14日に茨城県南部で撮影した映像で、一面に広がる緑の部分。
これは芝生ではなく川の上です。
これは「ナガエツルノゲイトウ」という特定外来生物で“最悪の侵略植物”とも呼ばれています。
その訳は驚異の繁殖力。
個体によっては、1日で1000倍になるほどの繁殖力で生態系を脅かし、関東では農業や観光にも影響が出ています。
なぜ今、生息域が拡大しているのでしょうか。
現地を取材しました。
取材班が向かったのは、茨城・稲敷市を流れる新利根川。
水面を覆う、緑色の植物が波とともに揺れています。
ボートの担当者:
処理するのにも時間と手間とお金がかかるから相当大変。
地元の住民を悩ませる厄介者の正体は、特定外来生物「ナガエツルノゲイトウ」。
南米原産のヒユ科の多年生雑草で、水陸問わず繁殖し、折れた茎や根の断面から次々と再生するなど、「驚異的な繁殖力」で生態系を脅かすことから、“地球上最悪の侵略植物”と恐れられています。
新利根川にある貸しボート店の担当者は、その繁殖力の強さをこう表現します。
松屋ボート・松田行弘さん:
目立つようになったのは5~6年くらいで、気づいたらうわーって感じ。上流からどんどん流れてくるんですよ。定着すると根っこ生やして一気に増やす。倍々ゲームでどんどん流れてく感じ。
さらにボートを進めると、前方には橋が。
橋の下は本来、川が流れていますが、まるで芝生が広がっていると錯覚してしまうほど、大部分が草で覆われていました。
小型カメラで水中の様子を見てみると、太い茎や根がいくつも確認できます。
この茎や根の再生能力が高く、農水省によりますと、わずか1cmの断片からも再生が可能だといいます。
さらに船を進めていくと…。
松屋ボート・松田行弘さん:
はるか先に水門があるんですけど、絶対入れない。出られないですよね。
霞ケ浦へと続く水門までたどり着けないほど、一面が草で覆われていました。
川を埋め尽くさんばかりに広がる外来種の存在。
訪れていた釣り人たちからは「草いっぱい生えていて通れない場所もあったりして、結構邪魔だな」「狙いたい場所がツルノゲイトウで覆われちゃうので、もう全部なくなってほしいですね」などの声が聞かれました。
実際にこんな影響も出ていました。
松屋ボート・松田行弘さん:
釣りの大会をよくやるんですけど、エリアが狭まってしまうと大会を疎遠したり、行っても意味ないと言われて大会が流れたり、お客さんが減ったりということがある。
釣りイベントなど観光への影響もあるというナガエツルノゲイトウの被害。
松屋ボート・松田行弘さん:
新利根川は田んぼやハスに使うとか、水を管理している大事な水なので、早急に何とか対策してもらいたい。
過去に「イット!」が取材した千葉・印西市の米農家もナガエツルノゲイトウに頭を悩ませています。
米農家・佐藤昭夫さん:
どんどん繁殖して田んぼの中まで入ってくる状態になって、やっぱり繁殖力が旺盛なんで(除去を)やってもやっても追いつかない状態。悪魔みたいなやつです。
その影響は都内の公園でも。
東京・江戸川区の葛西臨海公園で9月11日に撮影された写真に写るのは、海岸の近くで確認されたナガエツルノゲイトウ。
過去に何度か漂着していましたが、2026年は台風や長雨の影響で大量に流れ着いたといいます。
その強い繁殖力によって、公園の生態系に影響を及ぼす懸念があるといいます。
葛西臨海公園・松井映樹公園長:
ここは元々、東京湾に最後まで残ってた自然の海岸線を生かして公園にしたところなので、貴重な植物がたくさん生育しております。ここに定着しないようにしたい。
侵略植物の影響はこんなところにも。
千葉県の印旛沼の水位が上昇した際に水を東京湾側へ排出する施設。
8月の千葉豪雨では、上流から流れてきたナガエツルノゲイトウとみられる植物が、ごみの流入を防ぐ柵に大量に絡みつき、排水ポンプ1台が停止する事態に。
この時、除去した総量はナガエツルノゲイトウを含む水草やごみなど合わせて26トンに上ったといいます。
また、9月の台風25号の影響で、千葉県の印旛沼の上流・高崎川でも異変が起きていました。
2025年9月に撮影された写真では、川の両岸にナガエツルノゲイトウを確認できます。
ところが2026年9月の台風接近で川が氾濫するほど水位が上昇。
するとその後、両岸に繁殖していたナガエツルノゲイトウが消えていました。
撮影者は、川の増水によって下流へ流されていったのではと話します。
千葉県によりますと、印旛沼やその周辺の河川には、ナガエツルノゲイトウがもともと群生していたといいますが、前回の豪雨で決壊し浸水したエリアでも、新たにナガエツルノゲイトウが確認されたといいます。
植物の生態に詳しい専門家は次のように指摘します。
東京農工大学・藤井義晴名誉教授:
今回の豪雨で川が氾濫したり、川の水が田んぼに流れたりして、ナガエツルノゲイトウが他の地域に分布を広げた。今回の豪雨のせいであるということは間違いないと思います。水陸両用で強いので、たとえ99%取っても、1%からまたすぐに再生してくるので、非常に根絶がしにくい。
榎並大二郎キャスター:
“最悪の侵略植物”もし見つけた場合には皆さんどうすればいいと思いますか?
遠藤玲子キャスター:
確か一部のザリガニとかも、一度手に取ってしまうともう戻せない、そんな決まりもあったような気がするんですが。
榎並大二郎キャスター:
まず原則として、処分できるのはその土地の所有者ですが、こうした特定外来生物は生きたまま持ち運ぶことなどが原則禁止されています。
もし無許可で行った場合には、1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金となる恐れがあるので注意が必要です。
除去したい場合には、千葉県によりますと、根っこごと取り除いたものは袋に入れて密閉し、枯らしてから自治体のごみ処理方法に従って処分するといいそうです。
枯らしたあとであれば持ち運ぶことも問題ないということでした。
