富山市が国勢調査で人口を水増しした問題で、新たな事実が明らかになった。調査員が「居住実態なし」と判断して二重線を引いた世帯リストを、市の職員が意図的に消しゴムで消していたことが分かった。水増しされた人口は少なくとも2000人以上にのぼるとみられ、余分に受け取っていた地方交付税は数億円に達する可能性がある。

消しゴムで消された「居住実態なし」の記録

令和7年の国勢調査では、回答者の約9割がインターネットまたは郵送で回答している。残り1割については、国勢調査の調査員が直接世帯を訪問し、調査票に記入してもらう形をとっていた。
調査員が訪問した結果「居住実態がない」と判断した世帯は、一覧リストに二重線を引いて除外するルールになっていた。ところが、このリストの二重線を市の職員が意図的に消しゴムで消し、該当世帯を復活させていた痕跡が新たに確認された。
その後、職員は居住実態があるように見せかけるため、調査票を独自に記入したとみられる。富山市によると、こうした不正は国への報告前に最終審査を行う「企画調整課」で行われた疑いがある。

速報値と確定値で約2936人の差
総務省は9月29日、2025年の国勢調査の確定値として富山市の人口を39万9197人と発表した。しかし、5月に出された速報値は40万2133人と、確定値より2936人多かった。
この差が人口の水増しによるものとして、総務省は国勢調査に関わった富山市の職員を氏名不詳のまま統計法違反の疑いで県警に告発した。複数の職員が関与した可能性があり、水増しされた人口は少なくとも2000人以上にのぼるとみられる。
藤井市長「下への指示は言ったことも見たこともない」

不正の経緯について、藤井市長は消しゴムで消した行為への言及を避けつつも、市の幹部から職員への水増し指示があったかどうかについては「現時点ではない」と否定した。
「私の把握している範囲では(幹部による水増しの指示は)なかったという認識でいる。企画管理部長、副市長、市長(間での確認)。下への指示は言ったことも見たこともないと」
一方で、消しゴムで消した痕跡についての詳細な説明は「そこも含めて(警察の)調査の対象。私からの答弁は差し控える」として明言を避けた。
地方交付税は数億円多く交付されたか

今回の人口水増しは、富山市が国から受け取る地方交付税の額にも直接影響する。人口が多いほど交付税の算定額が増えるため、今年度は実際より数億円多く交付されていた可能性がある。
藤井市長はこの点について「富山市としての試算をあしたお伝えしたい」と述べ、翌日に詳細を説明すると答えた。また、総務省から返還を求められた場合については「もちろんそう。どういう形になるか分からないが」と応じる意向を示した。
市民生活に密着した行政サービスの財源となる地方交付税が不正な数字をもとに算出されていたとすれば、富山市全体の信頼にも関わる問題だ。県警の捜査が進む中、不正の全容解明と責任の所在の明確化が急がれる。
(富山テレビ放送)

