あす10月1日から企業側にカスハラ対策を講じることが義務付けられる。
イット!はカスハラ被害が“日常”だというタクシー会社を取材した。
一方で、街では「どこからがカスハラになるのか迷う」という声も聞かれた。
運転手に向かって足蹴り
タクシーの車内に設置されたドライブレコーダーに記録されていたのは…。

午後9時前に予約場所に到着した運転手がドアを開けると、乗ってきたのは「何だよおい、ふざけんなよ」などと声を上げながらもめている様子の2人。
1人が「住所!住所!」と呼びかけるも、もう1人は「お前に言う住所なんてねぇ」などと、行き先を告げることなく暴れ続けた。
そこで運転手が「どうします?」と声をかけると、“怒り”の矛先が運転手へ。

客は「何なんだよおい!」と叫びながら、運転手に向かって足蹴り。運転手はかわしたものの、防犯板が破壊された。

運転手:
ちょっと警察電話します
客:
ああ?電話しろよ!
通報から5分後、到着した警察官に連れて行かれた乗客は酒に酔っていたといい、後日、タクシー会社に謝罪に訪れ修理代を支払ったという。

この動画が撮影されたタクシーが所属しているのは、埼玉県内のタクシー会社だ。
こうしたカスハラは“日常”だという。
運転手の1人は「椅子を蹴られたりとか…。「殺すぞ」という過激な発言を受けた時は身の危険を感じた」と話した。

平和自動車 錦澤心則常務:
「こんなことされた」という報告は週に1、2回あります。
「SNSにさらすぞ」と言いながら、動画や写真を撮られたりは、もう日常的です。
この会社では、現在、運転手120人のうち5人がカスハラによって精神的な苦痛を受け、休職を余儀なくされているという。
配車アプリも「カスハラの発端」に
また、近年は「配車アプリ」がカスハラの発端として増加している。
8月には、配車アプリで予約を受けたタクシーの運転手が指定された場所に到着すると、乗客は「迎車の位置が違う」と訴えた。

客:
こっちが指定した位置、こっちだろうがよ。
運転手はアプリの位置情報の不具合と説明したが、乗客は納得がいかない様子で「ずれてるナビ使うんじゃねぇよ」と不満を漏らした。

その後、怒りが収まったのか、今度は運転手に「お姉さんごめんね」と、謝罪しチップを渡そうとした乗客。

運転手が受け取りを断ると「何じゃこら!」と、タクシーの前に立ち塞がるようにして進路を妨害。運転手がクラクションを鳴らすと、運転席まで迫った。
客:
てめえのナンバー控えてるだけなんだけど、何だよおい!

運転手:
警察呼びますか?
客:
呼べやおら!
客は窓から手を差し込み、声を荒らげながら運転席で火のついたタバコを振り回した。
カスハラ映像を教材に毎月研修
こうした状況を打開するため、会社側は社員を守るカスハラ対策を行っている。

平和自動車 錦澤心則常務:
1カ月に1回全員集めて、3日間にわたって計4回、講習会を開いてます。
乗務員を対象にした月に1度の安全講習会では、実際に起きたカスハラの映像を見ながら、どう対応するべきだったのかを議論するという。
また、対処法を示したカスハラマニュアルも配布している。

言動の制止や警告、それでもやめない場合は警察への通報など、対処法をレベル分け。
また、車の外に出た際には、発言がドライブレコーダーに記録されるよう窓を開けておくといった具体的な対策も示されている。
会社がカスハラ対策に力を入れる理由は…。

平和自動車 錦澤心則常務:
人手不足と言われてる業界で、大事な戦力を失っていくことに直結するので、なんとか手を打てないのかなというのが、正直なところです。
「正当な苦情」とカスハラの境界線
こうしたカスハラ防止に向けた企業の対策は、10月から法律で義務化される。
10月1日に施行される改正法では、企業側にカスハラ対策として相談窓口の整備や再発防止に向けた措置を講じることが義務付けられる。
カスハラについての意識改革が求められる中、街ではこんな声も聞かれた。
60代女性:
苦情と間違ったことを言うのとの線引きが難しい。お伝えした方がお店のためにもいいんじゃないかなということもあるので、それがカスハラになるかどうかっていうのは…。
20代女性:
クーポン券があって、「この期間までは使える」と表示があったのに、店員に「こんなん使えないですよ」と強く言われたことがあって。母親がお店の本部にクレームを入れて。結構ガンガン言っていたので、「ハラスメントなんじゃないか」と思った。
正当な苦情とカスハラの境界線はどこにあるのか。
ハラスメント問題に詳しい弁護士は、「時間」と「継続性」がポイントだと話す。

亀井正貴弁護士:
長時間、従業員の時間をつぶしていく、つまり「時間の拘束」。
それから、店に何度も行って、同じような要求を繰り返しやる「継続性」が認められるような場合。そうなってくるとカスハラにあたる可能性があります。
(「イット!」9月29日放送より)

