2年ぶりの学力テスト コロナ・一斉休校の影響は・・・
小学6年と中学3年を対象に実施される「全国学力テスト」。例年は4月に行われてきたが、去年は新型コロナの影響で中止に。今年は、およそ1カ月遅らせて5月27日に実施された。しかし、小学校42校、中学校41が、新型コロナの影響による休校や学級閉鎖により、後日実施となった。
きょう、その学力テストの結果が公表された。
平均正答率は小学6年の国語が64.9%、算数が70.3%
中学3年の国語が64.9%、数学が57.5%
そして最も懸念されていたのが、一斉休校による影響。学校に行く時間が減れば、当然、学習時間も減ることになり、学力テストの結果にも影響する可能性がある。

ところが、文科省によると、「休校期間と平均正答率との相関はなかった」とのこと。要は、休校期間が長くても短くても、テストの結果に影響はなかったと言うこと。例えば、小学6年の国語の平均正答率で比較すると、休校期間が10日未満の学校は65.3%、これに対して休校期間が90日以上にのぼった学校は64.3%で、ほとんど変わらなかった。
なぜ、休校期間はテスト結果に影響しなかったのか?この点について、文科省は「休校期間明けに、学校が様々な形で補修の実施や時間割の工夫など、あらゆる手を打って、子どもたちの学習状況のフォローに当たっていた結果」と説明。現場の教師たちの努力のおかげということだ。
一方で、感染拡大が続く中、学校では給食や休み時間に友達と触れ合って遊ぶことができず、「子どもたちにとって学校での楽しい活動が一定程度制限されていることも事実」としている。

一斉休校…勉強面で不安を感じた児童生徒は半数以上
学力テストと合わせて行われたアンケートによると、臨時休校の期間中、「勉強に不安を感じた」と回答した児童は55%、生徒はおよそ65%といずれも半数以上にのぼった。また「課題で分からないことがあった時」に、児童は「家族に聞いた」との回答が最も多くおよそ80%、生徒は「自分で調べた」が最も多くおよそ60%を占めた。
また、休校期間中、児童のおよそ65%が、生徒のおよそ50%が、概ね、規則多正しい生活を送っていたと回答した。
学びの環境においては「家庭の経済的背景が影響している可能性がある」として、文科省は今後もさらに詳細な分析を行うことが必要とした。

コロナ禍に進む「GIGAスクール構想」
当初2023年度までに児童生徒に1人1台のデジタル端末を持たせる「GIGAスクール構想」を掲げていた文科省。今回の学力テストに合わせて、教育現場でのICT活用などについても調査が行われた。
コロナ禍で急ピッチに整備が進み、ことし7月に行われた調査の速報値で、全国の公立小・中学校での96%以上で、全学年か一部の学年で端末を活用した授業が行われているという。
ICT機器を活用した学習が進みつつある一方、教職員と児童生徒がやり取りする場面ではまだ取り組みが十分ではないことが分かった。その理由の1つとして、「端末を自宅に持ち帰らせて活用している」と回答した小・中学校は今年5月時点でおよそ20%に止まるのが現状。

しかし、児童生徒は「学習でICT機器を使うことは勉強の役に立つ」と肯定的に回答している割合は90%を超えていて、学ぶ側にICT機器の活用への期待が高いことも明らかになった。
文科省はICT機器活用によるオンライン学習は、教師と適切な時間に児童生徒がやり取りをできる有効な方法のため、端末の持ち帰りを含めて有効に活用するよう、学校などに環境作りに取り組む重要性を訴えている。
フジテレビ社会部・文科省担当 川田梨江子