2021年版日本における「働きがいのある会社」(GPTWジャパン)の1社に認定された、半導体メモリ大手のマイクロンメモリジャパン合同会社。
スマートフォンやパソコン、データセンターやネットワーク、5G、AIや自動運転など最先端のテクノロジーに不可欠な高性能メモリやストレージの分野で業界をリードするマイクロンは、米国アイダホ州に本社を置くグローバル企業。日本国内では広島、東京、橋本、大阪に5つの拠点を擁し、4000名以上の従業員を雇用している。
ここで働く従業員達が、“働きがいのある会社”だと感じるワケは、「人材が会社にとって最も重要な資産であり、最高のイノベーションは、チームメンバーの多様な経験、視点、背景から生みだされる」というマイクロンの価値観にあるという。
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フリーアナウンサーの木佐彩子が、その真意に迫った。
女性・外国籍の社員採用に力を入れる理由
![ラヒル・ハサンさん](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/5/c/700mw/img_5cb5d192d1bd150540d26e8ac6fe2978826752.png)
「マイクロンのビジョンは、すべての人々の生活をより豊かにするために、世界の情報活用の在り方を変革することです」
コロナ禍のためweb会議システムで行われたインタビューで、真剣な眼差しでそう語ったのはマイクロンメモリジャパン合同会社(以下マイクロン)のバイスプレジデントで、マイクロン広島工場の総責任者であるラヒル・ハサンさんだ。
![マイクロン 広島工場](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/5/6/700mw/img_569156fb7370f526d4056de333b066234943231.png)
広島県東広島市に所在する国内最大のマイクロンの施設では3300名以上の社員が在籍し、我々の日常生活においてとても身近なスマートフォンをはじめ多くのデジタル機器に不可欠な製品である、最先端の低消費電力DRAMやグラフィックメモリ、広帯域幅メモリの開発や製造に携わっているという。
「マイクロンでは、最高のイノベーションは、チームメンバーの多様な経験、視点、背景から生みだされると考えています」と続けるラヒルさんに、木佐彩子が質問を投げかけた。
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木佐彩子:
マイクロンにとってなぜダイバーシティ(多様性)、イコーリティ(平等性)、インクルージョン(包括性)を意味するDEI(Diversity・Equality・Inclusion)が重要なのでしょうか?
ラヒル・ハサン(以下ラヒルさん):
我々のビジョンは、すべての人々の生活をより豊かにするために、世界の情報活用の在り方を変革することです。“すべての”という言葉は、マイクロンのインクルーシブな価値観やカルチャー、そしてすべての人に機会を提供するという我々の取り組みを体現しています。
DEIの取り組みを推進し、社員の誰もが自分らしく活躍し、仕事を通じて輝けるインクルーシブな企業風土を構築し最大化することによって、我々のビジネスはより大きなイノベーション、より高い収益性、より迅速な意思決定と課題解決力の強化、より質の高い採用と社員の定着、そしてより卓越したビジネス成果を達成することができると確信しています。
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![女性の活躍推進を目的とした社内グループ、MWLN(Micron Women Leadership Network)主催のイベントの模様](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/d/4/700mw/img_d4062879e67a7757d62a7eaf118579db7272420.jpg)
マイクロンはこのDEIの取り組みとしてより多様なバックグラウンドを持つ候補者を視野に入れた“ダイバーシティ採用”に力を入れている。2021年度の新卒入社者のうち43%を女性が占めており(2020年度の34%から10ポイント増加)、2020年度新卒入社者の半数近くは留学生をはじめ多様な文化背景や国籍を持つ人材であるという。そして日本における女性技術者の割合も、前年比で31%増加した(19年度:8.5%、20年度:11.1%)。
工場内に祈祷室やマザーズルーム、ベジタリアン食やハラル食まで
一方で、多様な人材が集まればこそ、より充実した働く環境の整備への配慮が必要だ。マイクロンは多様な背景を持つ従業員のため、様々な取り組みをしているという。
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木佐彩子:
女性や外国人の社員の皆さんにとって働きやすい環境を整えるために、どのようなことをしていますか?
