高知県内で初めて新型コロナウイルスの感染が確認されて1年がたった。感染状況が落ち着いた今、2020年末から軽症患者らの受け入れを行ってきた民間のホテル、そして担当医に当時の状況を聞いた。

県内“第3波”で感染者が急増 医療機関がひっ迫

濵田省司知事:
高知県内で、初めて新型コロナウイルス感染症の患者が確認された

濵田省司知事の会見 2020年2月29日
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高知県内最初の感染確認から1年。3月1日までに884人が感染し、17人が亡くなった。
特に、2020年11月中旬からの“第3波”では、感染者が急増。県内に200床ある入院病床の半分ほどが埋まり、重症患者に使う人工肺装置「ECMO」も稼働した。医療機関のひっ迫が現実となった。

人工肺装置「ECMO」

12月に入ると、県は民間のホテルをまるごと借り上げ、軽症・無症状の患者の受け入れを始めた。

ホテル業を休止し「宿泊療養施設」として受け入れを開始

年間の宿泊客は3万人。数多くの宴会が開催されてきた高知市の「高知サンライズホテル」。
入り口は封鎖され、ロビーは華やかな面影はなく、至るところにベニヤ板の壁が。

「高知サンライズホテル」 高知市本町

高知サンライズホテルは、完全にホテル業を休止し、2020年12月12日から、軽症・無症状の患者のための「宿泊療養施設」として230人を受け入れてきた。

高知サンライズホテル・古谷文平営業本部長:
すぐに軽症者の受け入れをやらなきゃいけないという使命感

高知サンライズホテル・古谷文平営業本部長

約30人の従業員の6割を休ませ、残った従業員でローテーションを組んで、1日4人が出勤。患者と高知県の取り次ぎなどを行ってきた。受け入れ当初、入所者の数は急増した。

高知サンライズホテル・古谷文平営業本部長:
宿泊療養施設として立ち上げた時くらいから、入所者の数が右肩あがりに増えて、正直、想定を上回るスピードでこの業務に従事することになった

2020年12月3日から24日連続で2桁の感染が確認され、9日には高知県の対応レベルは、上から2番目の「特別警戒」となった。15日には、1日最多の36人を記録している。

2020年12月の感染状況

この時、高知県内に200床あった入院病床は、半分ほどが埋まった状態だった。

高知サンライズホテル・古谷文平営業本部長:
こちらが、1人の方が滞在していただく部屋になっております

3階から8階までの客室81室を、療養のための個室にした。親子・きょうだいはツインルームで、同部屋の場合も。
初日(12月12日)は5人の宿泊だったが、12月28日には、最多となる44人の患者が入所していた。

感染拡大時、ホテル常駐の医師・看護師は

大変な時期を支えてきた3人の医師・看護師に話を聞いた。

元高知市保健所所長・堀川俊一医師:
手遅れになることだけはないように気にしていた

元高知市保健所所長・堀川俊一医師

高知市在住・倉本玲子医師:
「突然、急変することがあったらどうする」とか、夜ずっと不安な時もありました

倉本玲子医師

この2人は、病院勤めをしていない、フリーランスの医師。

看護師・川島初代さん:
すごく不安になっていらっしゃる方もいたので、その時は看護師の出番かなと

看護師・川島初代さん

看護協会に所属する看護師・川島初代さんは、役に立ちたいと自ら志願して療養施設で働くことになった。

看護師は、昼2人・夜2人体制でローテーションを組み、ホテル内に常駐。医師は午前中の2時間、施設に出勤し、看護師と情報を共有する。このほか、県・高知市役所の職員が、患者の生活支援のため常駐した。

高知市在住・倉本玲子医師:
1日に2回、看護師から(患者に)電話をして、体温・血中の酸素飽和度・顔色とか聞き取りをして答えていただく。それ以外は軽い運動、廊下を歩いたり、階段を歩いたりということはしていただいてもかまいませんと。ただ、基本的にはご自身の部屋で過ごしていただくようにとお願いしていました

実はここでは、医師・看護師が患者と直接対面することはなく、部屋に備え付けられた電話でやりとりをしていた。

容体が急変し、救急搬送した例もあったが、患者は無事、回復に向かったという。

隔離生活...施設内での過ごし方

部屋にはテレビもあり、スマホなども自由に使えるが、看護師の川島さんは、外出ができない患者の様子について…

看護師・川島初代さん:
皆さん、本を持ってくるとか、いろんなことをやっているが、いざ入ってくると、気持ちが向かない方も多かったみたいで。食べることに対して、そこのところだけでも良い時間にしたいというのがあった

長い人で、10日以上に及ぶ個室での生活。1日3回の弁当が、大きな楽しみだったもよう。

高知サンライズホテル・古谷文平営業本部長:
ここは(弁当の)受け渡し地点ですね。お水とかいろいろありますけど…、お弁当をそっちから運んで、ここに置いて(患者に)取ってもらうという形

高知サンライズホテル・古谷文平営業本部長

かつて龍馬賞の授賞式にも利用された宴会スペース。患者同士も密にならないよう導線を決め、時間差で弁当を取りにくる。高知県内の業者が作った日替わりの弁当だった。

高知市在住・倉本玲子医師:
小さいお子さんがいらっしゃった時には、お弁当の量の調整をしたり、患者がお弁当以外に食べたいものがあったら、ご家族とか、友達から差し入れをしていただいて、それを食べていただくということは可能でした。宅配を取っていらっしゃる方もいました

実際にピザなどの宅配を頼んだ患者もいたという。医療機関の入院に比べ、好きな時にお風呂に入れるなど、自由度は高かったようだ。

入所者“0”に それでも「リスクを想定、準備を怠らない」

多い時には81室中、40室が埋まったが、それでも次の受け入れのためにフロアの清掃や消毒を行うと、ギリギリの状態だったという。
2021年2月22日の午前中、入所者は「0」に。その後は、ホテルの従業員だけが勤務している状態となった。

高知サンライズホテル・古谷文平営業本部長:
平和な時にリスクをどれだけ想定しておくか。現時点では、(感染者が)0になりましたけれども、今後また第4波、第5波が来ることを想定して、いろんな準備を怠らないようにしていきたい

(高知さんさんテレビ)