アメリカ中間選挙の情勢について、ワシントンで取材を続ける政治ジャーナリストの青山和弘氏が関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」に中継で出演し、現状について解説しました。
中間選挙では、上院・下院ともに民主党が過半数を占める見通しとなっていますが、選挙前からトランプ大統領と共和党に厳しい結果になるという見方がありました。
ただ、青山氏によれば、「下院は仕方がないとしても、上院はぎりぎり踏みとどまるのではないか」という声もあったといいます。
【青山氏】「ふたを開けてみれば、上院も惨敗ということで、やはりトランプ大統領に対する“不満”、あえて言えば“怒り”のような声は想像以上に大きかった」
共和党にとって厳しい結果になることは一定程度予想されていましたが、上院でも惨敗を喫したことで、アメリカ政治の先行きには大きな変化が見込まれています。
■上下両院を失った大統領に待つ“レームダック(死に体)化”
上下両院で多数派を失ったことで、議会運営は大きく変わります。
青山氏は、「法律や予算に加え、裁判官やFRB(米連邦準備制度理事会=日本の日銀に相当)関係者といった人事についても、トランプさんの思い通りにはできなくなる可能性がある」と指摘しました。
【青山氏】「トランプさんは後2年間、いわゆる“レームダック(死に体)化”が進む。これはもう間違いない。
一方でトランプさんがやることを変えるのかというと、基本的に変えないんじゃないかという見方は強くなっています。
特に自由が利くのは外交で、日米関係を含め、さまざまな外交に活路を見いだす可能性が強いと見られている」
■大統領に拒否権はあっても 議会には“調査権”がある
さらに青山氏は、国務省(日本の外務省に当たる)に取材した結果として、「一番怖いのは“逆ギレ”だ」という声が早くも省内から上がっていると明かしました。
これらを踏まえて青木キャスターは、「議会で多数派を失っても大統領には拒否権があり、大きな権限を持ったまま政権を担うことになるのではないか」と質問。
青山氏は「議会が求めるものに対して大統領には拒否権はあるが、議会側にも権限がある。予算を作るのも法案を作るのも議会で、さらに民主党が多数を占めれば、議会に調査権が生まれる」と指摘。
未成年の少女らへの性的虐待などの罪で起訴され、拘留中に自死したとされている富豪・エプスタイン氏に関連する資料の問題やトランプ政権の腐敗などについて、議会が聴聞会を開き、大統領自身を呼び出す可能性などもありうると説明しました。
こうした対応にかなりの時間を割かれることになり、共和党が上下両院を握っていた時期とは「雲泥の差になる」と青山氏は述べました。
■高市首相は“どこまでトランプ氏に付き合うか”の判断を迫られる
日本への影響について、青山氏は、高市氏がこれまでトランプ氏との良好な関係づくりに熱心に注力してきたと振り返りました。
そのうえで、今後は状況が変わるとの見方を示しました。
【青山氏】「今後アメリカ国内でも共和党内でも『トランプ大統領について行っていいのか』という声は、間違いなく出てくる。特に、2年後の大統領選挙でトランプ大統領の影響力がかなり薄れてくるのは、間違いない。
それに対してトランプ大統領は必死に自らの影響力を強化しようとするとみられる。一方、民主党も勢いづいており、今回の選挙では新しい民主党のニュースターも生まれた。
高市さんとしては、どのように日本がその後の日米関係も考えてつき合っていくのか、トランプ大統領にどこまでつき合っていくのか、トランプ大統領の言うことを聞いていくのか。この辺も難しい判断になるのは間違いない」
■レガシーを意識する2年間 イラン・キューバ・北朝鮮の行方
番組では、外交面で何が起こり得るのかも話題になりました。
【青山氏】「トランプ大統領はこれからの2年間、“自分のレガシー(遺産=政治的業績)を残したい”という思いに駆られるのは間違いない。イランの再攻撃の話もありますし、キューバの問題も政権内ではくすぶっています」
日本にとって特に重要なのが北朝鮮との関係です。
【青山氏】「トランプ大統領は金正恩総書記と『また会談したい』という思いを強く持っている。北朝鮮側はあまり相手にしていないものの、『いつ電撃的に会談が行われるか分からない』と、日本政府関係者も話していた。
そういったことが日本の頭越しに行われるようなことになると、日本の外交戦略にとっても大きな影響が出てくる」
■関税などで日本に厳しい姿勢も? 先行きは“五里霧中”
これまで議会を無視してきたトランプ氏が、最後のレガシーづくりとして、同盟国である日本に、相互関税のような厳しい要求をさらに強めてくる可能性についても番組内で指摘されました。
青山氏は、それをどう防ぐのかは高市氏の手腕が問われる点だとしたうえで、トランプ氏がどの方向を目指すのかは「全く五里霧中と言っていい」と語りました。
【青山氏】「民主党の圧勝を受け、トランプさんはSNSにさっそく投稿しています。『今回の敗北はフォックスニュースのせいだ』とメディアを批判するものや、『私自身が投票用紙に載っていたら、共和党は勝っていた』という、自分が投票対象でないから負けたと、相変わらず責任転嫁のようなことを言っている。
ころころ本当に毎日言うことが変わるトランプさんが、日本に対してどのような出方をしていくのか、これは日本は常に注視していく必要があると思います」
(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2026年11月4日放送)
