シリーズ「命と未来をまもる」。今回は大規模な地震による断水がテーマです。
7月の熊本地震では各地で水道管が破損し、被災地では水道が1カ月使えない場所もありました。
断水が長期化した背景にあるのが、水道管の耐震化の遅れです。富山県内の状況を取材しました。
今年7月、最大震度7を観測した熊本地震。
連日猛暑を記録した熊本で、被災者に追い打ちをかけたのは断水の長期化です。
熊本県内では各地で水道管が破損し、11の市と町で合わせて約10万8000戸が断水。
一部の地域では、水道管の復旧に1カ月もの時間がかかり、給水所には水を求める人で長い列ができました。
水地震による水道管の破損、背景にあるのが「耐震化の遅れ」です。
上水管の多くは古くに設置されたものが多く、40年と言われる耐用年数を越えていて、全国で漏水が相次いでいます。
耐震化が急務の中、主要な水道管のうち、耐震性が認められる管の割合を表す「耐震適合率」は全国平均で44.6%と半分以下に留まっています。
熊本は全国平均を下回り36.5%、富山も46.6%と、平均をかろうじて上回る程度です。
そうした中、県内では耐震化工事が急ピッチで進んでいます。
富山県高岡市の能町小学校近くにある、水道管の工事現場です。
市が設置を進めているのが、「ダクタイル鋳鉄」と呼ばれる耐震管です。
従来の水道管に比べ、つなぎ目をロックする機能が備わっています。
*高岡市上下水道局 水道工務課 坂田修啓主任
「ロックリングという金属部分が(管の)先端の矢じりのような部分にかみ合って、ロックがかかる。継ぎ目の部分が弱点だったのが、強化された」
市は能登半島地震での断水をきっかけに去年1月、「上下水道耐震化計画」を策定。
指定避難所や学校、公的病院など57の重要施設につながる水道管で耐震化を進めています。
さらに、熊本地震での断水を受け、対象施設を61に増やし、伏木地区を中心に6施設の周辺で工事を完了しました。
耐震化をさらに加速させたい水道事業者。
課題となっているのが、人手不足です。
*高岡市上下水道局 水道工務課 坂田修啓主任
「工事を請け負ってもらう施工業者の数の減少や、水道局職員の人手不足が大きな課題。(工事を)入札にかけても、落札されない。現場で作業をする人の高齢化も感じる」
また、人手不足に加え、工事費用の高騰も耐震化を遅らせています。
*高岡市上下水道局 水道工務課 坂田修啓主任
「年々人件費や製品の価格は上昇傾向。同じ延長を工事するにしても必要な工事費は上がっている」
高岡市を始め、県内の各水道事業者が耐震化を進めています。
それぞれの主な水道管で、耐震性があると認められる割合、「耐震適合率」を見てみますと、射水市で87.8%、黒部市で75.6%、取材した高岡市は46.7%などとなっています。
一方で、氷見市では21%、上市町は18.4%などと低くなっています。
大規模に断水した熊本県の36.5%と比べても低い割合の場所もあります。
全国平均で見ても、去年度末で44.6%となっていて、国が目標に設定した54%を達成できず、耐震化は想定よりも進んでいません。
背景には、自治体の技術職や工事を請け負う業者の人手不足、工事費の高騰などがあるようです。
高岡市では人件費、資材費が上がったことで、10年前と比べ、工事費が約1.8倍になりました。
万全な耐震化にはまだまだ時間がかかりです。
この状況で、何よりも大切なのは自宅での備えです。
内閣府は、1人で1日あたり3リットルを使うことを想定し、各家庭で最低3日間、できれば1週間分の飲料水を備えておくことを推奨しています。
改めて、各家庭での備えを確認してください。
