北海道新聞の男性記者がロシアで拘束されてから、10月27日で2週間です。
在ロシア日本大使館の職員は26日、男性記者と初めて面会しました。
日本大使館によりますと、職員はモスクワで男性記者と面会し、健康状態に問題がないことを確認したということです。一方で、男性記者が話した内容は「答えられない」としています。
領事面会の実現を受け、北海道新聞社は「健康状態に問題がないと聞き安堵している。引き続き、早期解放を最優先に対応する」とコメントしています。
また、木原官房長官は会見で「さまざまな機会をとらえて、即時解放を含め、ロシアに対して本件についての我が国の立場に基づき、強く求めてまいります」と述べました。
拘束から面会まで約2週間かかったことについて、防衛省防衛研究所の兵頭慎治さんは、日本との交渉窓口となるロシア外務省とロシア連邦保安局(FSB)の力関係が背景にあると指摘します。
「連邦保安局とロシア外務省のどちらの力関係が上かというと、明らかにFSB。ロシア外務省側が十分にFSBと連携・調整ができていない可能性はある」(防衛省防衛研究所 兵頭慎治さん)
ロシア外務省とFSBとの連携がうまくいかなければ、交渉が長期化する恐れもあります。
そもそも、ロシアに各国メディアが駐在する中で、なぜ北海道新聞の記者が拘束対象となったのでしょうか。
「ロシア極東地域は、サハリン州も含めて、連邦保安局の活動がほかの地域に比べて活発だといわれています」
「日ロ関係の悪化、特にプーチン大統領の択捉島訪問をはじめとして、どんどん悪くなっている」
「見極めが難しいが、サハリンに常駐していた日本人記者は、おそらく北海道新聞だけだったんじゃないか。結果として、日本人記者ということから北海道新聞になってしまったところがあると思う」(いずれも防衛省防衛研究所 兵頭さん)
ロシアでの取材は、当局による監視や連行の危険と常に隣り合わせです。
現地で特派員として取材した経験を持つ北海道ニュースUHBの土井若楠記者によりますと、現場でリポートする記者の背後には、目だけが見える制服姿の特殊部隊が立ち、記者の一挙手一投足を注視していたといいます。
ある集会の取材後には、当局が何の説明もないままメディアを車に誘導し、最寄りの警察署へ連れて行ったケースもありました。取材をしていただけにもかかわらず、「イベントを主催した」として署名を求められたということで、土井記者が実際に経験した人から聞いた話です。
さらに、ウクライナ侵攻が始まった翌月の2022年3月には、いわゆる「フェイクニュース法」が制定されました。当局が虚偽と判断した情報を広めると、ロシア人か外国人かを問わず、最高で禁錮15年に問われる可能性があります。
ロシア側は侵攻を「特別軍事作戦」と呼んでいて、「戦争」という言葉を使うだけでもフェイクと判断されかねません。このため記者たちは、原稿や取材で「戦闘」と言い換えるなど、自衛を余儀なくされてきました。どれだけ注意しても、当局の判断ひとつで罪に問われかねない、緊張が続くのがロシアの取材現場なのです。
