富山市が2025年の国勢調査で人口を約2900人以上水増し報告したとして、総務省から統計法違反の疑いで刑事告発された。30日、市の幹部職員が報道陣の取材に応じ、「基本的に市の審査の中でと思っている」と述べ、水増しが市の担当課内で行われたとの認識を示した。総務省が統計法違反の疑いで自治体職員を刑事告発するのは初めてのことであり、事案が全容解明に向かうか注目される。

速報値と確定値に約2900人の差

総務省は29日、2025年の国勢調査の確定値として、富山市の人口を39万9197人と発表した。しかし、5月に公表された速報値は40万2133人であり、確定値との差は2936人にのぼった。
総務省の調査によると、市の職員は調査員が「居住実態なし」と報告した世帯について、根拠なく存在するものとして扱い、人口を水増しした疑いがあるとされる。水増しには複数の職員が関与した可能性があり、少なくとも2000人以上が水増しされたとみられている。
「企画調整課で最終的に審査している」

国勢調査の流れはこうだ。富山市では、まず町内会や自治会の推薦を経て総務大臣から任命された2000人あまりの市民が調査員として市内の世帯を回り調査票を集める。次に、市の職員の中から任命された300人あまりの指導員がその調査票をチェックする。そのうえで、県を通じて国に報告する前に最終審査を行うのが、国勢調査の担当課である富山市企画調整課だ。

30日に閉会した富山市議会の9月議会では、国勢調査の問題について本会議中に言及はなかった。本会議終了後、取材に応じた富山市企画調整課の堀友彰課長(国勢調査を担当)は、水増しが行われた場面についてこう述べた。

「基本的に市の審査の中でと思っている。企画調整課で最終的に審査している。係だけではない、どれだけ関わったかは、今後(捜査機関が)調べられると思います」
統計調査係6人を含む21人が在籍していたこの課において、水増しが行われたとの認識を課長が示した。

富山市企画管理部の中田祐一次長(国勢調査を担当)も、「実態をしっかり確認しないまま報告した部分があったと指摘を受けて、こういう事態に発展していることは事実」と認めた。水増しに意図があったかどうかについては「私どもには分からない。それも含めて今後の捜査に協力していきたい」と述べるにとどめた。
統計法違反とは何か
今回問題となっている「統計法」とは、国勢調査など国の重要な統計をつくるためのルールを定めた法律だ。違反した場合、6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科される可能性がある。
過去には副町長が逮捕・有罪判決も
類似した事件は過去に他県でも起きていて、愛知県東浦町では2010年の国勢調査で、町が市に昇格するのに必要な人口5万人を超えるため、正しくは4万9800人だった人口を280人水増しし、5万80人と報告した。

総務省の調査で居住実態のない世帯の調査票などが発見されたが、当初、町は「町職員の認識不足」などと説明し、意図的な水増しを否定していた。しかしその後、部下の職員に水増しを指示した統計法違反の疑いで当時の副町長が逮捕された。
裁判で副町長は「部下が勝手に水増しした」と一貫して無罪を主張したが、名古屋地裁は「職員が独自の判断で水増ししたとは考えられない」として、執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。
県警は立件を視野に捜査
今回の富山市の問題について、県警は立件を視野に捜査を進める方針だ。総務省が統計法違反の疑いで自治体職員を刑事告発するのは初のケースであり、誰がどのような意図で水増しを行ったのか、事案の全容解明が待たれる。
(富山テレビ放送)

