緊急事態宣言下の北海道。感染者数は減少傾向になったものの、医療ひっ迫への懸念は依然として続く。
そこで新たな治療法「抗体カクテル療法」が注目を浴びている。
特定措置区域に指定されている旭川市では、大きな手ごたえを感じる声があがっている。

「どこにいても感染リスク」感染急拡大の旭川市

旭川市保健所・浅利豪部長:
過去最悪の状況。正直まだピークが見えない

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旭川赤十字病院・牧野憲一院長:
今は市内のどこにいても感染のリスクがある

北海道旭川市では8月中旬から感染が急拡大し、8月25日には過去最多となる83人の新規感染者が確認された。一時、医療ひっ迫への懸念が高まった中で、期待を集めたのが「抗体カクテル療法」だ。
抗体カクテル療法は、患者の重症化と医療崩壊を防ぐ切り札となるのだろうか?

新型コロナウイルス感染者を受け入れている旭川赤十字病院。8月31日には、26床中14床が埋まり、使用率は53.8%。日ごとに使用率が上昇していた。

旭川赤十字病院・牧野憲一院長:
8月の初めぐらいから、明らかに感染者が増えてきた。それがお盆になって倍以上に跳ね上がった。それに伴い、病床使用率も徐々に上がってきた

発症から7日以内の投与が効果的

医療ひっ迫の足音が迫る中、切り札として期待されているのが抗体カクテル療法だ。「カシリビマブ」と「イムデビマブ」という2つの薬剤を混ぜ、点滴で投与する。

新型コロナウイルスは体内の細胞と結合し、細胞内に侵入して増殖する。
抗体カクテル療法は、2種類の抗体がウイルスと結合し、細胞への侵入を阻止して重症化を防ごうという治療法だ。

旭川市に5つある基幹病院のひとつ、市立旭川病院。ここでは7月29日から抗体カクテル療法を行い、1カ月間で42件治療した。
軽症や中等症で、50歳以上や基礎疾患があるなど重症化リスクの高い人が対象だ。

発症から7日以内の投与が効果的とされ、海外の臨床試験では入院や死亡のリスクを7割減らす効果があったとされている。

外来患者の治療にも…現場から効果実感の声

市立旭川病院・柿木康孝医師:
68.2%の人が、2~3日で熱が下がるという効果が得られている

原則として入院患者が対象の抗体カクテル療法だが、点滴1回の投与で済むことから、自宅療養者などの外来患者の治療にも期待が寄せられている。

市立旭川病院・柿木康孝医師:
30~40分ぐらいで点滴は終わる。副反応を経過観察した後に戻るというシステムが構築できれば、一定の重症患者は減らせると思う。普通の薬のように使えればと思っている 

課題は“供給量の確保"

市立旭川病院では発注した翌日には薬剤が届いているが、今後は供給量が課題となりそうだ。
広く外来患者への使用が認められ、全国での需要が増えれば、今まで通りの供給が見込めないことも考えられる。

重症化と医療崩壊を防ぐため、体制の整備が必要だ。

(北海道文化放送)

北海道文化放送
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