世界中で愛され続ける名作「赤毛のアン」がこの秋、バレエ作品として上演される。
11月15日の本番に向け、四国各地の若きダンサーたちが、合同練習に取り組んでいる。技術の向上にとどまらず、「心で演じる」ことと向き合う若者たちの姿を取材した。
四国4県から集まる出演者
9月21日、高知市のマサコバレエワークスのスタジオで、4回目の合同練習が行われ、四国4県の若手ダンサー約20人が参加した。
今回の公演は、2024年に鳥取県で上演されたオリジナル作品の改訂版だ。高知、鳥取、石川の3県を巡るプロジェクトで、「よさこい高知文化祭」の応援事業としても位置付けられている。
舞台に立つのは、オーディションを勝ち抜いた約50人。中学1年生から20代前半まで、年齢も所属も異なる彼らが、一つの舞台を作り上げるために集結した。
細部にこだわる「背中越し」の表現力
演出と振り付けを手がけるのは、洗足学園音楽大学の教授・山本康介さん。指導はジャンプやターンといった身体技術だけでなく、演劇的な表現にまで及ぶ。
「何か落ち込んでいるような時に、視線を下に向けるのはいい。でも、誰かに向かって踊っている時に突然視線を落とすと不自然じゃない? 視線の使い方はもうちょっと気をつけたほうがいい」
赤毛でおさげのアンの姿を見て、クラスメートたちがうわさ話をするシーンの練習では、さらに細やかな表現が求められた。
「前向きのときは表情もよく見えるけれど、後ろ向きのときに、背中越しにお客さんへ向けてキャピキャピしているのがもうちょっと見えたほうがいい」
言葉を発しないバレエだからこそ、指先や視線、背中に至るまで感情を乗せることが求められる。山本さんの細やかな要求に、ダンサーたちは真剣に応えていた。
表現の難しさと仲間からの刺激
バレエ歴11年で、マサコバレエワークスに通う中川桃歌さん(22)も、今回の演技には難しさを感じているという。
アンのクラスメートであるルビー・ギリス役を任された彼女は、役柄との向き合い方についてこう語った。
「一人一人『このマイムをしてください』と明確な振り付けが決まっているわけではありません。自分で毎回考えながら演じる楽しさもありますが、改めて難しいなと感じています。心で伝えることを常に意識し、音楽をしっかり聴いて頑張りたいです」
高知県内の高校1年生は「県外の人も集まって練習するので緊張するけれど、楽しめました」と話す。
香川県から参加した高校2年生は「体の向きと目の方向をそろえないとちゃんと伝わらないというのは、言われるまで自分では気づかなかったので、難しいと思いました」と、新たな課題を見つけたようだ。
心も体も温かくなる舞台を目指して
山本さんは「ダンサーたちがその時に演じきっているものを感じていただきたい。劇場に来た時よりも、帰る時に心も体も温かくなって帰っていかれることを願っています」と語る。
バレエ「赤毛のアン」高知公演は、11月15日に新来島高知重工ホール・オレンジで開催される。