ハサンさん:
例えば子育て中の女性社員が活用できるマザーズルームの完備や、女性社員のみならず、男性社員への育児休暇取得を奨励しています。
さらに外国人社員への支援として、社内の連絡事項の文書は英語と日本語の2通りを準備し、日本語学習の機会提供や予約制で宗教を問わず利用可能な祈祷室の完備、カフェテリアにおけるベジタリアン食やハラル食の提供など、様々な取り組みをしています。
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![社内カフェテリアではハラル食のメニューも用意されている](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/2/b/700mw/img_2b2d227e8b890e148bd8cdaab1b16d695506284.png)
社内における様々なDEIの取り組みを続けるにつれ、チームメンバーが他者を理解・尊重し、互いに共感し合おうとする姿勢が見られるようになってきたという。
会議では、全てのチームメンバーが発言や質問をし、アイディアを共有する。異文化のバックグラウンドを持ち、はっきりと意見を主張するメンバーと一緒に仕事をすることで、日本人社員も自分を主体的に表現していくことができるようになり、以前と比べてより積極的に発言や質問をするようになったそうだ。
しかし多様性がある人材を採用するだけでは、企業としての成長の伸びしろにも限りがある。そこでさらなる成長を目指すマイクロンが注力しているのは、「従業員リソースグループ(ERG)」の活用だという。
![江藤清花マネージャー](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/8/7/700mw/img_87be0d9e96058013e58a76a5fe12192b272237.png)
このERG活動を取りまとめるリーダーとして活躍するのが、ピープルプログラム・広報を担当するPMOの江藤清花マネージャーだ。
ERGを通して成長するマイクロン
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木佐彩子:
マイクロン社内でDEIを浸透させるための主な施策の一つとして、ERGというものがあるそうですが、このERGについて教えてください。
江藤さん:
ERGは、Employee Resource Groupの略で、日本語では「従業員リソースグループ」と訳します。一言で言えば有志による社内組織で、相互理解や多様性、平等性、そしてインクルージョンの文化を育み分かち合いながら、お互いのキャリアや成長を支援するコミュニティのようなものです。
マイクロンでは、グローバルで9種類のミッションを持ったERGがあります。この1年間に世界各地で25ものERGの支部が新設され、参加する社員の数も前年比84%増加しました。
![MYP(Micron Young Professionals)のビーチ清掃ボランティア活動の模様](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/4/e/700mw/img_4ecf553a5b9d864acda776e82b508c0512628740.jpg)
25のERGのうち4団体は広島で新設されたもので、現在広島工場では以下6つのERGが活動している。
・MWLN(Micron Women Leadership Network):女性の活躍推進を目的としたグループ
・Capable:目に見える、見えないに関わらず障がいがある社員を支援するグループ
・Mosaic:異文化や多様性を受け入れ尊重するグループ
・MYP(Micron Young Professionals):若手社員中心に構成されたグループ
・Pride + Allies:LGBTQ+への理解と支援を目的としたグループ
・Te@m:経験豊富なベテラン社員を中心に構成されたグループ
これらのERGでの活動を通して、例えば女性や障がいのある方といった少数派が、そうではない多数派にも理解され受け入れられる環境を整えることが、大きな目的の一つだ。
そのため少数派の社員が抱える悩みや要望を会社に提起したり、多数派の社員に対して彼らへの理解を求める啓もう活動を行ったりもしているという。
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江藤さんは “アライ”という聞き慣れない言葉を口にした。
「ERGの活動の中では、アライの育成にも力をいれています。アライとは『味方』という意味です。自分自身が女性や障がいのある方など、少数派の“当事者”ではなくても、その人たちに寄り添い、理解し、共に働きやすい環境を構築していくことが大切になります。直接ERGに所属していない人にも味方になってもらえるよう、全社員向けにアライトレーニングを開催しています。また、ERGの活動は社内のみにとどまらず、各グループがコミュニティーにおけるボランティアや社会貢献活動にも積極的に参加しています」
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木佐彩子:
ERGの活動がより活性化したことで、社内の雰囲気や業務にあたる社員の士気などに、なにか変わりはありましたか?
江藤さん:
若手社員を中心に構成されるMYPでは、毎週勉強会を開催しています。勉強会を通じて社内の組織のことや、自分が所属する部署以外の業務内容などについても学び、仕事をする上での必要なキーパーソンとつながることができるようになり、社内のネットワークが広がり、業務がしやすくなったそうです。
このERGグループMYPでは、地元のビーチ清掃などのボランティア活動を通じて、地域の環境美化に貢献した結果、部署や役職、年齢を問わず様々な社員の間で交流が生まれるようになり、社内のコミュニケーションが活性化したという。
その結果、お互いの理解がより深まり、多様性を受け入れてよりインクルーシブな社内文化を促進することにも役立っているそうだ。
マイクロンが目指すもの
![インドのお祭り「DIWALI」をお祝いした社内ERGイベントの模様](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/3/0/700mw/img_30a62c7ec9a1dfe05bb9d6a8cca4ec022345912.jpg)
![3月8日の「国際女性デー」にちなんでERGが企画したジェンダー平等を促進するためのイベントの模様](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/7/9/700mw/img_79bc18e205f7347a7caaa928df56086d4209286.jpg)
江藤さんはERGを推進するほか、職場環境改善にも携わるようになった。
ERGに関わることで、女性や障がいのある社員、外国籍を持つ社員から、会社に対する様々な要望やニーズを聞くことができるようになり、職場の環境改善の仕事にも大きく役立っているというのだ。
「マイクロン広島工場では、積極的に職場におけるダイバーシティの浸透を促進するためにも、女性や留学生を含む多様な人材の採用を積極的に進めています。今後もERGのリードという役割を通じて、社内におけるDEI(ダイバーシティ、イコーリティ、インクルージョン)を促進し、誰もが自分らしく活躍でき、全社員にとって働きやすい環境を整える支援をしていきたいです」
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最後にラヒルさんに広島で一緒に働くメンバーへの思いを聞いた。
「広島のチームメンバー達と共に働けることを大変嬉しく思っています。ここには非常に多様なコミュニティがあります。ベテラン社員に新入社員、女性社員も、世界中から集まった異文化を持つ社員も、様々な背景を持つ才能あふれる人たちが集まるとてもワクワクする場所です。
私達は半導体業界の歴史の中でも最も難題といわれる問題を数々解決してきました。各々の最大限の力を集結して難題を解決し、チームで共に成功と喜びを分かち合う。それがここで働いていて『最高』であると誇れる瞬間です」
マイクロンジャパンは社内におけるDEIの浸透とERG活動の成果が認められ、2021年版日本における「働きがいのある会社(Great Place to Work® Institute Japan)」大企業部門のトップ25ランキングにおいて、20位に初ランクインした。
社員ひとりひとりにとって働きやすく、活き活きと活躍できる会社を目指し、成長を続けるマイクロンの取り組みに、木佐彩子は「日本を変えていける取り組みだと思います。さらにマイクロンのような会社が増えると嬉しいです」と願っていた。
マイクロンメモリジャパン合同会社
https://jp.micron.com/