9月末時点で長野県内の特殊詐欺被害は427件、29億2000万円余りで、件数・被害額ともに過去最多ペースで増え続けています。そうした中、特殊詐欺の犯人逮捕に貢献したとして、須坂市のタクシー会社に警察から感謝状が贈られました。決め手となったのはタクシー会社の「機転と連携」です。
北信タクシー 運転手・塚田純一さん:
「本当にそうなの!?須坂でこういうことが起こるのみたいな、半分そう思っていました」
須坂市のタクシー運転手・塚田純一さん。
特殊詐欺の犯人逮捕に貢献したとして、9月、警察から感謝状が贈られました。
事の発端は8月25日。
須坂市内に住む80代女性の自宅に息子を名乗る人物から電話がありました。
(息子を名乗る人物からの電話)
「未納の税金の納付が必要。至急現金が必要なため、お金を用意してほしい」
翌日、女性の自宅を訪れたのは、息子ではなく、法律事務所の職員を名乗る男。
現金200万円をだまし取ったとして逮捕・起訴された神奈川県横須賀市の男(43)です。
事件の直後、男が呼んだタクシーを運転していたのが塚田さんでした。
北信タクシー 運転手・塚田純一さん:
「あまりにも本当に普通だったので。その当時は、銀色のネクタイをしてたのと、黒い大きなトートバッグを持ってたこと、格好がクールビズ風だったっていう。あまり見すぎるのも良くないかと思いながら、チラチラとこんな感じで見てましたね」
なぜ、乗ってきたばかりの男を警戒していたのでしょうか。
北信タクシー 運転手・塚田純一さん:
「配車の方から言われたんですけど、この土地の名前、漢字が読めなくて、それが第一印象が怪しいというふうになりました。『土地勘がない方だと思うので気を付けて見ていただけますか』という依頼」
男から配車依頼の電話を受けたのが、配車オペレーターの森下貴恵さんです。
地名の「臥竜」が読めなかったことに違和感を覚えたと言います。
北信タクシー ・森下貴恵さん:
「地名が読めなかったので、地元の人じゃないと思ったんですけど(男は)読めない地名の番地をずっと繰り返してるだけなので、何か変だと思った」
森下さんはやりとりのメモを残し、塚田さんに無線でこう告げました。
北信タクシー ・森下貴恵さん:
「怪しい感じなので注意してください」
午後7時過ぎに男を須坂駅に送り届けた塚田さん。
その際、より強い疑念を抱くやりとりがありました。
北信タクシー 運転手・塚田純一さん:
「『お待たせしました須坂駅です』って言ったら、お客さま(男)が『あれ、ここどこですか?』って言うんですよ。おかしいと思いません?ここに須坂駅があるのに。『ここに来た時に降りてこなかったんですか』って聞いたら、『昼間だからわからなかったです』と。異質なものを感じるなと。そもそも暗くなっても駅ぐらいはわかるんじゃないかなと」
男がタクシーを呼んでから約30分後、被害女性の関係者から通報を受け、警察は、周辺のタクシー会社に協力を呼びかけました。
その際、塚田さんが男の服装などを伝えると、その日のうちに、男は緊急逮捕されました。
警察は、匿名・流動型犯罪グループ「トクリュウ」による犯行とみていて、男は「受け子」とみられます。
県内の9月末時点の特殊詐欺被害は、427件・29億2000万円余りで、件数・被害額ともに前の年の同じ時期を大幅に上回っています。
今回の事件のように、警察官や弁護士などを装って親族が起こした事件・事故に対する示談金名目などで金銭をだまし取るオレオレ詐欺が、8月46件、9月28件と特に増えています。
警察は、防犯機能付きの電話や対策アプリを活用するなど、犯人からの電話をシャットアウトする対策を呼びかけています。
塚田さんは、今回の件でさらに特殊詐欺への警戒が高まったと話します。
北信タクシー 運転手・塚田純一さん:
「移動手段の一つとして多分使われると思うので、警察の方とも連携を取り合いながら協力して今後もいけたらいいなと」
