10月25日投開票の福島県知事選挙の争点から、福島の今を考える。今回は震災と原発事故からの「復興」について。
■自宅へ帰る
「震災前に建てて住み始めたんです。息子家族と」
福島県双葉町にたたずむ一軒家。志賀徳子さんは2025年、1つの動きをきっかけに13年ぶりに自宅を訪れ、それから度々家の片付けなどを行っている。
双葉町は2025年11月、「特定帰還居住区域」の一部で立ち入り規制を緩和。
「特定帰還居住区域」は、立ち入りが制限される帰還困難区域のなかで、住民の帰還に向けて国費で除染などを行うエリアだ。
双葉町・住民生活課の中里俊勝課長は「住民の方にとって大きな1歩となることを、町としても期待している」と語る。
志賀さんの自宅も、規制が緩和されたエリアの中にあった。
「家に入れるものだと思って来た。掃除して、住めるようにしなくては」
■復興のための資金 疑問の声も
今も少しずつ進む被災地の時計の針。しかし、課題もある。
東日本大震災から15年、復旧・復興に充てられた国の事業費は岩手・宮城も含めて約33兆円。さらに、原発事故後の除染や賠償費用など東電への資金援助枠は15兆円を超えている
福島の外からは、限りある国の資金を投入し続けることへの疑問の声も強まる。
「10年以上経過している中で、どこまでが改善してきているのか」
「人がいないところに、どこまでお金をつぎ込むのかという事の根本が問われている」
(2024年11月 有識者による復興関連事業の検証より)
■帰るに帰れない現状
「水は出ないです。そういう状況の中にあります。電気もつかない」
止まった時間の長さは、復興をより困難なものにしていく。
震災前に7000人を超えていた双葉町の人口だが、現在、町に住む人は約270人。医療や買い物など生活環境に課題も残る。
志賀さんは「国道からもこの家が見える。夜、電気が点いて『人が住んでる場所になった』と分かってもらって、出入りしようと思う人が増えることが一番」と話す。
■作り替えるのではなく“再生”を
双葉町は、立ち入り規制を緩和した行政区のうち「三字(さんあざ)」と「羽鳥(はとり)」を2026年12月に。志賀さんの自宅がある「下長塚(しもながつか)」を2026年度中に解除する方向で調整している。
解除されれば「特定帰還居住区域」が設定されている6市町村のなかで、初めてのケース。
現在、福島県浪江町で避難生活を続ける志賀さんも、帰還への期待を寄せている。
「いろんな施設を作る前に、人との繋がり、コミュニティが広がっていくことの方が大事。新しい町に作り変えるのではなくて、元々営まれていた田舎の生活・穏やかな生活を再生することの方が私は大事かなって」
「第3期復興・創生期間」が終わる2031年3月は復興庁の設置期限。たどり着くべき「復興」とは何か、福島県のリーダーには重要なかじ取りが任されている。
Q:福島県の復興について、最も重要な課題は何だと考えますか
東日本大震災から15年が過ぎ、震災や原発事故に対する課題は多様化している。
福島テレビは、それぞれの候補者にアンケートを行い「福島県の復興について最も重要な課題は何か」を聞いた。
(福島テレビが実施した候補者へのアンケートから当該質問の回答を全文掲載)
【新人・金山屯候補】
絆という東北魂の教育徹底(cf.会津藩の10の掟)
【現職・内堀雅雄候補】
時間の経過に伴って進む「風化」により、福島の復興に対する関心の低下等が懸念されることから、こうした「風化」を抑制しながら、避難地域の復興・再生を進めるための事業・生業・営農の再生や、医療・介護、教育、買い物など生活環境の整備を進め、住民の皆さんのさらなる帰還や移住の促進等を図っていく必要がある。
【新人・小山田友子候補】
県民や県内企業に恩恵の少ない「イノベ構想」中心の復興から「住民本位の復興」へ転換すること。特に、避難者が抱える課題はより複雑化・多様化しており、きめ細かな個別支援が必要。帰還困難区域の全域除染で避難者に戻れる希望を示す。廃炉も県民復興も長期に及ぶことから国が最後まで責任をもつ姿勢を明確にする。
【新人・塚越栄光候補】
復興で一番大事なのは、福島でこれからも普通に暮らしていけるという安心をつくることです。建物や道路が整っても、仕事がなくなり、病院や学校、交通が減っていけば、本当の復興とは言えません。産業を育てて人と仕事を増やし、その力を県民の暮らしに戻す。そこまでやって初めて復興だと考えています。
【新人・遠藤雄大候補】
人口減少対策
【新人・藤本昭一候補】
まだ他県では福島のイメージが改善していないことがあるので、風評をなくすことが必要です。
【新人・長谷沼邦彦候補】
廃炉が短期間で終わらないことを認めること。廃炉とともに福島県民は生きていかなければならない。廃炉をいかに復興につなげるかを考える必要がある。
