ビールの値下げ、電気・ガス代の実質値上げ、路線バスの減便——10月から鹿児島県内でも暮らしに関わる様々な変化が訪れる。なかでも注目されるのが、客による過剰な要求や不当な言いがかり、いわゆる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」への対策が、すべての事業者に義務化される点だ。しかし、県内の約7割の企業がいまだ対策方針を作成できていないという現実もある。
10月から変わること、まとめて確認
10月を境に、身近な生活にいくつかの変化が重なる。酒税法の改正により、税率の統一が図られ、ビールは値下げになる一方、発泡酒やチューハイなどは値上げとなる。また、夏場に実施されていた電気・ガス代への政府の支援が終了し、10月の使用分から実質的な値上げとなる。さらに、運転手不足などを背景に、県内の路線バスでは減便が行われる。

そして、もう一つの大きな変化が「カスハラ対策の義務化」だ。土下座の強要や延々と続くクレームなど、客による行き過ぎた行為から労働者を守るための措置が、業種や企業規模を問わず、すべての事業者に求められることになる。
義務化前日に県庁で対策会議
カスハラ対策の義務化を翌日に控えた9月30日、鹿児島県庁で対策会議が開かれた。労働局や労働組合、経営者協会など県内の関係団体から約40人が出席し、義務化に向けた周知と体制整備の必要性を確認し合った。
会議の場で、鹿児島労働局雇用環境・均等室の佐藤かおる室長は参加者に対してこう呼びかけた。「カスハラ被害を受けた労働者が相談できる体制を整備することなど業種・企業規模に問わず、必ず法に沿って措置をしてください」
義務化の内容は、カスハラ対策の方針を労働者に周知すること、そしてカスハラに対応するための社内体制を整えることなどが柱となる。
約7割が対策方針を未作成
しかし、現場の準備状況は決して十分とは言えない。県が実施したアンケートによると、回答した140社のうち、2026年8月末時点で約7割が対策方針の作成にいたっていないことが明らかになった。

佐藤室長は、方針を作るだけでなく、社内への周知こそが重要だと強調する。「『うちの会社はこういうカスハラ対策を講じています』というのをきちんと整備してもらって、それを労働者に周知しないと(カスハラを)受けた場合に、どうすればいいのか非常に悩むと思うので、きちんと社内で周知徹底を図ることが非常に重要になる」

つまり、ルールを作るだけでは不十分で、働く一人ひとりが「困ったときにどこへ相談すればよいか」を知っていることが、カスハラ対策の実効性につながるということだ。
地域の職場を守るために
カスハラは、サービス業をはじめ、医療・介護、行政窓口など、日常的に客や住民と接するあらゆる職場で起きうる問題だ。鹿児島県内においても、対応に苦慮してきた事業者や労働者は少なくないとみられる。
今回の義務化は、そうした現場で働く人たちを守るための一歩だ。会議での確認を踏まえ、労働局は今後も県内各事業者への周知徹底を図っていく方針だ。義務化によって身近な職場環境が変わるこの機会に、自分の職場のカスハラ対策がどうなっているか、改めて確認してみることが大切だといえる。
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