あさって=10月1日から、身近なお酒の値段が変わります。
酒税法が改正され、ビールは減税、発泡酒・“第3のビール”は増税されます。
3種類に分かれていた酒税が1つに統一されるこの改正は、消費者の財布に直結するだけでなく、「日本のビール産業の転換点になる」と専門家は指摘しています。
増税前に“第3のビール”を「駆け込み購入」する人たちも見られますが…ビールメーカーは“第3のビール”を『ビール』に生まれ変わらせようとしているのです。
「今回の酒税改正はむしろチャンス」と意気込むビールメーカー。
金麦も、本麒麟も、クリアアサヒもゴールドスターもすべて生ビールに!?
10月からどうなるのか、詳しく解説します。
■ 増税前に「まとめ買い」 “駆け込み購入”の客も
大阪市内のディスカウントストアを訪れると、10月1日からの酒税法改正を控えた店内のお酒コーナーでは「10月より酒税が上がります」「大量注文、大歓迎」という看板が目を引きました。
棚には段ボールが積み上げられ、買い物客が次々とケース単位でお酒を手に取っていきます。
発泡酒は350mlあたり約7円の増税となり、1箱24本入りで約168円高くなります。
店側によると、ケース買いの客が前年比で112%増加し、8月と比べても107%を超える水準となりました。
買い物客は、「(増税前に)しょうがなく買いました。お金のある限り(買います)。腐るものじゃないし」と、増税前の安いうちに確保しておきたいと話しました。
■ ビールは減税 発泡酒・“第3のビール”は増税
今回の酒税法改正では、ビール・発泡酒・“第3のビール”で3種類に分かれていた税率が「54.25円」に一本化されます。
この結果、これまで税率が高かったビールは約9円の減税となります。一方、安価なお酒として親しまれてきた発泡酒・“第3のビール”は約7円の増税です。
例えば、あるメーカーのビールと“第3のビール”の価格差は30日までは「40円」ですが、10月1日からは「24円」になります。
■ 国とメーカーの“いたちごっこ”の歴史
そもそも、ビール・発泡酒・“第3のビール”の違いは何でしょうか?
ビールは麦芽比率が50%以上、発泡酒は麦芽比率50%未満という違いがあります。
さらに第3のビールは、かつては麦芽を使わずエンドウ豆などから製造されていましたが、現在は発泡酒と蒸留酒を混ぜたものとして定義されています。
そして、3種類の間に価格差が生まれた背景には、酒税をめぐって国とメーカーの長年にわたる「攻防戦」があったといいます。
【消費経済・流通アナリスト 渡辺広明氏】「いままで日本は、酒税に応じて開発を進めているという感じだった。開発するたびに酒税が改正される“いたちごっこ”を繰り返していた」
■ 「日本のビール産業の転換点になる」と渡辺氏
これまで、ビールの税率は高く、発泡酒・“第3のビール”の税率は低いものでしたが、今回「54.25円」に統一されました。
この改正は「日本のビール産業の転換点になる」と渡辺氏は分析します。
【消費経済・流通アナリスト 渡辺広明氏】「いままでの『税金による商品開発』から、『ビールの味とか、のどごしとかの商品開発』に移管してくのではないか」
酒税法を改正した理由について財務省は「類似する種類の税率格差が商品開発・販売数量に影響している状況を改め、税負担の公平性を回復するため」と説明しています。
■ 第3のビールが『ビール』に生まれ変わる
酒税が一本化されることで、安くビールテイストを楽しめることが魅力だった“第3のビール”の存在意義が薄まってしまったともいえる状況。
今回の改正を受けて、ビールメーカーも大きな変革を起こそうとしています。
メーカー各社は“第3のビール”の麦芽比率を50%以上に引き上げ、正真正銘の『ビール』として商品をリニューアルすることを決めたのです。
金麦や本麒麟、クリアアサヒ、ゴールドスターといった、“第3のビール”として親しまれてきたブランドも、缶のパッケージに「生ビール」と表記されるようになります。
麦芽比率が変わるため、味わいも変化する可能性があります。
■ ビールメーカー各社はどう動くのか
ビールメーカーは今回の改正に「前向きな姿勢」を示しています。
【サントリー】「今回の酒税改正をむしろチャンスと捉え、“金麦”を麦芽比率50%以上に『ビール化』することで商品価値を向上させていきます」
【キリン】「酒税一本化を見据えて商品開発を進めてきました。いよいよ迎える最終局面、過去最大規模の投資でさらなる魅力化に取り組みます」
【アサヒ】「ビール市場活性化の好機。味わいやブランド体験価値による競争へ移行する中で、市場活性化の先頭に立ち、ビールの魅力を改めて提案する」
【サッポロ】「ビールの持つ価値や魅力を提供し、ブランド価値をさらに高め、お客様との長期的な関係を育くんでまいります」
(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2026年9月29日放送)
