JAが米を買い取るときに農家に一時的に渡す前払い金「概算金」が去年の半額に下落。農家が不安と不満を募らせる中、JA佐賀中央会の会長は生産コストを超えるところまで“追加払い”を検討する考えを示した。
去年の米より安い“今年の新米”
9月の下旬、佐賀市のあるスーパーの米売り場には熊本県産の新米と佐賀県産の去年の米が並んでいた。価格はそれぞれ5キロ3000円を切っていて、新米が去年の米の価格よりも安くなっている。

JAグループ佐賀が9月18日に発表した米の概算金は玄米60キロあたり「さがびより」1万6000円、「夢しずく」1万5000円など去年の半額に近い金額となった。
「米をつくっている人はがっかり」
去年の価格高騰から一転、今年は米の価格が大幅に下落。こうした現状に米農家は不安と不満を隠せない。

米農家は…
「これから実際、経費は半端じゃなく高くなっていくんじゃないかなと思っているので、それがあと何年か続いたら本当に倒産じゃないが(米づくり)やめようかとなるんじゃないかな」

「肥料も高くなったし他の薬剤もみんな上がってしまって大変は大変。だから去年(概算金が)高かったから米を作っている人はがっかりしているんじゃないか」

「機械いろいろ買い替えたり買ったりしているからその支払いもどうなるかなと。(米農家は)誰でも困っている。去年があんまり高すぎたから」
「需給バランスで安くなってしまう」
こうした現状について、今年6月にJA佐賀中央会の会長に選任された楠泰誠さんが取材に応じた。
楠会長は米の供給について次のように話す。
JA佐賀中央会 楠泰誠 会長:
去年はスーパーの棚から米が無くなる状況が断続的に続いて心配をかけた。今年は逆に米が余っているのが基調なので十分な量を安心して供給できる

そして、米の概算金設定の背景などについては“需給バランス”がポイントになると述べた。

JA佐賀中央会 楠泰誠 会長:
需要と供給のバランスが一番大きなポイント。去年は(米が)足りず価格が高かったからたくさん作ろうというかたちで動いてしまうと、価格が需要と供給のバランスで安くなってしまう
「期待に応えられない価格は残念」
一方で、水不足や酷暑などにも関わらず平年以上の豊作となった今年、去年より大幅に金額が下がったことについてはJAとしても残念だと話す。

JA佐賀中央会 楠泰誠 会長:
残念ながら農家の期待にこたえられないような価格になってしまった。本当に私たちも、農協の方も残念だというふうに思っている

また楠会長は課題について次のように述べた。
JA佐賀中央会 楠泰誠 会長:
生産者にとってみれば安定的な価格、末永く(米を)作っていけるようにしないと、(米づくりを)続けていけなくなるから、そこが一番考えないといけないところ
生産コスト超える“追加払い”を検討
このような状況の中、楠会長は販売状況に応じて年末や年度末に支払われる“追加払い”について、なんとか農家に還元できるようにやっていかなければと話す。

JA佐賀中央会 楠泰誠 会長:
ひとつの指標として、農家が生産するにあたって必要だった生産コストがある。そのコストも割れてしまっているから、なんとかその生産コストを超えるところまでは追加払いができないかと思っている

楠会長は、今年示された米の概算金、玄米60キロあたり約1万5000円に対し、生産コストが約2万円として、その不足分の4000円から5000円程度の追加払いができればとの考えを示した。

JA佐賀中央会 楠泰誠 会長:
結局のところ、農家が続けていくためには価格が一番大事だと思う。乱高下をさせないで、そして生産コストを上回るような価格で出していただく。それをずっと続けていくことによって農業が続いていくということだと思う
「物価高だが…生産者を守るために」
楠会長は、生産者もスマート農業などで効率化をはかり、生産コストを抑える努力が必要だとした上で、消費者にこのように訴える。

JA佐賀中央会 楠泰誠 会長:
食糧の中で一番大事な米をこれからもずっと日本で、佐賀で生産していけるように生産コストをまかなえるような価格設定をさせていただきたい。本当に消費者のみなさんには、物価高騰で大変なので申し訳ないという気持ちもあるが、生産者を守るためにぜひよろしくお願いいたします
米の価格下落は消費者にとっては歓迎すべきことだが、生産者にとっては米づくりの継続に関わる問題というジレンマの中、本格的な新米の季節を迎える。

