民主党の場合だ。最新のモンマス大学の世論調査ではジョー・バイデン 前副大統領24%、バーニー・サンダース上院議員18%、ピート・ブッディジェージ元サウスベンド市長17%、エリザベス・ウォーレン上院議員15%で残る8人は一桁の支持率になっている。
民主党党員集会独特のルール
このまま投票が行われると、バイデン前副大統領が有利のように見えるがアイオワ州の民主党党員集会独特のルールでそうは簡単にはいかない。
そのルールでは、第一回の選挙で得票率15%以下の候補者は除外され、その下位候補者に投票した有権者によって再選挙が行われる。つまり二回目の選挙で逆転する可能性は十分あるわけだ。
今回世論調査上位4人の候補者が残ったと仮定すると、除外された候補者の中にバイデン前副大統領に同調する者が多くはないので上乗せは限られるだろう。またサンダース議員とウォーレン議員は共に左派系で、二回目も二人で支持者を分けると考えられる。となると、二回目は中間派で若手のブッディジェージ前市長に流れる支持が多いのではないかとも見られている。
「コイントス」で勝敗を決める?!
党員集会はアイオワ州の1681選挙区で行われる。大きいところでは学校の体育館が使われるが、党員の少ない地区では教会や個人の住宅が使われることもある。先ず支持する候補者別に出席者がグループ分けされる。30分間は移動が可能で、他のグループの参加者に自陣に参加するよう説得したりする。その後グループの人数を計算して全員の15%に満たないグループは解散され、そのメンバーに上位のグループを選ぶ機会が与えられるが、棄権することもできる。
集会参加者の人数が少ないので同数のグループができることもままあるようで、2016年には硬貨を放り上げて裏表を占う「コイントス」で勝敗を決めたケースが6件あったと当時アイオワの地元紙「デモイン・レジスター」が報じていた。
「候補者」ではなく「代議員」を選ぶ
問題を複雑にしているのが党員集会は候補者を選ぶのではなく、郡の民主党大会に出席する代議員を選ぶ選挙であることだ。党員集会で選ばれたグループを代表する代議員はその割合に応じて群の党大会で州の党大会に出席する代議員を選び、その州の党大会で全国党大会に出る代議員を選出するのだ。
その過程で、党大会で選出された代議員は支持する候補者を変えることを禁じられていないので、党員集会の得票がそのままアイオワ州の意思表示とは言えないわけで、前回2016年も得票率0.2%の差でヒラリー・クリントン候補に敗れたとされたサンダース候補の陣営が抗議した。今回はさらに多くの候補者が僅差で競っているので混迷はさらに深まりそうだ。
「アイオワの勝者が大統領選を制す」とまで言われる同州の党員集会だが、今回は党員集会当日に勝者を見極めるのは難しいことになるかもしれない。
【執筆:ジャーナリスト 木村太郎】
【表紙デザイン:さいとうひさし】