岐阜県各務原市に、地域で愛される町のケーキ店があります。店を切り盛りするのは、54歳で仕出し店からケーキ職人へ転身した男性です。第二の人生をかけて作る、安くておいしいケーキに込めた思いを取材しました。
■地域で愛されるケーキ店
岐阜県各務原市の田園風景の中にたたずむ「洋菓子のたまご屋さん」。店内は、いつも多くの客でにぎわっています。

お目当ては、ショーケースに並ぶ色とりどりのケーキです。自慢の「プリンケーキ」(230円)をはじめ、20種類以上がそろいます。
客:
「値段も安くて、おいしいです」
別の客:
「12個買いました。10個買うと安いから」
地域で愛されるケーキを手掛けるのは、店主の佐藤之記さん(61)です。
佐藤さんのケーキ作りは、午前2時から始まります。午前9時の開店まで、一人で黙々と作業を続けます。

佐藤さん:
「子どもからお年寄りまで、万人に受けるケーキを目指しています」
ショーケースには、20種類以上のケーキが並びました。価格はどれでも1つ230円。10個以上買うと1つ190円になり、さらにお値打ちです。
午前9時、店がオープンすると同時に、多くの客が訪れます。
客:
「安いけど、どれもおいしい」
別の客:
「お値打ちで、甘さが控えめなのが好きです」
■一念発起し、仕出し店からケーキ職人の道へ
佐藤さんの実家は、名古屋の柳橋中央市場にあった仕出し店です。煮物などを作っていましたが、今から10年前に転機が訪れました。付き合いのあった岐阜のケーキ職人から、「ケーキ屋さんやってみたら?」と声を掛けられました。

佐藤さん:
「『僕にはケーキ屋さんは無理』と思いましたが、妻から『やってみたらいいじゃない』と言われました。それで、『修行させてもらっていいですか?』と、こちらに足を運ぶようになりました」
好奇心からケーキ作りの修行を始め、先代のもとでいろはを学びました。次第にケーキの世界に引き込まれていった佐藤さん。今から7年前、54歳のとき、先代の引退を機に仕出し店を閉じ、この店の2代目となりました。

佐藤さん:
「総菜はプロに提供する店でした。あまり『おいしい』とは言われない。ケーキ屋さんは、お客さんから「安くておいしいよ」と言われ、喜びがありました」
■「地域の人の日常に、彩りを添えるケーキを」
「地域の人の日常に、彩りを添えるケーキを」。先代の思いを受け継ぎながら、店づくりをしてきた佐藤さん。看板商品の「プリンケーキ」のほかに、もう一つ大切にしているものがあります。「バースデーケーキ」です。

客:
「息子の生後1カ月のお祝いで、誕生日ケーキを」
別の客:
「子供の誕生日ケーキは、いつもここで買います」
主役は、地域の人たちです。客が喜ぶ姿を思い浮かべながら、一つ一つに思いを込め、佐藤さんはきょうもケーキを作ります。
佐藤さん:
「帰省したときに『この味だよね』と思ってもらえるような、昔からの味をみなさんに提供するのが僕の使命。次の代に残せたらいいと思っています」
54歳で踏み出した第二の人生。佐藤さんのケーキは、きょうも地域の人たちの日常に彩りを添えています。

