今月13日に発覚した、全国の自治体や警察など1700以上の組織が活用するサービスを提供するIT関連企業「アルカディア」へのサイバー攻撃。
全国の自治体などが活用するサービスが標的となり、災害などの緊急情報を市民に伝えるシステムが一時使えない状態になった。
その「アルカディア」は不正アクセス後、23日に初めて会見を開いた。
相次ぐサイバー被害に、サイバーセキュリティーの専門家である大阪大学の猪俣敦夫教授は、「危険な状態で復旧させるのは怖い」と指摘し、「落ち着いた行動のほうが重要です」と呼びかけ、サイバー攻撃からの身の守り方を解説した。
■ 最大313万件以上の個人情報が漏えいの可能性 「アルカディア」が初会見
不正アクセスの影響で、最大313万件以上のメールアドレスなどが漏えいした可能性が分かっているのが、大阪・箕面市のIT関連企業「アルカディア」だ。
問題発覚後、初めてとなる会見が開かれた。
アルカディアの天白成一社長は今回の不正アクセスについて、「人間であれば諦めてしまうであろう総当たり攻撃をたくさんの試行回数でやっていた。10時間ぐらいでの侵入は人間業ではないんじゃないか」と話し、AIを使った不正アクセスであった可能性があると指摘した。
また、すぐにアクセスを遮断しなかった理由を問われると…
アルカディア 天白成一社長:まず、何をされてるかが分からなかった。結果論として、ログを解析したら、こういうことが時系列であったんだろう、と分かってきてきた。その時は、どのIPアドレスから“何をされてるか分からなかった”ので、止めようがなかった。

■ 猪俣教授が見た会見「人の手ではブロックできない」
今回のアルカディアの会見と不正アクセスについて、猪俣教授はこのように分析した。
猪俣敦夫教授:今までの個人情報の漏えい事案ですと、調査に時間をかけるけれども、早期復旧というところでの調査をしっかりやったのかなと思ってます。ある意味早いですね。
また「今回は10万、100万というオーダーで攻撃が来ていて、人の手ではブロックできない」事案だったと話す。

■ 流出後に慌てない 「偽サイトに注意」
また、メールアドレスやパスワードが流出した場合の対応について、猪俣教授は「焦らず対応を」と強調した。
企業の情報漏えいが起きると、「あなたのパスワードやメールアドレスが漏えいしています」というアナウンスが出てくることがあり、詐欺サイトに誘導される場合があるという。
猪俣敦夫教授:落ち着いた行動のほうが重要です。情報は悪い人たちが持ってしまっています。知らないサイトに情報を入れるっていうことは、かえって怖いですよね。
「攻撃者は、利用者が困っていることに乗じて誘導するサイトを作っている」という。

■プレスリリースなどの確認を
世界中のウェブサイトで利用されるプログラミング言語「PHP」に重大な脆弱性が見つかった問題では、サイバー攻撃のリスクが高まったなかで、多くの企業がホームページなどを一時停止した。
猪俣教授は、復旧した後の企業のホームページを見ること自体は問題ないものの、プレスリリースなどを確認するよう勧める。
プレスリリースに対応が掲載されていれば信頼度が高まるが、何も出ていなければ対応していない可能性もあるという。
ただし、悪意ある人がそれを真似たニセのHPをつくることもあるため、注意が必要だとしている。

■ 補償の現状 日本と海外の違い
個人情報が漏えいした場合の補償について、西脇亨輔弁護士が解説した。
タイムズカーでは先月、最大660万人の個人情報が漏えいし、うち約160万件は免許証画像も流出。
見舞金として、対象者に3000円相当の金券または現金を配布することを発表した。
この金額に西脇亨輔弁護士は「相場と同程度」だと述べた。
西脇弁護士によると、通信教育会社の情報流出をめぐる裁判では、1人当たり3300円の判断だったという。
一方、2021年にアメリカの携帯電話会社から個人情報が漏れた事案では、総額470億円(当時のレート)の支払いで和解したと説明。
ヨーロッパやアメリカでは厳しい規制があるために、賠償も高額だとし、日本の補償のあり方も考え直すべきだと指摘している。

■情報登録をすることは「どこか知らないところに預けるという意識が大切」
また猪俣教授は、「情報には生存時間があると思っている。子どもの情報と私(大人)の情報は、違います」と指摘した。
年齢などで一律に扱うことに納得がいかず、裁判になった事案もあるという。そのうえで、自分の情報にどのような価値があるのかを時々考えてほしいと述べた。
猪俣敦夫教授:情報は一度出てしまうと、絶対回収できないです。情報登録をするということは、どこか知らないところに預けるという意識が大切です。
(関西テレビ「newsランナー」2026年10月23日放送)


