“デリバリー限定のコンビニ”

食べたいもの、欲しいものを30分以内に届けてくれるデジタルコンビニ「QuickGet」。ユーザーから専用アプリで注文を受け、自宅まで配達員が商品を届ける。

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一見、ここまでは従来のフードデリバリーと同じだが...。

クイックゲット 平塚登馬CEO:
QuickGetは「デジタルコンビニ」といって、30分以内になんでもお届けする“デリバリー限定のコンビニ”です。

「QuickGet」で注文する場合、アプリにはユーザーひとりひとりに合った商品のほか、近くの店では手に入らない商品などが表示される。

クイックゲット 平塚登馬CEO:
そのエリアにコンビニがある・ないとか、そういうデータを全部、自社で持っています。ユーザーが欲しがるものをデータに基づいて知ることができるのが強み。

配達エリアは自社倉庫から半径3km以内

商品が注文されると、東京・六本木にある自社倉庫に待機している配達員が、保管されている食料品やパーティーグッズなど、約1000点の中から注文された商品をピックアップする。

商品を1カ所に集中させることで、配達をスムーズに行う鍵となっている。

クイックゲット 平塚登馬CEO:
リアルの店舗と違ってお客さんが来ないので、面積あたりの収容量が高く、効率が良いという面がある。

このような効率化に加え、配達可能エリアを自社倉庫から半径2.5km~3kmの範囲に限っているため、30分以内の配達を可能にしている。

ユーザー:
安定して届くのが早いというのがまずある。早く欲しいなと思ったときに、自分が動かなくても届けてくれる。値段も安く、コンビニにはないようなものもあるので、それでよく使っています。

価格はコンビニなどのリアル店舗と同等

サービス側にもメリットがある。

アプリに登録された顧客情報と購買情報がひも付いているため、サービス側はユーザーの購買傾向に基づいて仕入れが可能。

在庫管理にもデータを活用しているため、商品が余ってしまうリスク回避にもなる。

さらに、自社で倉庫を構え在庫を抱えることで、手数料を上乗せする必要がないため、コンビニなどのリアル店舗と同等の価格を実現した(配送料は一律250円)。

現在、拠点となる倉庫は都内に1カ所だが、今後は全国に増やしていきたいという。

クイックゲット 平塚登馬CEO:
ECよりも早く届くECであり、行かなくていい実店舗であり、(ECサイトと実店舗の)中間に位置づけられているのかなと思う。今後、展開していく中で、高齢者の方、いわゆる買い物難民の人たちにも通用するものだと思っているし、幅広い世代に愛されるサービスにしていけると思う。

大切なのは「顧客に寄り添ったDX」

三田友梨佳キャスター:
このニュースについて、社員全員がリモートワークで働くスタートアップ、キャスター取締役CROの石倉秀明さんに聞きます。デジタルコンビニをどうご覧になりますか?

キャスター取締役CRO 石倉秀明氏:
今回の試みのように今、来店を前提としない店舗が増えています。デリバリー専門の飲食店は、なじみが出てくるようになりましたし、オンラインの薬局のようなものも出てきています。今後は小売りや飲食店に限らず、あらゆる業態でリアルな接触がない店が増えていくと思います。

三田友梨佳キャスター:
そうした、来店を前提としないお店を成功させるためのポイントは、どういった点ですか?

キャスター取締役CRO 石倉秀明氏:
大切なのは、顧客に寄り添ったDXです。例えば私もよく使うサラダの専門店は、感染拡大のタイミングでイートインができないお店をオープンしたんです。そこはスマホの専用アプリからだけ注文をして、配達とピックアップに特化していますが、非常に便利でリピートしています。

キャスター取締役CRO 石倉秀明氏:
これは、先ほどあったように自社でアプリから顧客管理ツールの開発までを行って、運用、在庫管理、配達までを一気通貫で行っているので、きめ細やかなサービスが提供されています。

だからこそ、使えば使うほど、好みや過去の履歴に合わせておすすめの提案をしてくれるので、どんどん便利になるということがあります。こうしたリアル店舗で常連になると感じられるような顧客体験を、DXで再現することがポイントだと思います。

三田友梨佳キャスター:
DX、お店のデジタル化が進むと、スタッフの働き方も変わってきそうですね。

キャスター取締役CRO 石倉秀明氏:
働く人の職場環境の向上というのも重要なポイント、成功のポイントの1つです。例えばオンラインの薬局であれば、薬剤師さんのリモート勤務が可能になります。家庭の事情で働けないとか、地方で働くこともできるようになります。

また、店舗業務は効率化されますから、削減できる分の固定費をスタッフの給与に反映することもやりやすくなります。なので、来店を前提としない店舗は、顧客にとってもそうですし、そこで働く人にとっても新しいお店、やさしいお店になる。そういう可能性を秘めていると思います。

三田友梨佳キャスター:
感染拡大の影響で生活様式が変化することで、多くの業界でデジタル化が加速して新しいサービスが次々と導入されていますが、今後はこうしたサービスがニューノーマルとなっていくのかもしれません。

(「Live News α」7月7日放送分)