経験を新たなステージへ

都内にある人材サービスを手掛ける企業「Waris」。
ここで行われていたのは、新サービス登録者へのオンライン面談だった。

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「Waris」共同代表・田中美和さん:
女性の多いチームをマネージメントするコツは?

企業の代表経験を持つ​長森さん:
給湯室にちょっとしたお菓子を置いて、できる限りみんながそこにちょいちょい来ると。
「大変?どうしたの?」とか、そこで拾うようにしていた

女性に特化した人材サービスを展開している「Waris」。
近年、ある問い合わせが増えている。

「Waris」共同代表・田中美和さん:
ここ1、2年ぐらい、企業から「女性の監査役はいないか?」とか、「女性の社外取締役を探している」という具体的な声をいただく機会が増えました

2020年7月現在、日本の女性役員比率は10%台に留まっていて、G7各国に比べても低い割合。
また、経団連は女性役員の比率を2030年までに30%とする目標を掲げ、増加に向けた取り組みを始めている。

女性の取締役候補を紹介

こうした動きを受けて2021年1月、Warisでは、女性役員に特化した人材紹介サービスをスタート。
この日はWaris担当者が、企業の代表経験を持つ女性にサービス登録後の面談を行っていた。

企業の代表経験を持つ長森さん:
女性を登用したいと思っていたとしても、女性側が手を挙げてくれないという会社に、どうしたら女性のポテンシャルを出してあげられるか、お役に立てると思っています。

面談では、経験だけでなく仕事に対する考え方なども細かくヒアリングし、登録企業とのミスマッチを防ぐ。

Warisを通して女性監査を採用した企業では…

Fringe81 代表取締役CEO・田中弦さん:
上場準備にあたり、社会的な責任も増えると思い、女性の監査役として役員を紹介していただきました。
結婚してママになるとこんなに働き方が変わるという視点は、男性の視点ではなかなか

2020年、Warisを通じて登用した女性監査は、前職の監査法人を経て知識は持っていたものの、役員として働くことは予想外だったと話す。

Fringe81常勤監査役・小椋明子さん:
オファーが来るまでは、自分が役員になるなんて想像したこともなかった。
女性でお母さんというと「大変だよね働いて」と言われるけど、誰にでもチャンスは広がっていて、「やりたいです」と挑戦すると、面白い刺激的な働き方がきっとできる。
お母さんであっても、女性であっても、それは変わらないと思う

担い手不足が指摘される女性役員候補。
Warisではサービス登録者が100人を超えていて、登用に向けたサポートを強めていきたい考えだ。

「Waris」共同代表・田中美和さん:
多様な目が入ることが日本の企業が事業成長することに繋がるし、社会や団体に属する1人1人が能力発揮して働く上でもとても重要だと思っています。
そこを少しでもサポートできたらと思っています

意見活性化やガバナンス改善も

三田友梨佳キャスター:
エコノミストで企業ファイナンスを研究している一方、社外取締役の経験を持つ崔真淑さんに聞きます。
女性役員が増えると、企業の業績的にもポジティブな影響は出やすいのでしょうか?

エコノミスト・崔真淑さん:
これについては学術研究でたくさん研究されていますが、1つ言われているのは、女性役員が増えたからと言って必ずしも業績が改善するわけではない、というコンセンサスは出来つつあります。
ただし、業績が低迷していたり、ガバナンスが良くなかったり、高齢の男性だらけの取締役会に女性役員という新しい視点をもった人が入ってくると、意見の活性化がもたらされ、ガバナンスが改善するといったことは報告されています。
私自身も女性の視点というだけでなく、エコノミストの視点も交えながら意見がより活性化するように、取締役会でより多様な目線ができるように、そんな契機になれたらなという思いで頑張っています

三田キャスター:
今、新たな展開が求められている企業ほど女性役員の登用は検討する価値がありそうですね。

崔真淑さん:
壁に当たっている企業ほど新しい多様な視点を入れたい。その契機として女性役員を入れるのは非常に有効だと思います。
経団連が旗を振っているから女性役員を入れようではなく、なぜ多様な視点が企業戦略、企業価値の向上に繋がるのか、企業、男性役員が考える契機になればなと思います。

三田キャスター:
1人1人の意識と共に、根付いた企業文化を変えていく必要があると思いますし、育休や産休はもちろんですが、復職後の働く環境をしっかり整えながら、どのような役職についても女性が自信をもって能力を発揮できる社会になって欲しいと思います

(「Live News α」7月13日放送分)