大臣の突然の「責任取る」発言に国会はざわついた

国民民主党の森ゆうこ参院議員が政府に事前通告した質問内容が外部に漏洩したとして、野党が政府を厳しく追及している。そして担当大臣として、北村誠吾地方創生相がその矢面に立っている。


10月23日、衆院内閣委員会で、野党統一会派の今井雅人衆院議員は、内閣府から情報が漏れてきたのであれば、大臣の責任問題になると北村大臣に迫った。
これに対し、北村大臣は「内閣府から通告内容が漏洩した事実はないということを確認しておりますから、責任問題が生じた時には責任を取ります」と、強い言葉で言い切った。

北村地方創生相 (衆院内閣委・23日)

「責任を取る」。
永田町で「責任を取る」と言えば、「辞任」と取られても仕方ない。
私も、その場で一連のやりとりを見ていたが、北村大臣が「責任を取る」と発言した直後は会場がざわついたのを覚えている。

これを受け、立憲民主党の安住国対委員長は24日、野党統一会派の会合で、「北村大臣も、事実だと分かれば責任を取りますと大見得を切ったんだから、取ってもらおうじゃありませんか」と気勢をあげた。北村大臣の発言を受け、さらに追及を強める構えだ。

立憲民主党・安住国対委員長 (24日・代議士会)

周辺は「男気があるから」・・・発言の真意は?

普段から北村大臣を取材している私は疑問を抱いた。
北村大臣と言っても、ピンとこない人も多いと思うが、就任当初からあまり目立たず、閣議後の会見などは、事務方が作成したメモを見ながら安全運転に徹することが多かった。
それだけに、「責任を取る」という突然の踏み込んだ発言に、違和感を感じた。背景には何があるのか。

北村大臣の周辺は私の問いかけに、「内閣府の職員を信頼しているということだ。男気があるから(笑)」と苦笑いしながら説明した。

これまでも“失言”が・・・大臣はどんな人?

北村大臣の会見を「安全運転」と書いたが、実は、これまで物議をかもす発言をしたこともあった。
就任直後の9月、地元・長崎県での会見で、ダム建設に関連して、誰かが犠牲になることもやむを得ないとの認識を示した。また、台風15号の被害の直後、自身が担当する安倍政権の看板政策、地方創生について「この前の台風でひっくり返るような根の張り方ではない」と語った。

こうした発言を見ると、思ったことをついつい言ってしまう人なのだろうと思う。ただ、発言に悪意は感じられず、彼の腰の低さもあってか、これまで大きな騒動にならずにすんできた。「責任」発言は、内閣府の職員を信じての発言だろうが、今回も周囲を心配させたのは想像に難くない。

あくまで一般論」と釈明

発言から2日後の25日、北村大臣は閣議の後の会見で、「責任」発言の真意について、こう説明した。
あくまでも一般論として、必要な対応を行うというのが趣旨。そういった内容を踏まえて、必要があれば適切に対応する

北村地方創生相の会見 (10月25日)

さらに、辞任にするということではないのかとの質問に、「あくまで一般論として、その時、適時適切な必要な対応を行うことが、大臣としての仕事だ」と述べ、「辞任」論を否定した。

「質問通告漏洩」問題の今後は?

それでは、野党が批判する「質問通告漏洩」問題で、北村大臣が野党に追い込まれることはないのか。

そもそもこの問題は、森ゆうこ議員が、15日の予算委員会の質問内容を11日に政府側に通告していたが、質疑の前日の14日に、嘉悦大学の高橋洋一教授がインターネット番組で、質問通告があったことを明かしたというものだ。

国民民主党・森ゆうこ参院議員

北村大臣は23日の委員会で、「森ゆうこ議員から内閣府事務局に対し、原英史・国家戦略特区ワーキンググループ座長代理に対する参考人招致の要請と質問通告があった。これを受け、原氏に参考人招致の要請を伝えるとともに、(招致の)諾否の判断を求めるため、質問通告の内容を送付した」と述べた。
そして、原氏が「私人としての判断」で、高橋洋一教授に電話とメールで連絡し、高橋教授がネット番組で通告について明らかにしたと説明した。

さらに、25日の会見で北村大臣は、「高橋洋一氏ご本人に改めて連絡をし、内閣府職員から情報を入手したわけではなく、内閣府からの漏えいはないことを確認した」として、疑惑を否定した。

「責任」取って辞任した菅原一秀氏

この25日には、選挙区の有権者の通夜に秘書が香典を渡した公職選挙法違反の疑惑が週刊誌に報じられた菅原経産相が辞任した。永田町的な意味で「責任を取る」形になったのだ。

経産相を辞任した菅原一秀氏(25日)

「質問通告漏洩」問題を「民主主義の根幹に関わる」とする野党は、菅原氏の辞任で勢いに乗る。北村大臣への追及もさらに厳しくなろう。今後も激しい攻防が予想される。

(フジテレビ 報道局政治部 官邸担当 梅田 雄一郎)