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正常性バイアスが働く?豪雨時の車移動はなぜ危険 アンダーパス冠水事故が示す“短時間豪雨の恐怖”

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いわき市で9月に起きた冠水事故では、短時間の大雨でアンダーパスに水が流れ込み、車が水没して60代の女性が亡くなった。局地的な豪雨が増える中、福島県内では121カ所の冠水危険箇所が確認されており、専門家は「どこでも起こり得る身近な危険」と警鐘を鳴らす。

■あの時何が?アンダーパス冠水
水災害や地域防災を専門とする福島高専の菊地卓郎教授は、いわき市で9月に発足した「冠水事故防止緊急対策チーム」のリーダーを務めている。

2026年9月7日、大雨により冠水したアンダーパスで60代の女性が死亡した事故。冠水の原因について菊地教授は「駐車場や道路、こういった地表からの水が集中的に入ってきたことによって、どんどん水嵩が短時間で増していった」と話す。

事故現場周辺には多くの駐車場や道路があり、局地的に低くなっているアンダーパスに短時間で大量の水が流入。15センチの浸水を検知してから「車が浸水している」と消防に通報が入るまで、わずか17分。約1時間後に救出された女性は意識不明の状態だった。

冠水事故が起きた現場で1時間に降った雨の量は、令和元年東日本台風や2023年にいわき市を襲った線状降水帯よりも多かったという。
菊地教授は「短時間で集中的な雨が降ることは間違いなく増えている。あそこだけ特別な場所ではなく、いろんな場所で起こり得る」と警戒を促す。

■県内に広がる冠水リスク
9月、東京通信大学特任教授で防災マイスターの松尾一郎さんが向かったのは、東北本線などの下を県道が通る福島市の「森合ガード」。周囲より低い場所にあるため雨水が集まりやすく、地元では「冠水リスクの高い場所」として知られている。

福島県が公表する「冠水危険箇所」は121カ所にのぼり、いわき市での事故以降、アンダーパスの事前通行止めも次々と導入されている。国も全国のアンダーパスを4段階で分類し、最も危険な場所には遮断機を設置するなど対策のガイドラインを示した。

松尾さんは「体制と情報の伝え方、規制の在り方を含め、利用者にきちんと伝えていくことが必要」と話す。

■車での避難はなぜ危険?
車はわずか30センチの浸水でも走行不能になることがある。タイヤが浮いて操作不能になるおそれがあり、吸気口やマフラーから浸水するとエンジンが停止し再始動できなくなる可能性もある。早めの避難を心がけ、脱出用ハンマーはすぐ使える位置に置いておきたい。

■豪雨時の車移動に潜むリスク
豪雨時に車で移動していた人を対象にしたアンケートでは、約半数が「移動中に危険に遭遇した」と回答している。冠水でドアが開かない、エンジンが停止するなど、車が動かなくなる深刻な状況に陥った例も少なくない。

松尾さんは、豪雨でも車で移動を続けてしまう背景には義務感や「行けるはず」という正常性バイアスがあると指摘し、「危険を知らせる仕組みや自動で通行止めにできる設備の整備、そして早めの移動が命を守る」と話した。

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