外見や内面の美しさを競う世界的なコンテストで、グランプリに輝いた日本人男性がいる。彼の名前は「ちろちゃん。」。普段は高知県を拠点に活動する人気のインフルエンサーだ。
YouTubeの総再生回数は2億回を超え、SNSの総フォロワー数は約33万人に上る。心優しい「おばあちゃんっ子」の彼の、地元の温かくも愛に満ちた日々の活動を追った。
涙の世界大会優勝
トロフィーをしっかりと受け取り、大粒の涙を流しながらも最高の笑顔を見せる男性。生まれも育ちも高知のインフルエンサー「ちろちゃん。」だ。
外見や内面の美しさなどを総合的に競うコンテスト「Mr of the Year」の日本大会を勝ち進み、2026年6月、世界大会の舞台へと出場を果たした。
大舞台のスピーチで力強く語ったのは、趣味のサーフィンを通じて続けている、身近な環境保護への取り組みについてだった。
「川沿いを歩く時にはごみを拾って、SNSでシェアする。私はこの活動を長い間続けている。なぜなら、小さな行動が大きな波を起こすと信じているからだ」
真摯なスピーチや堂々としたウォーキングが評価され、イタリアやフランスなど8カ国から集まった14人の強豪たちが競い合う中、栄えある優勝を手にした。
「本当に夢がかなったというところで感極まっていた。他のものとは代えられない、最高の瞬間だった」と振り返る「ちろちゃん。」。
栄冠をつかみ取った彼には、もう一つ、異なる顔がある。
94歳の祖母と二人三脚で歩むユーチューバー
右手にはカメラ、左手にはスマートフォン。そう、彼はユーチューバーなのだ。動画の中で一緒に活動するのは、御年94歳になる祖母である。
「チロちゃん」という親しみやすいチャンネル名と自身の活動名は、かつて飼っていた愛犬の名前に由来している。
「チロちゃんばあちゃん」が高知の美しい名所を巡ったり、手際よく料理を作ったりする動画は瞬く間に人気を集め、最も多いものは再生回数348万回にもなっている。
画面から伝わるほっこりとした雰囲気に、視聴者からは「このチャンネルを見ると、自分のおばあちゃんを大切にしようと思う」といったコメントが数多く寄せられている。
祖母は「ちろちゃん。」について、「『ばあちゃん、ばあちゃん』って夜泣いてしようがないから。3歳の時からこの子を見た」と、愛情を込めて語る。
幼少期から祖父母とともに暮らし、根っからの「おばあちゃんっ子」だった。就職を機に一度は高知を離れたものの、大好きな祖父母のために再び地元へ戻ってきた。
「思い出として、ばあちゃん、じいちゃんの姿をYouTubeに残したい」
そんな思いから、10年ほど前に動画投稿を開始。やがて仕事をやめ、本格的にインフルエンサーとして活動を始めた。
今ではチャンネル登録者は22万人を超え、総再生回数は2億回以上の人気ユーチューバーへと成長した。2024年に祖父が他界するという悲しみを乗り越え、現在は祖母と二人暮らしで、支え合いながら動画投稿に励んでいる。
「ぬるっと」始めて日常の一コマを撮る
この日も、自宅のキッチンで料理を作る様子を撮影していた。「ぬるっと(撮影に)入るんですね」という記者の問いかけに、「いきなり入る」と笑って答える。
「普通の日常を出している感じなので、撮影という特別な感じを出したくなくて。本当に、日常の一コマという感じ」
何気ない日常の瞬間を、飾らない孫の目線で発信する。
暖かい県民性や豊かな自然をありのままに届けることで、現在は「動画を通していろんな人に高知に来てほしい」との思いを抱いている。
そんな彼のひたむきな活動を見た大会の運営スタッフに2年半ほど前にスカウトされたことが、「Mr of the Year」に出場する大きなきっかけだった。
東京で開かれた世界大会には、「チロちゃんばあちゃん」も応援に駆けつけた。
孫の晴れ舞台に感激の涙が流れたと振り返り、「堂々としていた。私にとっては大きな宝物。『この子のために長生きせんといかんな』」と語る。
コンテスト優勝という快挙を成し遂げる一方で、ユーチューバーとしても地に足を着けて活動する「ちろちゃん。」に、今後の目標を聞いた。
「高知を知ってもらうきっかけにはなったのではないかと、すごく感じる。当たり前のような日常がいかに尊く大事なのかと伝えたい。何気ない日常を通しながら発信していく中で、何気ない会話、何気ない時間、何気ない空間が大事なんだよと、これからも変わらず皆さんに伝えていくことができたらなと思う」
世界一の称号を手にした孫は、これからも高知で祖母との温かい日常をつづっていく。

