政府は、2027年4月から2年間、食料品の消費税を1%に引き下げる法案を国会に提出しました。消費者からは歓迎される一方で、税率10%が維持される外食産業や、コメ農家からは懸念の声も上がっています。
生活に関わる大切な法案ですが農水大臣の辞任劇で、果たして十分な議論がされるのか。「消費税引き下げ」について街の人や飲食店、そしてコメ農家に聞きました。
◆2年間の消費減税…30人中11人は「ありがたくない」
兵藤遥陽アナウンサー:
「食料品の消費税が8%から1%に。 まちの人は減税はありがたい? それともありがたくない? どう受け止めているのでしょうか」
「年金生活者はありがたいんじゃないか」
「家計を預かる身としてはありがたい。物価も上がりましたし…うち8人家族なので、食料品1%はありがたい。月々の食費が相当かかる。孫のおやつ分が出ます」
度重なる値上げラッシュの中、少しでも家計の助けになるとの声が多く聞かれました。
一方、ありがたくないと答えた人の中には、政権運営に対する不安も―
「ありがたくない。政府のごまかしのような気がする…他で増税されているので。2年間だけというのは結局、家計にこたえる」
「2年後に上がるんでしょ。財源がはっきりしない中で消費税は下げないほうがいい」
「ほかの光熱費などの補助をして欲しい」
「雨や地震の被害が大きいので、そちらの人を救済するのにお金を使ったほうがいいのではないか、そこだけ見るとありがたいけど、戻る反動も怖い」
賛否両論あった消費者の受け止め。福井テレビの調査では、30人のうち19人が「ありがたい」11人が「ありがたくない」と回答しました。
◆店内飲食は10%のまま…頭抱える外食産業
ただ、同じ「食」でも1%にならないのが外食です。店内での飲食は今回の減税の対象外で、消費税は10%のままです。
お好み焼きや焼きそば、もんじゃ焼きなどを提供している福井市にある「鉄板たなか」では、鉄板焼きには欠かせない卵など食材の値上がりにも頭を悩ませます。
オーナーは「やっぱり店内飲食して欲しい。テイクアウトが増えてきたら転換していくことも考える」と話します。
さらに店を悩ませているのが、食材の値上がりです。「うちに関してはキャベツが、昔と比べたらえげつない値段になっている。でも使わざるを得ない」とします。
上がった分を、そのままメニュー価格に乗せるのも簡単ではありません。
「全部値上げすると、お客さんも来づらくなる。 店で吸収している部分もあります」
食材に加え人件費も値上がりしている一方で、店内飲食は10%のまま。店には3つの逆風が吹きます。
◆大臣の辞任劇で混乱する農林水産省
一方、食をめぐる政策を担ってきた農水省は、混乱が続いています。“予算カット発言”などが問題視されていた簗前農水大臣は野党の厳しい追及を受け辞意を表明。高市総理も、消費税・支援金法案など、重要な課題に答えを出す必要があるとして辞任を受け入れました。
一連の辞任騒動を、厳しい目で見てきた農家がいます。福井市内でコメを作る、白井清志さんです。
今年、大きく値下がりしたコメ価格。国はコメ余りを受け、今年、まず21万トンの備蓄米の買い戻しを進めています。
白井さんは「21万トンの買い戻しは遅すぎる。 6月にやらないといけない。 しかも、もっとたくさん。60万トン近く出しているんだから21万トンでは少なすぎる。40万トンは買い戻しをしないといけない」と話していました。
簗前大臣も、まず21万トンの買い戻しを進め、その後も需給を見ながら、できるだけ早く備蓄水準を回復する考えを示していました。
そのさなかでの大臣辞任です。
白井さんは「大臣の顔を替えたところで高市総理がどう農政の判断をするかが問題。備蓄米を放出したのをどう元へ戻すか。これからの農業政策はどうなのか…農水大臣が変わったところで、何にもできない」と憤ります。
◆コメの販売税率も1%に…農家が不安の声
そして、白井さんがもう一つ懸念しているのが、食料品の消費税が1%になることです。農家がコメを売る時の税率は、8%から1%になります。一方で、肥料や農機具などを買う時は、10%のまま。
今年下がったコメの価格が今後上がる保証は、どこにもありません。
「今年赤字なのに(米価安と消費減税)ダブルでやってくるのは、とても持ちこたえられない」(白井さん)
消費者の負担を軽くする減税。その一方で、外食や、食料を作る農家への影響をどうするのか。法案には、まだ詰めるべき論点が残っています。
今回の食料品の消費減税法案は、10月9日に国会に提出されたばかりで、現時点では、衆議院でどの委員会で、いつ審議するのか、具体的な日程はまだ示されていません。
臨時国会の会期は、12月12日まで。財源をどうするのか、農家への支援をどうするのか、そして外食など対象にならない業種への影響をどう考えるのか。「1%に下げる」だけではない議論が、どこまで深まるのかが焦点です。
